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「記録に追われ、住民と向き合えない……」 複雑化する相談業務の現場を救う一手とは?

住民生活
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「記録に追われ、住民と向き合えない……」 複雑化する相談業務の現場を救う一手とは?

自治体と住民の重要な接点である相談窓口。時に重要なセーフティーネットとなるため、業務においても人による対話が欠かせないが、全てをアナログで進めていると職員の負担も増大し、相談対応の質にも影響する。こうした課題について、DXソリューションを提供するNTTテクノクロスに解決方法を聞いた。

※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。

[PR]NTTテクノクロス株式会社

interviewee 

NTTテクノクロス株式会社
デジタルトランスフォーメーション事業部
第五ビジネスユニット

左)波連 新(はれん あらた)さん
右)菊池 いづみ(きくち いづみ)さん

相談業務の現場が抱える「三つの負担」

自治体の相談窓口は、地域住民と行政の身近な接点として大切な役割を果たしている。多くの部署にそれぞれの相談業務があるが、近年は相談内容も多様化・複雑化している。特に児童虐待や不登校、生活困窮などに関するものは深刻かつ対応スピードが求められるものが多く、警察や教育機関、庁内他部署との連携も必要だ。しかし、「自治体のリソースは限られており、こうした課題をクリアするのは簡単ではなく、大きな負担となっています」と波連さんは懸念を示す。

まず1つ目が「記録」の負担である。「職員は相談者の話を直接、あるいは電話で聞き取りながら手書きのメモをとり、その内容をシステムに入力します。さらに紙の書類を作成してファイルにとじ、必要に応じてそのファイルから検索するなど、作業の煩雑さに追われ、負担は限界に近いのです」。

2つ目の負担は「共有・検索」の課題である。庁内のシステムが業務や情報の種類ごとに構築されているため、横の連携がとりづらいという点だ。「相談者に許可をとるなどして情報共有が可能になっていたとしても、システムが違えば過去の経緯や相談履歴を見つけるまでに時間と手間がかかってしまいます。かといって、それらのシステムを統一するというのも現実的ではありません」。それに加え、職員の心理的プレッシャーも大きい。特に経験の浅い職員が難しいケースに直面した際には、自分の判断に対する不安がつきまとう。上司やベテラン職員に相談しようにも、誰もが多忙な状況であればそうした機会を逸してしまうことだろう。

こうした庁内の事情とは別に、外部との連携をスムーズに進めなくてはならないという「連携」が3つ目の負担となっている。特に児童相談については、児童虐待防止対策の推進に向けて、事案が重大事件に発展することを防ぐため、厚生労働省およびこども家庭庁から「児童相談所および市町村において日頃から警察と緊密な連携を図ることが重要」だと通達が出されている(※1)。実際、警察などの外部機関と迅速かつ正確に情報共有することは必須事項だが、そうした体制は簡単に構築できるものではない。

これらの課題を解決しようと同社が開発したのが、「intra-mart自治体様向け情報共有システム(以下、自治体向け情報共有システム)」だ。

※1 出典:「警察との実質的な情報共有による連携の強化について」(こども家庭庁)

業務の入口から出口までをシステム化し、職員の負担を軽減

同システムは、住民相談の現場の声から生まれた“記録と連携”のトータルソリューションである。相談内容をデジタルで一元管理し、庁内や外部機関との情報共有も可能にする。

開発のきっかけは、自治体への音声認識システムの提供だった。同社は2021年に江戸川区へ「ForeSight Voice Mining(※2 以下、FSVM)」というコールセンター向けのAI電話応対支援ソリューションを納入した。その後、同製品の利便性の高さから20を超える自治体の専門機関に活用が広まっていったが、その過程で課題が見えてきたそうだ。

「電話応対時に会話を文字起こしすることで、現場の負担は軽減されたのですが、自治体では後続の作業も残っています。テキスト化されたデータを管理する、関係者に共有するといった事務作業は従来通り人の手で行われており、職員の負担も大きいままです。これら一連のプロセスをシステム化することが真のDXなのでは、という視点からシステムの開発に着手し、生まれたのが自治体向け情報共有システムでした」。

ちなみに、自治体向け情報共有システムには、システムの母体となる業務DX基盤「intra-mart(※3)」があり、この基盤の上に同システムが構築されている。intra-mart自体は1998年からサービスが提供されている日本発祥のローコード開発プラットフォームであり、長きにわたって品質も磨かれてきた。「intra-martという安定した基盤の上で、聞き取った情報の記録だけでなく、職員による管理・運用、そして関係機関への共有・連携までを一気通貫で行い、業務の迅速化や精度の向上に貢献します。これにより職員の負担軽減だけでなく、相談対応の質を向上して住民満足度を上げるというのが目標です」。

