免許返納による移動手段の制限や配偶者との死別などをきっかけに、社会とのつながりが薄れやすい男性高齢者は少なくないという。女性に比べると、生活が内向きになる傾向にあるそうだ。奈義町では平成28年より、男性高齢者の閉じこもりを防ぐためのプロジェクトを始動。推進者は、同町で保健師・生活支援コーディネーターを務めてきた植月さんだ。医師らと一緒に介護予防事業を担い、男性高齢者の心理を研究してきた。「日常生活に必要な動作は自分でできるにもかかわらず、閉じこもることで身体機能が低下し、介護認定につながってしまうことが残念でした」と語る。
役割や目的を好む男性心理を踏まえ、プロジェクト名は「ちょいワルじいさん作戦会議」に決定し、メンバーを募集した。平成29年に第1回目の会議を実施し、7人の”ちょいワルじいさん“が誕生。令和元年から事務局を社会福祉協議会に委託し、現在は70〜90代の17人が参加している。月に1度会議を行い、介助付き日帰り温泉旅行やまちの歴史を巡るツアー、小学校の思い出話を語り合う同窓会などを企画。地域の人の協力を得ながら今後も作戦会議を続け、植月さんが担ってきた運営や企画づくりを次世代に引き継いでいく予定だ。
▲まちの名所や特産を歌詞に取り入れた、“ちょいワル体操”をメンバーと考案。
奈義町
元・保健福祉課 保健師
(現・奈義町社会福祉協議会 生活支援コーディネーター)
植月 尚子(うえつき しょうこ)さん