公開日:
生成AIを議会事務に活用し、議論の質と生産性を上げる。

生成AI搭載の議会事務支援システム
自治体と切り離せない“議会”。そこで交わされる議論はまちづくりに欠かせないが、一方で職員の事務負担軽減も課題だ。このジレンマを解消すべく、取手市では議会事務に生成AIを導入。独自のアプローチで議会改革を推進している。
※下記はジチタイワークスVol.43(2026年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]株式会社アドバンスト・メディア

取手市
総務部 情報管理課
課長 岩﨑 弘宜(いわさき ひろまさ)さん

取手市
議会事務局
次長 蛯原 康友(えびはら やすとも)さん
議会事務局と議会参加職員の業務を生成AIで効率化すると決意した。
「令和4年に生成AIが注目されはじめた頃、これを議会事務に活用しない手はないと思いました」。そう語るのは“議会愛”を自身のテーマにしている岩﨑さんだ。「初めてChatGPTを使ったとき、すぐに議会だよりの編集に活かせると直感したのです」。
同市では以前から「アドバンスト・メディア」の音声認識文字起こしツールを活用していた。これにより職員の議事録作成負担は大幅に軽減されていたが、残る課題の一つが“議会だよりの作成”だった。発言記録を全て読んで質疑の核心部を抜き出し、それを要約して市民に分かりやすく構成するというのが編集の流れ。そのため完成までに多くの時間を要していたという。
また、庁内各課の“議会答弁書作成業務”にも課題があったと蛯原さんは語る。「議会の数日前に質問の通告があります。まずは議員へヒアリングを行い、資料や過去答弁を参照しつつ答弁案を作成。その後、幹部勉強会や内容調整も実施するので、スピードが求められ、プレッシャーも大きいのです」。ここに生成AIを取り入れたら精度もスピードも上がるはず。岩﨑さんはその思いを同社に伝え、文字起こしツールに付随する機能として、2つのシステムの協働開発が始まった。


開発において最も重視したのは、使いやすさと議論の質の向上。
開発において掲げた目標は、単なる効率化ではなく、“議論の質の向上”。また、生成AIの扱いに不慣れな人でも使いやすいよう工夫を重ねたという。「プロンプトを書かずともボタン一つで実行されるなど、定型的な作業はできるだけ簡略化しました。ただし、要所では職員の目が必要だと考えています。そのため議会だよりについては、議事録原文とAIが生成した要約を並べて比較しながら編集できる仕様としました。“議論が白熱した部分を抽出したい”といった感覚は、人間の方が優れていますから」。

また、議会だよりと並行して、答弁書作成システムの開発も進められた。議員の通告をもとに想定質問が複数案生成され、それに対する答弁例も提示される。答弁の情報源には、市の各種計画、過去の議事録、他自治体の事例などを読み込ませることができ、それを肯定的に、あるいは否定的に使うのかも選択可能。完成した答弁書のクオリティは非常に高いそうだ。ただ、やはり最後は職員の仕上げが必須だと語る。「庁内で説明を行った際、市長から“答弁書には必ず魂を入れること”という言葉がありました。まさに忘れてはいけない部分だと受け止めています」。

業務に余白を生みつつ、行政のブラッシュアップにもつながる。
議会だよりと答弁書の作成支援システムは、令和6年の実証実験を経て、翌年に本導入された。期待通り、前者は80%以上の業務効率化を達成。後者も職員から“50%以上の効率化ができた”という反応があったという。「複数案が生成されるので、自分では考えつかない想定問答もできます。議会に出席する際の備えになりますし、結果的に質問されなくても、AIによる問答のアイデア自体が、行政をブラッシュアップさせる一つの情報になる。これも重要な点です」と蛯原さん。
両システムは、文字起こしツールの付随機能として正式にリリースされている。なお、同市では議員側にもアカウントを配布しており、答弁書作成支援システムの利用を勧めているそうだ。「システムの活用で、質問も深化していくはず。開発目的は議論の質を高めることなので、職員と議員、両者に使ってほしいですね」と岩﨑さんは力を込める。今後、職員数・議員数が減っていく中でも、議会では市民の幸福追求に向けた議論を深めていかなければならない。そのためにもAIができることはAIに任せ、人にしかできない仕事を追求するべきだと、2人は語ってくれた。




お問い合わせ
サービス提供元株式会社アドバンスト・メディア










