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【セミナーレポート】人材、スペース、ICT活用…専門事業者との連携が地域ににぎわいを生む!

地域を活性化させる上で重要なファクターとなる“関係人口の増加”。今回のセミナーでは、「ワーケーション」「雇用」というジャンルで先進的な取り組みを進めている3社から事例を共有してもらいつつ、地方のにぎわいはどのように創出していくべきかを議論しました。

当日の様子をダイジェストでお伝えします。

概要

□タイトル:ICTを活用したワーケーション促進と地域の雇用創出
□実施日:2021年3月30日(火)
□参加対象:自治体職員
□開催形式:オンライン(Zoom)
□登録者数:51人
□プログラム:
 第1部:地域と都市部をつなぐテレワークによる地方創生
 第2部:初期掲載料0円の「タイミー」「タイミートラベル」を活用した地域雇用の創出と関係人口の拡大
 第3部:トークセッション


第1部:地域と都市部をつなぐテレワークによる地方創生

地方創生を持続的に行う上で「人を集める」ことは最重要課題だ。NTT東日本では、自治体との連携も重ねながらテレワークやワーケーションに関する取り組みでこの課題に挑んでいる。同社の桟敷(さんじき)さんに具体的な内容を語っていただいた。

<講師>

桟敷 大志さん
NTT東日本 地方創生推進部 

プロフィール

1988年生まれ。神奈川県小田原市出身。2012年NTT東日本に入社後、大手家電量販店のディーラーヘルプ、新卒採用、企業のICTコンサルティングなどの業務に従事。2020年7月より現職で、自治体のクラウド・テレワーク推進やサービス開発、地域と都市部のつながり創出など、地域課題の解決に奮闘中。

現在、コロナ禍の影響で、東京からの人口流出が続いています。流出先は、今のところ埼玉・千葉・神奈川の周辺3県ですが、これから先は、東京から出ていく人の地方自治体による“争奪戦”が始まることが予想されます。そのような状況に対し、当社では様々な方向から自治体へのアプローチを行っています。例えば、暮らしを支えるインフラ、産業活性化、健康、交通、防災などといったジャンルです。

こうした活動を続ける中で、コロナ禍の影響もあり、いくつかのトピックが際立ってきました。以下、それらのトピックごとに、当社の取り組みや、自治体と連携して行っている活動などを紹介します。

テレワークによる働き方の変化

自治体職員の方がテレワークをする場合、ネックになるのは職員間のコミュニケーションです。通常は職場で気軽に声をかけられますが、テレワークでは何らかのツールが必要になります。こうした場面のために、当社では「elgana」というチャットアプリを用意しています。純国産で、初期費用は無料。月額無料のプランもあるので、手軽なサービスを探している方にはおすすめです。

サテライトオフィスの活用

密を避けるという意味でも便利なサテライトオフィスですが、当社は各地に「局ビル」という施設を持っており、それを活用しています。局ビルの施設内は通常閑散としているので、手を入れてサテライト化しているのです。例えば、神奈川県登戸の局ビルは、使いたい人を募集したところ応募が殺到し、高い競争率になりました。サテライトオフィスを活用して働き方を変えたい、というニーズの高さが推測できます。

ワーケーションに関する実証実験

栃木県日光市と連携協定を結び、ワーケーションの誘致に関する実証実験を行っています。観光地である同市において、オフシーズンにワーケーションを取り入れ人の波を平準化しようというのが狙いです。現在、栃木県庁や観光庁なども巻き込んで、ワーケーションを取り入れた地方創生のあり方について議論を進めている段階です。

移住移転に関する取り組み

このカテゴリーでは、大きく2つの取り組みをしています。

(1)テレワークを活用した多様な働き方が生まれてきているのに対し、地域でも不自由なく仕事ができるICT環境を提供する。
(2)全国のNTT拠点を活用し、地方にサテライトオフィスを整備、各地で仕事ができるよう整備する。

上記を組み合わせれば、地域での関係人口創出に貢献する仕組みを提供できます。具体的には下図のような支援を考えています。

ここまで述べてきた内容をもとに、地域に人を呼び込む仕掛けの一例を紹介します。「自治体が地域企業と連携し、地域にサテライトオフィスを作る」というケースです。

サテライトオフィスを作ることで、以下2つのパターンで都市部から人を呼び込むことが期待できます。

(1)ワーケーション…サテライトオフィスを活用したワーケーションで人が地域に滞在する。地域にとっては認知度向上につながる。
(2)副業・兼業…援農や地域おこしなどで一定期間滞在しつつ、サテライトオフィスで本業を行う。地域にとっては人手不足の解消や、地域ファンを増やすことにつながる。

上記については、サテライトオフィスを作るだけでなく、利用促進が必要です。そこに「スペースマーケット」のサービスが活用できます。同社は何らかの利用価値があるスペースをWebで紹介・レンタルしている会社で、当社も密に連携しており、これらのスペースにICT環境を提供できます。

