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公開日:2025-02-14

PFAS(ピーファス)とは?住民の安全のために自治体が取り組むべき対策を確認しよう

都市整備・上下水道
読了まで:8分
PFAS(ピーファス)とは?住民の安全のために自治体が取り組むべき対策を確認しよう

PFAS(ピーファス)とは、有機フッ素化合物のことだ。多くの生活用品にも使われている物質だが、「永遠の化学物質」と呼ばれており、自然界で分解されないという特徴を持っている。また近年、水道水からも検出されていることが報道され、健康被害についても懸念されている。

自治体はPFAS問題にどう立ち向かえばいいのだろうか。PFASの特徴や現状の規制状況、そして、自治体の取り組み例から、実際に何をすればいいのかを考えていこう。
 

【目次】
 • PFASとは?なぜ今注目されているのか

 • 日本のPFAS汚染の状況とは
 • 日本の規制状況と対策とは
 • 自治体の実際の取り組みとは
 • 住民の安全な生活のため、検査と適切な対応を!

※掲載情報は公開日時点のものです。

 原田 浩二(はらだ こうじ)さん 監修 

 原田 浩二(はらだ こうじ)さん
 京都大学大学院医学研究科環境衛生学分野准教授

 京都大学薬学部卒業。2007年に京都大学博士号(社会健康医学)を授与され、同年、京都大学大学院医学研究科助教に採用。2009年に准教授に昇任し、現在に至る。2023年環境省 PFASに対する総合戦略検討専門家会議委員、2024年にWHO Technical Advisory Group on PFAS Assessmentに任命される。
2002年から京都大学の小泉昭夫教授(現名誉教授)の研究室でPFASの環境調査、バイオモニタリング、化学分析法の開発に携わってきた。近年、沖縄県や東京・多摩地区、大阪など各地のPFAS汚染地域での調査に取り組む。

PFASとは?なぜ今注目されているのか

PFASとは有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称である。

「永遠の化学物質」と呼ばれており、そのなかには水や油をはじく効果だけでなく、熱に強いという効果もある。そのため、フライパンや炊飯器の内釜のコーティング、食品を包む包装紙、防水服などの生活に身近なものだけでなく、特殊な消火器の泡消火剤、半導体製造などにも使われている。

PFASとは?

PFOS・PFOAとは 

PFASを構成するのが、以下の代表的な物質である。

・PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸):主な用途は消火器の泡消火剤、メッキ処理剤、はっ水剤など
・PFOA(ペルフルオロオクタン酸):主な用途ははっ水剤、界面活性剤。フライパンのコーティングなどのフッ素樹脂製造のための添加剤、食品を包む包装紙など

これらの物質は2000年代初め頃までは様々な工業製品などで使われていた。しかし、発がん性など健康に影響がある可能性や環境への残留性が問題視され、平成12年に化学メーカーの3M社が環境・生態系への悪影響を理由に製造を自主的に中止することを発表した。平成21年以降、日本など多くの国で製造・輸入が禁止されている。

どのぐらいの数値から問題になる?

PFASには分解されにくいという特徴があるため、現在は製造されていないにも関わらず、環境中には未だに残っている。環境中に残ったPFASは、土壌へ浸透、または海、川に流出し拡散される。地下水や川の水を利用してつくる水道水にも混入している恐れがあり、「免疫機能低下」「ホルモンの働きの阻害」など、健康に対する影響が懸念されている状態だ。

そこで令和2年、厚生労働省と環境省は、水道水・河川・地下水中のPFOSおよびPFOAの値について、1リットルあたり50ナノグラム(1ナノグラム=10億分の1グラム)という暫定目標値を設定することとなった。以下は日本および各国のPFOS、PFOAの目標値である。

 日本および各国のPFOS、PFOAの目標値

出典:NHKクローズアップ現代取材ノート「『PFAS』とは? 世界の規制状況・健康への影響は?」を参考に弊社作成

なお、日本の水質についてだが、令和4年度は38都道府県1,258地点で環境省の調査が行われ、東京、神奈川、大阪、兵庫、沖縄など16都府県の111地点で目標値を超えるという結果が出た(※1)。

なお、環境省によると、PFASの排出源を特定できたのは、過去にPFASを取り扱った工場があった大分市の2地点のみで、残りの109地点については排出源不明だった。

※1出典:環境省「PFOS、PFOA の国内の検出状況」

どのような健康被害があると考えられている?

どのような健康被害があると考えられている?


