ジチタイワークス

「似合う服」、着ていますか?自分も相手も幸せになる、公務員が意識したい服選びのコツ

「“服”は個人の楽しみ」「オシャレは仕事に関係ない」…そう考える方は多いのではないだろうか。

本記事では、元・都庁職員で、現在はイメージコンサルタントとして活躍している古橋香織さんに、公務員にとっての「服の力」について執筆いただいた。

今回は公務員としての「服選びのポイント」を紹介。服装を選ぶときには、見落としがちだけれど重要なポイントがあるという。古橋さんの公務員時代のエピソードとともにお楽しみいただきたい。
 

【元公務員・イメージコンサルタントが語る~服の力のハナシ~】
(1) 服は仕事の「特効薬」!正しく装えば、クレーマーも怖くない
(2) 「似合う服」、着ていますか?自分も相手も幸せになる、公務員が意識したい服選びのコツ ←今回はココ
(3) 自分は「イエベ」?それとも「ブルベ」? 公務員のためのカラーコーディネートのコツ

装いの「空気」が読めなかった過去の私

「古橋さんって公務員時代どんな服を着ていたの?」

という質問を受けることがたまにあります。おそらく知っている人は知っていると思いますが、私が公務員だったころの服装は少なくとも他人に偉そうにアドバイスできるものではありませんでした。例えばどんなものかといえば、同期や先輩に用事があって別フロアに行くと、入り口で止められてしまうような…悪い意味で公務員ぽくない、髪色も服も派手な職員だったと思います。タイト目のニットワンピや、花柄やプッチ柄のワンピースを普通に職場で着ていました。下の写真はちょっと落ち着いたころ(?)の私です。

落ち着いたといっても今見ると全然ですね

では、公務員時代にどうしてそのような方向に進んでしまったのかというと「仕事で目立てなければ服で目立てばいい」というあまりにも若く曲がった承認欲求によるものと、「そこそこ仕事していれば何を着ても良いよね」という安易な考えによるものだったと思います。ただただおしゃれな人と思われたい、おしゃれな都庁職員なんてめっちゃカッコいい!!と思っていたわけです。もとからファッション大好きおしゃれ大好きだった私なので、仕事の中で特に楽しみが見いだせなかったときは、自分が明日の朝何を着ようかを布団に潜りながら考えるのが唯一の楽しみだったし、「服こそ自分を自分たらしめるもの」だと強く思っていました。その考えは今も変わっていませんが、当時の私はどこか誤った方向で「装い」をアウトプットしてしまっていたことは言うまでもありません。とはいうものの、そういう経験も今のお仕事に繋がっている、と思っています…。

当時着ていた服たち

あるときから、服を注意されなくなった話

そんなに派手な職員だったら誰かに注意されていたでしょう、と言われます。はい、確かに新採だった頃と初めての異動の直後は幾度となく注意されていました。髪の色やスカートの丈、ピアスの大きさに至るまで、先輩たちはかなり言葉を選んで注意、ではなく助言してくれていたと思います。しかし、先輩のアドバイスを100%受け入れようという姿勢は当時の私にはありませんでした。理由は「私の方がおしゃれだから」。それを貫いているうちに気づいたら誰からも注意されなくなりました。その時は「そういえば最近服を注意されていないな〜。」としか思いませんでしたが、同じ担当に私よりも年次が下の職員が増えてきたという背景のほかに、要はコイツ何言ってもダメだという烙印(らくいん)を押されたのだと思います。いい加減自分で気付けよと。

私の場合は10年近く前の話ですが、今の役所では「誰かの服を注意する」という行為もなかなか難しくなってきているように思われます。だから注意された人は私みたいに「うるせー」なんて思わず、ちょっと自分を省みてみることも大事ですよ、と今だからこそ声を大にして言いたいです。今考えてみると「好き」のみで服を選んでいた私は、公務員生活の中でも相手に与える印象、そして人事異動の方面でもかなり損していたのだろうな‥と思います

よく言えば真面目、悪く言えば大変閉鎖的であり、人間関係が仕事のしやすさに大きな影響を与える公務員の組織風土。民間のように服装のあり方がそのまま仕事の結果につながることは少ないですが、一度「変な服の人」認定をされてしまうと、自分の知らないところでうわさはどんどん広がっていきます。おしゃれすぎたりくたびれすぎていたり、変な服の定義にもいろいろありますが、公務員だった頃の私の経験上、誰かのうわさ話の際は「ああ、あの服の人だよね」という1つの「記号」のように、何を着ていたかは本人のイメージの重要な部分を占めているようです。自分の服装に関心のない人が多いにもかかわらず、他人の服装には結構厳しい。こういう組織も結構珍しいかもしれません。

