企業の資金調達の方法として一般的となったクラウドファンディング。佐賀県は県内企業にその利活用を推進しようと発案者などのサポート役となるファンドレイザーを募集、両者の連携を支援している。取り組みの内容をDX・スタートアップ推進室の小野原さんと五郎川さんに聞いた。
※下記はジチタイワークスvol.13(2021年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]ニューワールド株式会社
資金調達問題が地方での新事業展開を妨げている!
企業が地方で新しいことにチャレンジする際、ボトルネックになりやすいのが資金調達の選択肢の少なさだろう。佐賀県も例に漏れず、県内には地方銀行が2行のみ、リスクのある融資にはなかなか踏み切ってもらえないというのが実情だ。そこで県が注目したのがクラウドファンディングだ。新たな資金調達の手段として、新事業の展開や新分野進出の促進、地域産業の振興を図れないかと模索を始めたという。
しかし平成27年当時、地方の企業にとって、これらはまだなじみが薄い手段。そこで継続的に資金調達できる仕組みをつくるために始めたのが、クラウドファンディングを行う企業をサポートする「ファンドレイザー」を県が支援する取り組みだ。
資金調達の新たなルートをファンドレイザーと切り拓く。
ファンドレイザーは、団体などで資金調達を行う専門家の総称だ。佐賀県の取り組みでは、県と連携協定を結び、企業が行うクラウドファンディングの資金調達をサポートする。最終的に調達額の10%程度が佐賀県より支給される仕組みだ。両者のマッチング方法は様々。県が仲介役となり、挑戦したい企業とファンドレイザーを引き合わせるケースや、ファンドレイザー自身が県内の案件を掘り起こす場合もあるという。
「今でこそメディアなどに好事例として取り上げてもらうことが増えましたが、当初は鳴かず飛ばずでした」と小野原さん。現在、連携協定を締結しているファンドレイザーは17社にのぼるが、当初はなかなか増えなかったという。そこでクラウドファンディングサイトの佐賀県の案件ページを検索するなどし、ファンドレイザーを見つけてアプローチすることから始めた。
現在の状況となるまでには、3つの段階があったという。まずは、年間で案件が数件ほど、成功報酬も数百万円ほどであった立ち上げ期。その次に、大手ファンドレイザーが参入し徐々に案件数は増えたものの、成功報酬が伸び悩んだ時期。そして近年、ようやく目標額を大きく超えて調達できる段階にまでこぎ着けた。今後は経済や地域の活性化、雇用の確保といった展望も期待されている。
数あるファンドレイザーの中でも、特に目標金額を大きく上まわって調達しているのが「ニューワールド」だという。「マーケティング経験や積み上げられたデザイン技術によって写真や動画などクオリティの高いコンテンツが作成され、これまでとは桁違いの資金調達に成功するケースが増えました。同社の参加はこの取り組みがさらに軌道に乗るきっかけとなりました」と五郎川さん。
クラウドファンディングの仕組みを利用した応援購入サービス「マクアケ」のページ(ニューワールド制作)
ファンドレイザーとともに地域の活性化を目指す。
今や県内でもクラウドファンディングという言葉が知られるようになり、新たな資金調達の選択肢として認知されるようにもなってきた。しかしチャレンジしたい企業の支援において必要なことは、それだけではない。例えば新たな案件の掘り起こしや、成功後のアフターサポートなど、段階に合った展開も必要となる。そのため、ファンドレイザーには目標額達成のノウハウを蓄積し、ぜひ今後の案件のサポートに活かしてもらいたいのだという。「県、ファンドレイザー、企業のいずれもメリットがある取り組みであり、今後の期待も大きいですね。ほかの自治体でもぜひ真似してもらいたいと思っています」。
ニューワールドのようなファンドレイザーに、さらなる連携や協力が期待されている。
佐賀県 DX・スタートアップ推進室
左:小野原 公子(おのはら ともこ)さん
右:五郎川 裕美子(ごろうがわ ゆみこ)さん
地域産業振興を図り企業を支援する仕組みとは?
ファンドレイザー導入の仕組み
ニューワールドがつくるページの強み
1.高品質なコンテンツ作成
大手のクラウドファンディングの仕組みを利用した応援購入サービス「Makuake」と資本業務提携をしており、高品質なコンテンツ作成のノウハウが蓄積されている。
2.ユーザー目線で分かりやすい
あくまでユーザーの目線に立ってプロダクトを紹介していく。なぜ良いのか、どこが良いのかを突き詰め、より分かりやすく伝えるコンテンツづくりを行っている。
挑戦できる回数を圧倒的に増やす仕組みづくり
成功事例を1つつくることで企業や産地が変わっていく
当社が佐賀県と連携し行っているファンドレイザーの取り組みは、地場企業が新しいビジネスモデルを構築するための検証(=挑戦)のハードルを下げることができると考えています。当社が得意とするクリエイティブ制作やマーケティングのノウハウをファンドレイザーの取り組みを通し、より多くの企業にサービスを提供させていただき、これからのライフスタイルに寄り添う、新商品の開発が促進されることに貢献したいと思っています。ものづくりから販売までのエコシステムをつくり、国内だけでなく海外市場で、さらにジャパンブランドが流通していくよう、新しく挑戦しやすい世界をニューワールドがつくっていきます。
ニューワールド 代表取締役社長
井手 康博(いで やすひろ)さん
お問い合わせ
サービス提供元企業:ニューワールド株式会社
TEL:03-4405-3058
住所:〒106-0031 東京都港区西麻布2-13-12早野ビル6F
E-mail:info@neworld-japan.co.jp