ジチタイワークス

自分は「イエベ」?それとも「ブルベ」? 公務員のためのカラーコーディネートのコツ

「“服”は個人の楽しみ」「オシャレは仕事に関係ない」…そう考える方は多いのではないだろうか。

本記事では、元・都庁職員で、現在はイメージコンサルタントとして活躍している古橋香織さんに、公務員にとっての「服の力」について執筆いただいた。

今回は服装選びに欠かせないカラーコーディネートのコツについて、具体例とともに解説いただく。
 

【元公務員・イメージコンサルタントが語る~服の力のハナシ~】
(1) 服は仕事の「特効薬」!正しく装えば、クレーマーも怖くない
(2) 「似合う服」、着ていますか?自分も相手も幸せになる、公務員が意識したい服選びのコツ
(3) 自分は「イエベ」?それとも「ブルベ」? 公務員のためのカラーコーディネートのコツ ←今回はココ

前回の連載「『似合う服』着ていますか?自分も相手も幸せになる、公務員が意識したい服選びのコツ」で、終盤に少しだけ「パーソナルカラー診断」について取り上げました。以来、「もっと詳しく知りたい」「公務員がパーソナルカラーを取り入れる際のコツを知りたい」などの意見をいただくことがあり、今回の連載では、今話題の「パーソナルカラー診断」をはじめとした、公務員が好印象を与えるためのカラーコーディネートのコツをお伝えさせていただきます。

なぜ「カラーコーディネート」が大事なの?

私がイメージコンサルタントのスクールで学んだ、仕事をする上で1番の土台となる「印象形成」の考え方の1つに、「イメージのABC」というものがあります。ABCとは、人の印象が形成される上で重要となる要素のことで、Aはappearance(姿かたち)、Bはbehavior(立ち居振る舞い)、Cはconversation(対話)のことをいいます。これらの3つの要素が絡み合って、「この人はこんな感じの人だな」という「印象」がつくられていきます。

ただ、私たちの生活の中でのファーストコンタクトは、「姿かたち」から入ることがほとんどです。このため中でもAのappearance(姿かたち)は印象形成の中で大きな比重を占めており、実際相手と向き合ったとき、「服をはじめとした身につけているもの」から、私たちの脳は大量の情報を入手しようとします

では話を一段深くしましょう。その「服」とはどんな要素からできているのかを考えてみると「どんな色か」「どんな素材か」「どんなデザインか」の3要素に分かれます。この3つの要素が相手の深層心理に影響を与える割合は、色=5、素材=3、デザイン=2だといわれています。このことから分かるように、色は相手の視覚に入りやすく印象にも残りやすいのです。このため好印象はまず「色」から、ということができます!

似合う色の見つけ方

さて、みなさんは「イエベ」「ブルベ」という言葉を知っていますか?知らない人は近くの席の女性に聞いてみましょう。おそらくほとんどの女性がこの言葉を知っていると思います。この「イエベ」「ブルベ」とは、「イエローベース」「ブルーベース」の略のこと。自分に似合う色を調べるために受けるパーソナルカラー診断の基軸となる考え方の一つです。 

この「イエベ」「ブルベ」という言葉そのものの女性の認知度は9割を超えており(一方男性の認知度は5割くらいかな、という感じ)、服やコスメは自分が「イエベ」「ブルベ」のどちらなのかが分からないと安心して買えないという人も増えてきています。「イエベ」とは黄色がかった色が似合う人のことで、「ブルベ」とは青みがかった色が似合う人のことを指しています。人はだれでもこの2つのどちらかに属していて、自分のベースと同じ合う色を身につけると髪や目、肌の色に「調和」をし、「似合う」が完成するのです。

イエベ・ブルベの図解はこんな感じ(出典は私のセミナー資料です)。


同じ緑や赤でも黄色が入っているか青が入っているかで違います。一般的にイエベの人は「元気で親しみやすい印象」、ブルベの人は「品のあるエレガントな印象」を持っていることが多いです。


一部の方はなんとなく気づいているかもしれません。そう、「似合う色」とは雰囲気との「調和」をもたらす色のことで、ずばりいうと「浮かない」色味のこと。これって公務員が服装を選ぶにあたって1番重視しているポイントと共通していますね。そのくらい公務員は、自分の似合う色を知っておくと良いことがたくさんあるのです。では、自分が「イエベ」なのか「ブルベ」なのか、ということはどうすれば分かるのでしょうか。ネットや雑誌で手軽に受けられる「自己診断」では半分以上が間違った結果になってしまうことが多いので、1番オススメなのはプロに見てもらうことだと思います。

似合う色は調和をもたらし印象が良くなる上、服を選ぶ面倒が半分になるので、ぜひ一度受けてみてください。では早速、自分が「イエベ」か「ブルベ」か、簡単に診断してみましょう。なお、診断に用いた質問はあくまでも統計的な傾向となりますので、ご了承ください。