また、(2)のケースでは人材プラットフォーム「タイミー」のサービスが有効です。後ほど同社の葛西さんが語るので詳細は割愛しますが、「副業を探している」「知らない土地で働きたい」といった人材データを豊富に持っている会社です。この3社連携で、サテライトオフィスを使って地方に人を呼び込む様々な仕掛けが構築できます。地域の特性や課題に合わせてサービスを組み立てていくので、気軽に相談していただければと思います。

第2部:初期掲載料0円の「タイミー」「タイミートラベル」を活用した地域雇用の創出と関係人口の拡大

都会の若者の間に「ふるさと志向」が高まっている。これらの層と、人材誘致を目指す地域とを結ぶアプリ「タイミートラベル」が人気だ。ここからは、同アプリを運営するタイミーの葛西さんが地域雇用の現状を報告する。

<講師>

葛西 伸也さん

株式会社タイミー トラベル事業部 

プロフィール

1985年生まれ。青森県青森市出身。ベンチャー企業で新規事業開発や地方創生事業に10年以上携わる。2020年に「タイミー」を運営する株式会社タイミーに入社。現在は、「タイミートラベル」の事業責任者として、地方の事業者と都市部人材とのマッチング事業を展開中。

 

私はITベンチャー出身ですが、キャリアの中で地域の活性化に興味を持ち、宮崎県日南市で地方創生の仕事に携わり、その後も全国の自治体のサテライトオフィスをつくるお手伝いをしてきました。そうした事業の中で感じたのは、企業誘致にしても移住にしても、効果を出すには人をその場に連れてきて体験してもらうのに尽きる、ということです。そこで、まず現地で土地の良さを体験してもらい、人や地域との関係性が生まれるきっかけを作ろうと立ち上げたのが「タイミートラベル」です。

 

タイミートラベルの前身は、「タイミー」というスキマ時間のアルバイトを探すためのマッチングアプリです。単発ですぐに働きたい人と、短時間の働き手がほしい企業をスマートフォンのアプリでマッチングしており、全国に約170万人のユーザーがいます。

タイミートラベルは、そのタイミーから派生したサービスですが、紹介する仕事もユーザーも異なります。タイミートラベルで紹介する仕事は、地方における農業のお手伝いや観光・宿泊業務といったものが主で、ユーザーはお金を稼ぐことが目的ではなく、「知らない地域の仕事を体験したい」「地域住民と交流したい」といった方が多くを占めています。そもそもタイミートラベルでは、仕事の対価は宿泊料や食費などと相殺される仕組みになっているため、結果として、より地域に対する深い興味を持った人たちが集まることになります。いわば「第2のふるさとをつくるアプリ」です。

このタイミートラベルを利用して、実際に地域で働いたユーザー(ワーカー)は、期間後も地域とのつながりを保つ傾向があり、「この人に会いたい」と何度も地域を再訪問したり、SNSで継続的なやりとりをしたりします。実は、都会に住む若者の「ふるさと回帰志向」はとても高いのです。当社でタイミーのユーザーにアンケートをとったところ、有効回答約3,600人のうち約半数が「地方に関わりたい」という回答でした。その半数が若年層です。ただし、そうした人たちが重視するのは「仕事」です。「自然が豊かで、食べ物がおいしい」といった特徴も必要ですが、その上で、生活をしていくための仕事があるかどうかが重要なのです。

こうした背景のもと、当社が力を入れているのが「副業型ワーケーション推進」。本業のテレワークを地方でやりながら、かつ地域の農業などを体験する、という働き方です。これを成功させるには、地域で受け入れ態勢を作り、働く場所、泊まる場所、コワーキングスペースなどを整備して、都市部の人にプランとして提供できるようにする、というのが理想的です。

この副業型ワーケーションでは、以下の2つのパターンを考えています。

(1)スキル提供型ワーケーションプラン

本業を中心にして、要望がある時に地元事業者のサポートを行うスタイル。例えば日中は基本的にテレワークで本業を行い、求められたタイミングで農家のEC販売や地元事業者のSNS発信などを手伝う、といったイメージ。

(2)援農型ワーケーションプラン

農家の一日に合わせて働き、その他の時間は仕事と自由時間というシンプルなスタイル。農家も一日中働いてほしいわけではなく、「早朝の収穫を手伝ったらあとは自由」ということも多い。こうした都合に合わせて自分の仕事も組み立てていく。このようなモデル構築をもとに、当社では2020年から自治体との取り組みを推進しており、福岡県宗像市、熊本県菊池地域などで地域創生の活動を行っています。福島県のいわき地域では県や地元NPOと協働で移住ツアーを企画し、定員の4.5倍の募集がありました。2022年度もいくつかの自治体から相談をいただいています。今後も全国の地域と共に、関係人口の創出をしていければと考えています。

第3部:トークセッション

ここからは、スペースマーケット社の益戸さんをファシリテーターに迎え、NTT東日本、タイミーそれぞれの視点での地方創生、及び3社協働でどのように地域に貢献できるのかという点を座談会形式で語り合ってもらった。

