ジチタイワークス

長野県飯綱町

廃校を利用したテレワーク推進で「日本一女性が住みたくなる町」を目指す。

働き方改革がもたらす地方創生

日本のみならず世界中が働き方を見直す必要に迫られている現在、改めて注目を集めているのがテレワークの有用性だ。場所や環境に左右されずに働くこの方法は、地方にいながらにして、世界中の仕事を請け負うことができることも意味する。今回は、飯綱町のケースから、テレワーク推進による地方創生のあり方について考える。

※下記はジチタイワークスVol.10(2020年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社イマクリエ

Interview01

自治体の声/旧校舎活用事業とテレワーク推進

インタビュー:飯綱町企画課地域振興係 西澤 豊さん

 

女性の雇用確保は地方創生のカギとなる。

日本一女性が住みたくなる町は人口減少を食い止められるか。

平成17年に牟礼村と三水村の合併により誕生した飯綱町。合併後の10年は長期的なまちづくり指針である「第1次飯綱町総合計画」にもとづき、様々な整備や施策を行ってきた。しかし同時に、全国や長野県と比較しても早いスピードで人口が減少していること、20~39歳の女性が特に減少していることにも頭を悩ませていた。

合併以降の人口減少、女性の減少という課題が浮き彫りとなる中、次なる10年のまちづくり指針とするために策定されたのが、平成29年の「第2次飯綱町総合計画」だ。

これに先立ち、策定前年の平成28年に、子育て中の女性を対象とした仕事に関するニーズ調査を実施した。そして、調査の結果で上がった「年間を通して安定した収入を得られる仕事が少ない」「子どもがいても働きやすい職場が欲しい」などの声を踏まえ、女性が活躍できる地域環境を実現するための“働き方改革支援”を決めたという。この流れの中で生まれたのが、計画に盛り込まれた「日本一女性が住みたくなる町」を目指すというコンセプトだった。
 

課題だった雇用の確保に道筋をつけた旧校舎活用事業。

「日本一女性が住みたくなる町」の実現のために着手された取り組みの一つに、子育て世代のテレワーク推進がある。子育て支援係が中心となって、託児所併設の就労支援施設「飯綱町ワークセンター」を開設。パソコンやプリンターを自由に使えるようにするなど、テレワーク環境の整備を行ってきた。雇用についてもワークセンター内で求人相談の受け付け、求人情報の掲出などを行ってきた。しかし、活動を行っていく中で、子育て支援の枠組みにとどまらないテレワークの広がりを作っていく必要があることを感じていた。

そんな中、地域振興係が担当する小学校の統廃合に伴う旧校舎活用事業が、女性の就業支援にも活かせるのではないかというアイデアが浮上したのだ。

提案したのは、長野県のコワーキングスペース運営会社である「CREEKS(以下、クリークス)」。クリークスは、旧校舎を女性の就業拠点として活用することができるのではないかと考え、東京でアウトソーシング受注を手がけるテレワーク導入企業「イマクリエ」と協働。テレワーク希望者にスキルトレーニングを実施し、未経験者でも安定した雇用につながるまでサポートできる体制の整備を目指す。

一見するとテレワーク推進とは無関係だった旧校舎活用事業により、今までの課題だった安定雇用の確保が可能になったのだ。

 

旧校舎活用事業を担当する同町の西澤さんは、「取り組みはまだスタートしたばかりですが、クリークスとイマクリエ2社の協働を介して、多くの女性がテレワーカーとして安定した仕事を得ることで、日本一女性が住みたくなる町が実現することを期待しています」と語る。

令和元年12月には、町民を対象にテレワークについての無料セミナーを実施。今後は希望者に対し、テレワーク業務の体験、トレーニング、雇用を実施していく予定だ。

 

テレワーク支援という地方創生に官民連携で取り組む。

現在、この旧校舎活用事業は「いいづなコネクトEAST(イースト)・WEST(ウエスト)」という2拠点でスタートしている。

「いいづなコネクトは、まちの施設であり、まちの未来を創造する新しい拠点でもあります。飯綱町と、運営支援のクリークス、テレワーク支援のイマクリエという3者による取り組みは、公共施設としては珍しい運用ケースかもしれません」と西澤さんが語るように、官民で連携した取り組みには、今後注目が集まることだろう。

人口減少に負けず、時代の変化に対応できる魅力あるまちづくりのため、同町の新しい取り組みは始まったばかりだ。

セミナーの様子

 


飯綱町の取り組み/テレワーク雇用までの流れ

1.企業との連携打診

地域を超え、テレワーカーへの業務を安定して確保できる民間企業と連携打診。雇用を継続させる体制を整えることを目指す。

 

2.セミナー開催(令和元年12月)

町民を対象に、業務内容や働き方などを紹介するセミナー・説明会を開催。町の告知にテレワーク希望者約30名が集まる。

▶先輩テレワーカーの話を紹介

テレワーク希望者に向けて実施するセミナーでは、提携するイマクリエがテレワークの現場や市場の動向などを詳しく説明。実際にテレワーカーとして活躍するスタッフもリモート参加し、テレワークに関する生の声も紹介する。テレワークやパソコンワーク未経験でも、興味がある町民であれば誰でも参加可能。

 

《↓これから実施予定》

3.体験会開催

希望者に対し、実際にテレワークでの業務を体験してもらう。パソコンや周辺機器を使い、具体的な進め方をレクチャー。

 

4.オンラインでのトレーニング

トレーニング開始。約3カ月~半年かけ、テレワーカーとして高レベルの業務を請け負えるスキルを身につけてもらう。

5.雇用

トレーニングを終了した町民は、イマクリエのプロジェクトにメンバーとして参加。ここからテレワークが開始される。

 