自分の主観だけでなく、誰かにチェックしてもらっても良いかもしれません。

参考として、イエベ・ブルベが分かりやすい人はこんな感じです。


右の私はイエベ、左にいる私のところでイメコン(イメージコンサルタント)を勉強している生徒さんはブルベです。マスクの色も肌と調和していますね〜。

 

いかがでしたでしょうか?もう一度いいますがこちらは統計的な傾向です。1番良いのはプロに見てもらうことですよ。

「イエベ」「ブルベ」それぞれに提案する、公務員のためのカラーコーディネート

先ほど簡単に診断した「イエベ」「ブルベ」の考え方を活かせば、洋服選びが困らなくなります。私のところでも、パーソナルカラー診断を行っておりますが、最近の傾向として増えてきているのは「診断済みの方の受け直し」。理由は、ほかのサロンだと鮮やかな色味を中心に提案されてしまい、実際のお仕事シーンにはあまり役に立たなかった、という方が多いです。確かに公務員の方は、色味を抑えた提案が重要な特殊なお仕事です。このため、お仕事の背景を細やかに聞き取って提案をしないと、お客さまが結果を活かせないということが発生するのも理解できます。

私が思うに、公務員のカラーコーディネートで重要なのは、「紺」「白」「グレー」「ベージュ」「茶色」などのベーシックカラーと呼ばれる、世間一般でいうと「地味」な部類に入る色味です。しかしこのベーシックカラーはとても奥深い色味で、似合う色を正しく選んであげると、一気にまとう雰囲気が洗練され、誠実で信頼できる印象になるという特徴があります。今回は数あるベーシックカラーの中から、公務員の職場の服装で核となる「紺」「白」「グレー」を取り上げて、それぞれ「イエベ」「ブルベ」の両方にどのような色味がお似合いになるのかを解説していきたいと思います(出典:古橋のセミナー資料)。

まずは「紺」。

「イエベ」の人は黄色を感じるあたたかな紺、「ブルベ」の人は青みの強い紺が似合います。単体だと分かりにくいかもしれませんが、スーツやジャケット売り場で陳列されている中でいろいろ比べてみると分かりやすいです。

次は白を比べてみます。

ご覧のとおり「イエベ」の白は黄色の入ったアイボリーやきなり、「ブルベ」の白はオフホワイトや純白です。シャツの色もこの視点で選んでみると、首元の色味と調和して雰囲気がまとまります

最後はグレー。紺の次に使える色味です。


「イエベ」のグレーはベージュの入ったあたたかな紺、一般的なグレーは「ブルベ」の人が似合います。グレーは紺よりも柔らかい印象になるので、スーツやジャケットスタイルでも使える色です。

いかがでしたでしょうか。このように、同じ紺、白やグレーでも色味の差があり、この差を利用して自分の似合う色を選ぶと印象が一気に洗練されます。公務員は地味で無難、パッとしない、そんなイメージが許されるのも過去の時代。自治体間競争が激しくなり、公務員の魅力アップが急がれる今、それぞれの公務員がどんな姿で働いているのかは世間の関心の強いところであり、身なりが整うと自分自身の心も強くいられます。私の連載は今回がラストですが、これまで誰も気づかなかった「公務員」×「服装」の考え方が、それぞれの自治体職員、そして自治体そのもののイメージすら変える、という可能性を提起させていただきました。ぜひノウハウを日常に取り入れていただけるとうれしいです。
 

写真・図/古橋さん提供


古橋 香織(ふるはし・かおり)

イメージコンサルティングラボColor Commons代表 一般社団法人イメージプロデュース協会認定イメージコンサルタント、AFT1級色彩コーディネーター

1988年生まれ、早稲田大学卒業後フリーターを経て東京都庁に入都。消費生活、議会運営などの業務に携わる他、早稲田大学大学院政治学研究科を修了。地方自治、地方議会について学ぶ。在職中、都議会議員からネクタイのアドバイスを求められたことをきっかけに服装を中心としたノンバーバルコミュニケーションの可能性に興味を持ち、イメージコンサルティングのメソッドを学び、東京都を退職。

現在は政治家の印象プロデュースの他、服装迷子の公務員へのイメージコンサルティングやメイクレッスンなどを行っている。

2021年11月、株式会社ぎょうせいより『公務員男性の服』を出版。一方で女性職員に向けてInstagramで「お役所女子必携コスメ」や自身の活動内容を発信している。

古橋さんのサイト
 

 

このページをシェアする
  1. TOP
  2. 自分は「イエベ」?それとも「ブルベ」? 公務員のためのカラーコーディネートのコツ