
保育施設と自治体間の事務BPRソリューション
保育の現場では依然としてアナログ業務が多く、それに伴う事務負担が課題となっている。そこで、「エスプールグローカル」はBPR※1を用いた業務改善の支援を実施している。沖縄県内の2市1町と進めたBPR事業について聞いた。
※1 BPR=Business Process Re-engineering(既存の業務フローを根本的に見直し、再構築すること)
※下記はジチタイワークスVol.39(2025年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]エスプールグローカル株式会社
エスプールグローカル
営業企画部
左:小木曽 日菜(こぎそ ひな)さん
右:伊藤 彩加(いとう あやか)さん
保育施設と自治体の間にあるアナログ業務の改善がカギ。
共働き世帯の増加により保育需要が高まる一方で、保育現場では人手不足や時間外労働の常態化などの課題が深刻化している。こうした状況の中、全国的に保育DXが推進されているが、見落とされがちな課題があると小木曽さんは語る。「70以上の自治体から話を聞いたところ、保育施設と自治体のやりとりに手作業や紙ベースの業務が多い実態が判明しました。保護者向けのDXは進む一方で、バックヤード側の効率化が進んでいない現状がある。ここに改善の余地があると考えています」。
こうした課題に対し、同社では保育現場におけるBPR支援を実施している。第三者の視点から現場の課題を調査し、現状の業務を精査した上で、業務フローの再設計やシステムの構築を提案。改善策の実装から定着まで、一貫した伴走サポートを行っているという。
令和6年には、こども家庭庁より採択を受け、沖縄県那覇市(なはし)・南城市(なんじょうし)・西原町(にしはらちょう)とともに実証事業を行った。同社からの提案に対し、保育現場に課題を抱えていた3自治体が賛同して、共同でのBPR事業が始まったそうだ。
現地に赴き直接課題を聞き出し負担の少ないBPRを実施した。
同事業では、保育施設と自治体間で発生する“補助金申請”を対象に、業務の見直しに着手した。「多くの施設に共通する業務なので、改善効果が期待できます。さらに、各種補助金の申請時期は3~4月に集中し、業務に追われて時間外労働が増加していた実情もあったようです」と伊藤さん。事業を開始するにあたっては、施設側の理解が不可欠であるため、同社による説明会を開催。メリットや進め方を丁寧に共有することで、スムーズに協力を得られたそうだ。
まず、同社の担当者は各施設と自治体に対し、業務上の課題をヒアリング。“現場密着型”を強みとする同社は、職員の負担を抑えるために、現場に出向いて業務状況を直接確認することを心がけているという。「何が負担で、どのようなミスが発生しやすいのかを聞くと、Excel形式の申請書のやりとりが煩雑であることが分かりました。そこで、申請書をフォーム化し、申請情報を蓄積できるデータベースの構築を提案したのです」。システム構築においては、双方の職員に操作してもらい、現場での使いやすさを重視したという。
また、同じ申請業務でありながら、3自治体でフローや申請様式が異なっていたため、それらを標準化した。「複数自治体で業務の違いを洗い出し、“本当に必要なのか”と擦り合わせることで、最適化することができました」。
一元管理システムの構築で70%以上の業務改善に成功。
構築されたシステムでは、セキュリティに配慮しつつ、申請情報の入力や修正は全てオンライン上で完結できる仕組みを整えた。小木曽さんは「従来は記載すべきExcelも多く、記載ミスなどの不備も多かったようです。そこで必須項目を設定して入力漏れを防ぎ、申請側の負担を減らしました」と説明する。
また、受理する自治体側は従来、電話やメールで不備連絡を行っていたが、システム上で通知できるようになった。過去にやりとりした履歴を参照でき、職員の異動による業務の引き継ぎも効率化したそうだ。「その結果、一連の事務作業において3自治体で合計192時間ほど削減できました」。これは業務時間の70%以上の削減にあたるそうだ。
今回のように、複数の自治体が共同で取り組むことで費用を抑えることができる。そのため、単独では業務改善が難しい中小規模の自治体も取り入れやすいという。伊藤さんは「システム導入で終わらせず、BPO※2の導入など、より効率化できる手法を検討する予定です。また、保育分野に限らず、横の展開も目指していきたいです」と展望を語ってくれた。
※2 BPO=Business Process Outsourcing(業務の一部を外部へ委託すること)
現場に寄り添い一気通貫で業務改善をサポート
■ 同社と取り組むBPRのポイント
課題発掘~改善策の実装を伴走支援
第三者による業務の見直しで、自治体だけでは把握しきれない現場の課題を発掘。業務改善策の提案にとどまらず、実装から定着までを一気通貫でサポートする。
“現場密着型”で負担を抑える
職員の負担を最小限に抑えるため、ヒアリングや実態把握などは全て同社が現地で対応。業務手順や作業などを実際に確認しながら、現場に即した改善策を提案する。
工数削減になる業務フローを提案
単なるツール導入の支援ではなく、業務の全体を見渡した上で、効率化できる業務フローを再設計。部分最適にとどまらず、全体の最適化を見据えて提案を行う。
BPRとBPOを組み合わせて効果を高める
同社はBPO事業も展開しているため、業務フローを見直して効率化を図った上で、定型的な業務は委託することも可能。組み合わせることで、より高い改善効果が期待できる。
■ 複数自治体で取り組むメリット
沖縄県内の事例のように、複数の自治体が広域的に取り組むことで、業務効率化やコストなど多方面での効果が期待できる。
● 共通する本質的な課題を見つけやすくなる
● 自治体同士で業務を見直し標準化できる
● 共同でシステムを利用するため費用対効果が高い
CHECK!
保育分野以外の業務にも応用可能
同社のBPR支援は保育分野にとどまらず、税務や福祉など、業務負担が課題となっている他分野にも展開できる。気軽に相談してみては。