<ファシリテーター>

益戸 佑輔さん
株式会社スペースマ―ケット
ビジネス開発部 事業開発担当

プロフィール

1986年生まれ、東京都目黒区出身。2009年、トランスコスモス入社。金融業界を中心とした法人営業を担当。2014年、スペースマーケットの第1号社員として入社。事業開発、営業、採用など、ビジネス領域全般を担当。現在、外部パートナーとの提携・協業の推進、新規ビジネスの企画推進を担う。

 

 

益戸:私はスペースマーケットで事業開発を担当しながら、以前はシェアリングエコノミー協会の事務局も運営していました。その“シェアエコ”の視点で見ると、理想的な仕組みをタイミーは持っています。また、スペースマーケットは空間と人とをマッチングする優れたビジネスモデルを構築しており、自治体との連携にも積極的です。これらの仕組みをうまく活用しながら地元を活性化していければと思います。ところで、先ほど援農モデルなどの話が出ましたが、実際にどんな方が働き手になっているんでしょうか?

葛西:様々なタイプの方がいらっしゃいますが、一番イメージしやすいのは学生さんです。長期休暇を使って、地域の手伝いに入っています。皆さん、地方創生への感度が高い方ばかりです。また、セミリタイア層も多いです。たとえば50代でリタイアした元自衛官の方が「地域に関わってみたい」と希望されるようなケースです。
そして会社員。副業・兼業が解禁される中で何かアクションを起こしてみようかというタイプです。それも物流やコンビニといった働き方ではなく、地方に行って想像のつかない仕事をやってみたいというのが希望。こうした方々が増えています。

益戸:なるほど。その中でも会社員は、リモートなどで働ける環境を地域で整えていくことがポイントでしょうね。スペースマーケットでは約15,000のスペースを掲載しているので、そういう場面でも貢献できればうれしいです。
桟敷さんは、人材受け入れにおいて地域はどのような体制をとるべきだと考えていますか?

桟敷:私も多くの自治体とお話しさせていただいていていますが、タイミーのようなプラットフォームを活用して、地域の雇用とつなげるという観点も大切だと考えています。自治体側では、地域に来てもらう理由を雇用と紐付けていくのが重要で、上士幌町の「縁ハンスプロジェクト」などが好例です。地域の企業を巻き込んで課題解決をしながらビジネスにつなげていく、その仕掛けは興味深いですね。

益戸:雇用の生み出し方は地域の大きな関心事でしょうね。取り組みにおける最初の一歩はどう踏み出したらいいでしょうか?

葛西:私たちが地域事業者に声掛けをすると、「ファーストペンギンになりたくない」という空気を感じることが多いんです。どこかがやると言えば「うちもやろう」となるのですが(笑)。だからこそ、現地の自治体や民間の協力が不可欠です。
地元での信用力は、自治体や地銀、JAなどが圧倒的なので、まずはそういったところに協力をあおぎ、協力的な事業者をリストアップしてもらいます。そしてアポまでとっていただき、我々が訪問するという流れです。信用力をもとに“つなぎ役”を地域で担当していただくイメージです。

益戸:NTT東日本では、そうしたシーンの下支えという面で、どんな連携ができるでしょうか?

桟敷:当社は全国に支店があるので、営業のリソースだけでなく、地元の意見を拾いやすいという強みを持っています。民間企業とのつながりも多いので、企業とのアカウントも活用していただけると思います。

益戸:それでは、ここからは視聴者の質問に回答していきたいと思います。まずは「体験後、正社員になる方の割合は?」というものですが、いかがでしょう?

葛西:すぐに正社員登用を希望される方は少ないですが、継続的に訪れたいという方はワーカーの8~9割ほどいます。他にもSNSで地域の方と繋がったりして、一過性ではない絆ができるんです。例えば京都の酒蔵で働いたある大学生は、以前は移住など考えていなかったのですが「卒業したら京都で働きたい」と考えが変わったそうです。

益戸:地域としては、「最終的には移住」という要望も強いと思います。そうした面で、「ここができるとワーカーも地域に根付く」といったアドバイスはありますか?

桟敷:地方では「人が戻ってくるまちをつくりたい」という強い思いが伝わってきます。そのために行動したいという人も大勢いるので、そういう人たちをうまく巻き込んでいくことが大切だと思うんです。

 

人材の誘致がうまくいっている地域には、地域の人が集う場所があって、何かと世話を焼いてくれる。そうした人・場所とのつながりを生むことも鍵です。その上で、私たちが提供しているサービスをうまく活用していただければと考えています。

最初は小さな取り組みでいいんです。まずは課題を洗い出し、地域の仕事を棚卸して、私たちに相談していただければ何かのアイデアが生まれるはず。サテライトオフィスとか、コミュニティスペースの環境整備とか、あるいは地域同士のつなぎ役とか、我々が貢献できることは色々あります。スモールスタートでもいいので、まずは何かをやってみていただきたいですね。

 

お問い合わせ

NTT東日本 地方創生推進部

E-mail:chisou_g5-ml@east.ntt.co.jp

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