アメリカでの調査結果によると、PFASとの関連性を示す確実性が高いとされる健康リスクは次の4つとなっている。

・抗体反応の低下(小児・成人)
・脂質異常症(小児・成人)
・乳児・胎児の発育の低下
・腎臓がん(成人)

また、海外の研究によると「肝機能障害」「甲状腺疾患」「早産・流産・不妊」などの健康リスクとの関連性も指摘されている。

日本のPFAS汚染の状況とは

日本のPFAS汚染の状況とは

日本各地のPFAS汚染の現状を具体的に確認しておこう。

【東京都・大阪府】多摩川・淀川で高濃度のPFASが検出される

多摩川のPFAS汚染は東京都福生市にある横田基地、淀川はフッ素化学メーカーおよび空調メーカーのダイキン工業の淀川製作所だった可能性が指摘されている。

【沖縄県中部】水道水からPFASが検出される

沖縄では、平成26年~平成28年に沖縄県中部の水道水の調査を行ったところ、高いPFAS値が出たことが判明した。汚染の原因については「米軍基地内の訓練や事故で使った泡消火剤が土壌や地下水に浸透したため」および「産業廃棄物処分場があったため」とされている。

日本の規制状況と対策とは

日本のPFAS規制状況と対策を押さえておこう。

日本でのPFOS・PFOAに対する規制状況 

日本では「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」で、製造・輸入・使用などが制限されている。なお平成22年4月にPFOS、令和3年にPFOAが第一種特定化学物質に指定され、製造・輸入・使用などが制限された。

PFOS、PFOAと類似した物質「PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)」についても、令和5年11月28日に製造・輸入・使用などの禁止が閣議決定され、令和6年2月から禁止となった。

水道水中のPFAS(有機フッ素化合物)への対策とは 

水道水中のPFASの除去方法には以下のようなものがある。メリット・デメリットと合わせて確認しよう。

水道水中のPFAS(有機フッ素化合物)への対策とは 

PFAS水質検査義務化へ 

政府は、全国の水道事業者を対象に令和2年度~令和6年9月末までに実施した水質検査の結果報告を求めている。その結果、回答があった3,595事業者の内、2,227事業については水質検査を行ったという実績があったが、「検査の実績なし」という回答も1,368事業あった(※2)。

※2出典:環境省「水道におけるPFOS及びPFOAに関する調査の結果について」

PFASの暫定目標値は定められているものの、水質検査実施には法的拘束力はない。環境省では水質の管理強化を目指し、水銀・ヒ素と同様、PFAS検査を法的拘束力のある「基準」へと変更するよう議論を進めている。

自治体の実際の取り組みとは

自治体の実際の取り組みとは

 自治体のPFASに対しての取り組みを紹介する。

【岡山県吉備中央町】水道水では国内最悪レベルの濃度の高さ 

岡山県吉備中央町では、水質検査の結果、「円城浄水場」のPFAS値が国の暫定目標値を大幅に上回っていることを令和5年に発表した。

この結果を受け、町は給水エリアの住民に対し水道水の飲用禁止を呼びかけ、給水車で対応した。また、円城浄水場の取水源も変更している。

円城浄水場の汚染の原因は、山中に野積みされたフレコンバッグ内の「使用済み活性炭」から浸みだしたPFASだった。この活性炭から溶出試験でPFASが1リットルあたり最大450万ナノグラム検出されている。

原因判明後、町は所有者である活性炭製造会社に対してフレコンバッグを撤去、汚染物質が流出しない保管をするよう行政指導を行った。国に対しても「PFAS含有廃棄物の管理及び処理の厳格化」を求める要望書を提出している。

【沖縄県】嘉手納基地内の土壌汚染・地下水汚染が河川、湧水に滲出

沖縄県では、平成28年に北谷浄水場の水源である河川から高濃度のPFOS、PFOAが検出されていることを発表した。嘉手納基地内で長年使用されていた泡消火剤が、土壌や地下水に蓄積し、周囲の河川が汚染されたことが原因としている。

判明当時、 県は県費1億7,000万円を使って活性炭フィルターを設置、さらにPFOS、PFOAの濃度が高い水源からの取水も停止した。また、日本政府や米軍への交渉も行っている。

市民レベルでは、沖縄に住む主婦らで結成された「水の安全を求めるママたちの会」が対応についての要望書を県に提出するなどの活動を行っている。

住民の安全な生活のため、検査と適切な対応を!

PFAS(PFOS、PFOA)が日本でほぼ製造・輸入・使用されなくなって10年以上が経過した。しかし、PFAS問題は解決したわけではない。現在でも土壌や地下水・海・河川に残り、水質に悪影響を及ぼしているという大きな問題を抱えている。

現在、PFASの暫定目標値はあるが水質検査を行う義務はない。今後は、水の安全のためにPFAS検査の義務化も求められている。自治体でも、水質検査の実施、検査結果の開示をしっかり行い、住民の不安払しょくに努めたい。

 

原田 浩二(はらだ こうじ)さんの著書 

『水が危ない!消えない化学物質「PFAS」から命を守る方法』(河出書房新社)『水が危ない!消えない化学物質「PFAS」から命を守る方法』(河出書房新社)

 

全国で問題となっている「PFAS」。飲料水を始め、防水加工品や化粧品などにも含まれ、蓄積による健康被害が大きく懸念されている。その正体から、いかに身を守るかまでをまとめた1冊。

 

 

『これでわかるPFAS汚染 暮らしに侵入した「永遠の化学物質」』(合同出版)『これでわかるPFAS汚染 暮らしに侵入した「永遠の化学物質」』(合同出版)

 

20年以上にわたり有機フッ素化合物(PFAS)の毒性を研究し、市民とともに暮らしのなかの汚染調査をしてきた研究者がやさしく解説。沖縄、東京、愛知、大阪で汚染被害を訴え、解明にむけて国内外に発信する市民運動4団体の報告も収録。

 

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