 

Interview02

地元企業の声/廃校が、雇用格差を解決する舞台になる


CREEKS 代表取締役 古後 理栄さん

 

株式会社CREEKS
コワーキングスペース運営を基盤に、ビジネスプラットフォームの設計を手がける。事業テーマは「起業・創業」、「移住・中山間地域」、「子育て・教育」。

 

テレワーク推進を成功させる、官民協働の重要性。

地方の問題は地域内だけでは解決できない。

飯綱町は少子高齢化の影響で、平成30年4月に4校あった小学校が2校に統合。廃校となった牟礼西小学校旧校舎の地域活用を促進、支援しているのが「CREEKS(以下、クリークス)」だ。

この事業は、旧校舎を地方創生の拠点としてどう整備していくかが課題だが、クリークスはこれを単なる企業誘致ではなく、地域外の企業と幅広く連携をし、地方と都市部をつなぐことで、多くの人を巻き込んだ動きへとつなげていく必要があると考えていた。同社がこれまでに様々な地域課題に取り組む中で得た、「地方の問題は地域内だけでは解決できない」という教訓があったからだ。

 

女性の住みやすさをテレワーク普及で実現したい。

そんな中で出会ったのが、テレワーク事業を専門に手がける「イマクリエ」だった。

「飯綱町は“日本一女性が住みたくなる町を目指す”という素晴らしいコンセプトを掲げています。イマクリエさんと協働し、テレワーク推進の拠点として旧校舎活用事業を展開すれば、仕事の地域格差に悩む女性もサポートできると考えました」とクリークスの古後さん。

国内のみならず、全世界で仕事を共有する体制を持っているイマクリエとの連携は、同町にとって大きな意味があることだった。

 


いいづなコネクトWESTのセミナー室

 

地方創生のために、民間企業ができること。

そもそも、地方創生の実現には行政のみならず民間企業の働きも欠かせない。「地方創生において重要なのは、地方と都市部のつながりをつくることですが、ネックとなるのは、自治体のいわゆる縦割り体制による、部署間の連携の難しさです。そこで、関係各所をスムーズにつなげる役目は民間企業が担う必要があるということを、行政と仕事をしていく中で感じました」と古後さんは続ける。

現在、クリークスが担当する旧牟礼西小学校は「いいづなコネクトWEST」として校舎の一部がオープンしている。コミュニティスペース、カフェ、ランドリーなどがあり、働くだけでなく地域の新しい活性化拠点として活用されていく予定だ。

「町民の皆さまの生活に密着した活用イメージが見えてきて、とてもワクワクしています。これからたくさんのテレワーカーが活躍できる場を提供していきたいですね」。

 

 


 

今回の取り組みのポイント

「日本一女性が住みたくなる町」の実現に向けた3者の協働体制

廃校に伴う旧校舎活用事業を、運営企業、テレワークの導入や雇用を斡旋する企業とで連携。3者で協働することで、妊娠・出産や育児、介護等で働き方が限定され、仕事を諦めざるを得ない女性に対し、テレワークという働き方を提案できる体制を目指す。

 

地方テレワーカーへの仕事を安定してつくるための仕組みづくり

セミナー開催やワーキングスペースをつくるだけではテレワークは広がらない。地方格差のない高レベルの仕事を安定して供給することが地方でのテレワーカー普及の足がかりになる。その仕組みをつくるために、テレワーク導入のノウハウや質の高い仕事を共有する体制を持つイマクリエと連携して進めた。

 


 

Interview03

協力企業の声/地域にスキルを還元できる人材を


イマクリエ 代表取締役 鈴木 信吾さん

 

地域を主役とした地方創生のためにテレワーク導入で働き方改革を支援。

イマクリエは、テレワーク導入支援やテレワーク環境の構築、そしてアウトソーシングの受注を手がける企業です。飯綱町のテレワーク推進事業において、町民のテレワーカー希望者へ説明会・体験会を実施し、テレワークの知識やノウハウを提供するほか、スキルを身につけるためのトレーニングや雇用の確保も行います。この取り組みは、今すぐ誰にでもできる簡単な仕事をマッチングさせるというのでは、あまり意味がありません。どこに住んでいても地域格差なく働けることが重要で、それが実現できるスキルを身につけてもらうことがポイントだと考えます。

地域の雇用にテレワークの枠組みをつくる目的は、各地域の問題点や課題によって千差万別です。取り組む目的や、それをどう地方創生に活かすかは、各地域と連携をとって動く必要があります。あくまで地方創生は地域が主役であり、テレワークの支援を行うことで最終的には地域にスキルを還元できる人材を育成することがカギだと考え、この事業に取り組んでいます。

飯綱町はテレワーク希望者の年齢が幅広く、真剣な方が多い印象で、改めてテレワークのニーズの高さを感じています。単に地域での雇用需要を増やすというだけではなく、日本、ひいては世界で活躍できるスキルを身につけてもらい、得たスキルを地域に還元する。そういうテレワーカーを育てる取り組みを、今後も続けていきたいと考えています。

 

イマクリエの地方創生プラットフォーム「KIZASHI」

 

 

CHECK 

テレワーク支援のことなら一度ご相談ください

テレワークについてのセミナーや体験会の開催、テレワーカーのスキルトレーニング実施など、導入支援や仕組みづくりをご提案します。また、世界中のネットワークを活かした雇用の確保も可能です。導入を検討される際は、ぜひお問い合わせください。

お問い合わせ

サービス提供元企業:株式会社イマクリエ

TEL:03-6277-6907
住所:〒106-0044 東京都港区東麻布2丁目3-5第一ビル2F
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