※2 「ForeSight Voice Mining」は、NTTテクノクロス株式会社の登録商標です。
※3 「intra-mart」は、株式会社NTTデータ イントラマートの登録商標です。

これらの相談対応業務で、緊急度が高いものの一つが児童相談だ。自治体向け情報共有システムには、児童相談業務に特化した「intra-mart自治体様向け情報共有システム<児童相談用>」もラインアップされており、過去ケースの参照や警察・児童相談所との情報共有に関する機能が実装されている。子どもたちの安全を守るために対応のスピードと質を向上させている。

電話応対支援ソリューションとの連携がDX効果をさらに高める

同システムの特長の一つが「使いやすさ」だ。ブラウザ上で動くため、ログインすればすぐに使用でき、画面デザインもシンプルなので迷わずに操作できる。こうしたUIのよさの秘密は「ローコードで作られている、という点にあります」と波連さんは明かす。

「導入・カスタマイズ作業は当社が行いますが、ローコードであることで導入スピードがあがり、画面上からもムダが排除されます。例えば『帳票のレイアウトを変えたい』とか、『フローを変更したい』といった自治体様ごとの個別の要望にも迅速に応えることが可能です。導入スピードだけでなく、導入後の改修コストも抑えられる。いわば、スクラッチ開発とパッケージ製品の“いいとこ取り”を行った結果なのです」。

また、別システムとの連携時に発生するデータの統一処理なども同システムの機能で対応することができるので、職員の手間が発生しないことも大きなメリットなのだという。「自治体のセキュリティポリシーや例規に合わせ、外郭団体や他部署とデータを共有できるようにします。柔軟性の高さも、ローコード開発(※4)の成せる業です」。

こうしたデータ連携、システム連携を広げていく際に気になるのが開発・改修にかかるコストの面だが、同システムはサーバーライセンスの料金体系をとっているため、同一の自治体内であれば、ユーザー数を気にすることなく利用者を拡大することが可能。警察や教育施設など外部の関係者にもアカウントを付与でき、従来の紙や電話による連絡をセキュアなシステム上での情報共有に切り替えられる。

特筆すべきは、前述のFSVMとの連携だ。電話で相談を受けた際の内容をAIが自動でテキスト化するので、手書きメモから清書してシステムに入力する手間や時間を大幅に削減できる。

「それに加えて、相談内容がリアルタイムでテキスト化されるので、上司によるモニタリングが可能になります。経験の浅い職員などが対応する際に、その内容を上司が自席PCで確認しながら、必要に応じてチャットを介し返答案を指示することもできるのです。こうしたサポートが職員のスキル育成と、心理的負担の軽減につながります」。実際、この仕組みを導入している自治体からは、「若手の職員も安心して住民対応ができるようになった」と好評なのだそうだ。

※4 コードの記述を最小限に抑え、ドラッグ&ドロップ等簡単な操作でシステム開発を行う手法。開発ツールに備わった豊富な機能から必要なものを組み合わせ、迅速かつ手軽にシステムを構築可能。

情報共有基盤の構築で住民の安全を守る

2025年4月の正式リリースから間もない同システムだが、ある自治体ではすでに運用に向けた準備が進んでいる。「警察と児童相談所の情報連携において、当システムが採用されました。今までファックスや電話で行っていた情報共有をデジタル化し、職員の負担軽減と対応の迅速化を目指しています」。

また、本製品はシステムであると同時に、各種サポートを含めたサービスの総称でもあると力を込める。「システムを導入して終わりではなく、操作レクチャーや運用開始後の業務への定着、より改善効果を高めるためのカスタマイズまで、当社が伴走。導入効果を高めるためのアドバイスも提供します。こうしたサポート体制は、当社が本システムの基盤である『intra-mart』を用いたシステム構築を提供し始めた10年以上前から継続しているものです」。

住民の相談をデータ化し、庁内・庁外問わず瞬時に共有する同システム。これにより対応の迅速化が図られ、職員の負担が軽減することでより住民の不安に寄り添い、安全を守るための時間を確保することにつながる。こうした結果を生むことが目標だとしつつ、菊池さんは次のように締めくくった。

「相談業務でのDXを進めるには、受付から関係部署への共有まで、一連のフローを途切れさせないことが大切です。自治体向け情報共有システムでそれが可能になると考えています。強固なセーフティーネット構築のためにも、ぜひ役立てていただければと思います」。

お問い合わせ

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デジタルトランスフォーメーション事業部
第五ビジネスユニット

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E-Mail:actc_sm.info-ml@ntt-tx.co.jp
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