ジチタイワークス

福岡県古賀市

デジタル活用で来庁者が減少し、窓口受付時間を90分短縮へ。

行かない・書かない窓口を可能にするスマホ市役所

令和7年1月、古賀市は窓口の受付時間を“9時~16時”に大幅短縮した。メディアでも報道され注目を浴びたが、背景には様々な工夫と努力の積み重ねがあったという。取り組みを主導した市長に話を聞く。

※下記はジチタイワークスVol.38(2025年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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福岡県古賀市 市長
田辺 一城(たなべ かずき)さん

多様な働き方ができる環境をつくり、職員のエネルギーをまちに還元する。

ここ数年、窓口の受付時間を短縮する自治体があらわれはじめている。その中でも、全国最長クラスの“90分短縮”を実施したのが同市だ。市長の田辺さんは、「職員自身が快く働けていない状況で、住民サービスの質が高まるはずがないのです」と指摘する。令和元年から“多様な生き方を保障する働き方改革”を理念に掲げ、推進してきたという。「受付時間の短縮はその改革の一環であり、背景には、以前から挑戦してきたデジタル実装の成果があります」。

その一つが、LINEを活用した“スマホ市役所”だ。「ボットエクスプレス」の「ガブテックエクスプレス」を採用し、令和5年1月に公式LINEを開設。各種手続きをはじめ、防災、地域交通予約などの機能を搭載しており、その中でも子育て関連メニューの利用率は90%超えだという。このサービスに加え、証明書のコンビニ交付、道路台帳のオンライン化などの効果もあり、同年の秋頃には、庁舎窓口の利用者が減少。そこで生まれたのが、受付時間短縮というアイデアだった。職員同士の課題共有や議論の時間を増やし、政策立案機能を強化することが、最大のねらいだという。

デジタル実装は前例がないからこそ、“少し先の未来”を走りながら考える。

働き方改革としては、数年前からフリーアドレス、テレワーク、時差出勤なども取り入れ、市長自ら制度を活用中だ。「これらの取り組みは、私が示したビジョンに対し、職員たちが自らアイデアを提案してくれました。やると決めたら、走りながら考えて、覚悟をもってやり切る。それが当市のスタイルです」。

今回の受付時間短縮も、“職員の発意・提案”がきっかけだというから驚きだ。「新しいこと、特に少し先駆けるような取り組みには、苦労が伴いますよね。デジタル実装なんて、まさにそうでしょう。前例がなく、分からないことだらけ。だから各セクションでできることを考えて、歩みを進めていこうという方針です。職員たちは、既存業務と並行しながら一苦労二苦労、少し先の未来をイメージして頑張ってくれている。こうした現場のチャレンジを捉えて、後押しをするのが私の役割です」。

なお、受付時間の短縮を開始した令和7年1月から3月までの時間外勤務は、前年の同期間と比較して1,432時間、割合にして14.4%も削減されたという。この大きな成果は、同市が積み重ねてきた取り組みの集大成といえるだろう。

単なるデジタル化にとどまらず変革・革新するのがDXの意義。

現在は、“DX・シェアリングエコノミー・公民連携”を3本柱に、まちづくりを進める同市。DXの意義について聞くと、重要なのは“X(トランスフォーメーション)”だと強調する。「DXはほとんどの自治体が方針に掲げていると思いますが、デジタル技術を業務に導入するだけでは、ただのデジタル化に過ぎません。変革・革新を見せていかないと、何のためにやっているのか、職員にも住民にも伝わらないと思うんです。今回の時間短縮は、その意義をシンボリックに伝える機会にもなったと感じます」。

結果を生むだけでなく、対外的な発信も重要だと話す田辺さん。「頑張って成果を出せば伝わるはずだという言葉を聞くこともありますが、現実では積極的に言わないと伝わりません。だから私自身、様々な媒体やSNSで発信していますし、ボットエクスプレスの担当者も当市の情報を発信してくれる。こうした応援がありがたいと感じています」。

なお、同市では令和7年3月に、庁内のDXコンテストを開催。初回ながら、各課から24事例がエントリーしたという。「事例数と内容を見て、現場ではこんなにデジタル実装を進めてくれているのかと驚きました。これを機に、さらに庁内で横展開が進むのではないでしょうか。近年、公務員は人気の職とはいえなくなってきました。優秀な人材の確保を考えると、選択される職場にならなければ。挑戦の先には、快い働き方があるはずです。こうした未来をイメージしながら、ともに頑張っていきましょう」。

古賀市の窓口短縮についてジチタイワークスWEBでさらに詳しくインタビュー。閲覧はこちらから。


 


スマホ市役所の強みと古賀市担当者の工夫

行政特化型で、自治体業務にマッチした機能が数多くある同サービス。幅広い年齢層が普段使いしているLINEだから、住民の利用率も高いという。ここではその全体像を紹介しつつ、古賀市の担当者に、実際に行った工夫などを解説してもらった。

 古賀市担当者が解説! 総務部 経営戦略課 係長
横山 えり(よこやま えり)さん


 

最初は5つほどの機能から始めて、徐々に数を増やしました。大切にしたのは“利用者目線”。私自身、子育て中に“子どもが寝ている間に、静かに片手で手続きしたい”と思うことが多く、それを実現したかったんです。設問を絞り、表現にも気を配っています。


 

令和6年に、JPKIを活用した給付金申請機能を導入。マイナンバーカードをスマホにかざすとLINEで本人確認ができます。住民・職員ともに手間が削減され、給付も迅速になりました。

※1 JPKI=Japanese Public Key Infrastructure(公的個人認証サービス)

 

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当市では、機能の構築はデジタル推進課で、全体調整などは当課でと役割を分担。他自治体で機能が増えると、構築担当が庁内に“こんなのどう?”と発信しています。興味をもった職員がいれば、テンプレートを使って、要望を聞きながらその場で古賀市バージョンに。完成までのタイムラグがほぼないので、DXの機運も高まっています。


 


 

当市の開発担当もチャットを活用中。他自治体の職員から直接回答がもらえて助かるそうです。令和6年8月には九州の自治体で勉強会を開催しました!

 

自治体からのよくある質問Q&A

導入検討の際に知っておきたいことについて、担当者が回答。
ボットエクスプレス
仁志出 彰子(にしで しょうこ)さん

※2 ISMAP=Information system Security Management and Assessment Program(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)
※3 令和6年12月31日時点、LINEヤフー調べ

 

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