では、どういう基準で服を選べばいいの

公務員時代に「自分さえよければいい」という発想で服を選んでいた私は、歳を重ねれば重ねるほどに明らかになる自分の装いと自分の身体がちぐはぐになっている違和感を抱えた中で、「見た目は心の1番外側である」というイメージコンサルティングの考え方に出会いました。見た目と心の相互作用を重視する考え方にこれまでにない新鮮さを感じた私は、パーソナルカラーや骨格診断、パーソナルスタイルといったイメージコンサルティングの勉強を軽い気持ちでし始めた結果、今はその人の立場や職業を考慮して服を選ぶことを命題とし、クライアントの人生に服装の力で追い風を吹かせるイメージコンサルタントという仕事をしています。服装で空気を全く読んでいなかった私がこのようなお仕事をしているのも不思議ですが、その中でも今回は私がイメージコンサルタントとして活動していく上で、公務員のお客様に服選びで頭の隅に置いておいて欲しい基準について書いていきたいと思います。

下の図は、私が公務員向けにセミナーをする際や先日出版した初著『公務員男性の服』でも言及しているものになります。書かれている3つの輪が誰もが持っているであろう服装選びの軸です。

 「好きなもの」「似合うもの」「立場にふさわしいもの」の3つの輪の真ん中が「服装から自分が幸せになり、相手をも幸せにする領域」です。こちらの領域を一緒に探していくことが私の行っているイメコン、正式に書くとイメージコンサルティングになります。そして多くの公務員のみなさんは、正解がわからない中「立場にふさわしいもの」のみを基準に服を選んでいます(たまに過去の私のように「好きなもの」のみで服を選んでいる人もいます)。残念ながら「似合うもの」を明確に理解している人はほかの2つの要素よりもぐんと少なくなります。

この「似合うもの」を診断するのがパーソナルカラー診断や骨格診断といった「診断系」になります。パーソナルカラーとは、その人の持つ肌や目の色素に調和する色、いわゆる「似合う色」のことです。自分のパーソナルカラーをを身につけることによって顔映りが良くなり、周囲に与える印象もアップします。パーソナルカラー診断では(私のところの場合)120色の「ドレープ」という色の付いた布を顔の下に当てることで、顔映りの良い色味を10色ほどご提示します。その中でひときわお似合いの色味を「ベストカラー」として3色ほどご提案させていただきます。

一方で骨格診断とは、その人が生まれ持った筋肉のつき方や脂肪の質感、骨のボリューム感を軽く体にタッチしながら探ることで、骨格タイプを割り出し、似合う素材やデザインを明らかにします。Vネックが似合わない、柄物が似合わない、パリッとしたシャツが苦手‥などの悩みは、骨格診断でほぼほぼ解決します。

パーソナルカラー診断の様子

「好きなもの」「似合うもの」「立場にふさわしいもの」と簡単に書かせていただきましたが、ではそれぞれどのような事柄が該当するのかというと、

 

・好きなもの‥普段自分が読んでいる雑誌や手に取りがちなアイテム

・似合うもの‥肌に馴染んだり顔映りが良くなる色(パーソナルカラーのこと)、体型カバー、スタイルアップができるデザインや素材(骨格タイプのこと)

・ふさわしいもの‥職業や社会的に求められる役割

※パーソナルカラーと骨格タイプは自宅で簡単に出来る簡易診断もあります。気軽に受けてみてください

 

が挙げられます。こちらの3つの要素を全て満たすことによって、「仕事がうまくいき」「自己肯定感が向上」することができるのです。お給料が税金だから、市民の目があるから、職場で浮きたくないからなどなど、公務員のみなさんは服装に対してまだまだ「守り」のイメージを持っている人が多いです。しかし、攻めた気持ちで選んだ服ほど自分を助けてくれるし、将来なりたい自分像に近づけてくれる力を持っていると信じています。そのためには上に示したような「似合うもの」「好きなもの」「立場にふさわしいもの」を意識して服装を選んであげると、身につけたものからパワーをもらえるだけでなく、同僚や市民、議員など仕事で接する相手への印象も良くなるという、内にも外にも良い影響があるのです。今までただ何となく服を選んでいた人は、ぜひ意識して選んでみることをおすすめします!

写真・図/古橋さん提供


古橋 香織(ふるはし・かおり)

イメージコンサルティングラボColor Commons代表 一般社団法人イメージプロデュース協会認定イメージコンサルタント、AFT1級色彩コーディネーター

1988年生まれ、早稲田大学卒業後フリーターを経て東京都庁に入都。消費生活、議会運営などの業務に携わる他、早稲田大学大学院政治学研究科を修了。地方自治、地方議会について学ぶ。在職中、都議会議員からネクタイのアドバイスを求められたことをきっかけに服装を中心としたノンバーバルコミュニケーションの可能性に興味を持ち、イメージコンサルティングのメソッドを学び、東京都を退職。

現在は政治家の印象プロデュースの他、服装迷子の公務員へのイメージコンサルティングやメイクレッスンなどを行っている。

2021年11月、株式会社ぎょうせいより『公務員男性の服』を出版。一方で女性職員に向けてInstagramで「お役所女子必携コスメ」や自身の活動内容を発信している。

古橋さんのサイト

 

このページをシェアする
  1. TOP
  2. 「似合う服」、着ていますか?自分も相手も幸せになる、公務員が意識したい服選びのコツ