中野市
総務部 税務課
左：課長補佐 長澤 良一（ながさわ よしいち）さん
右：主事 徳竹 あすか（とくたけ あすか）さん
 

スマホ決済などの割高な手数料と、一定数の未納付が課題となっていた。

同市では公金の納付方法として、窓口やコンビニでの現金納付、口座振替、スマホ決済を導入している。市全体の収納額を見ると約8割が口座振替によるものだが、件数の割合では5割程度だという。金額が大きい納付は口座振替が多く、少額のものは、それ以外の方法で納付される傾向があったそうだ。「コンビニ納付やスマホ決済は、少額の納付料に対し、事務手数料が割高になっていました。また、納付忘れも一定数ある。これらを解決するためにも、“口座振替への切り替えに力を入れる”という方針のもと、検討を進めました」と長澤さん。

同課では、主に市県民税や国民健康保険税の収納を担当する。窓口で手続き対応を行う徳竹さんは「これまでは、受付時に口座振替依頼書を記入してもらっていました。その際、通帳と銀行印が必要になるのですが、持参を忘れて手続きができなかったり、金融機関に提出できても、印影違いや記入の間違いなどがあると差し戻されたりもします。そのたびに電話や郵送などで、修正の依頼をしなければいけませんでした」と話す。中には、住民が途中で手続きを諦めることがあり、機会損失につながることもあったという。

住民視点で利便性を重視しつつ同じ課題に悩む部署と連携。

受付業務の簡便化を模索する中で、指定金融機関から「セイコーソリューションズ」が提供する口座振替受付サービス「CREPiCO（以下、クレピコ）」の案内を受けたという。同サービスでは、銀行のキャッシュカードがあれば、その場で口座振替の手続きができる。モバイル端末にカードを通し、暗証番号を入力するだけで、受付が完了するそうだ。「同時に案内してもらったWEB申し込みサービスと比較を行い、クレピコの導入を決めました。ランニングコストが低いこと、職員が対面でサポートできることが決め手でしたね。窓口に来る中高年層にもスムーズに手続きしてもらえるのではと考えました」。

同市では、公金収納を担当している課で構成する“公金収納推進本部”を設置しており、補助組織である事務担当者部会において導入の呼びかけを行った。その結果、市民課や高齢者支援課、保育課、上下水道課が手を挙げたそうだ。その後、税務課が中心となり、地域の金融機関と連携をしながら、導入を進めた。デジタル田園都市国家構想交付金を活用し、収納率向上を目標に、令和6年10月に5課が同時に運用をスタートした。

現場から業務の課題をくみ上げ、改善につながる一歩を踏み出す。

導入したのは、市県民税をはじめ、介護保険料や保育料など8種類。依頼書での受付も継続する。「導入後は書類不備による事務作業が減りました。銀行印は持ち歩かなくてもキャッシュカードは持っている人が多いので、“今、受付できますよ”と伝えています。別の用件での来庁だとしても、その場で手続きしてもらえることが増えました」。

導入までの経緯を振り返り、徳竹さんは「日々の業務を進めながら、新しい事業を導入するのは勇気が要りました。しかし、これから先、人手不足が予想される中で、同じやり方を続けていては限界を迎えてしまうと思ったのです。そうなる前に改善につながる一歩を踏み出したいという気持ちに突き動かされました」と思いを伝えてくれた。長澤さんも「収納率を上げるというのは、一朝一夕では実現しません。また、私は業務の課題は机上ではなく現場にあると思っています。これからも現場の声をくみ上げて、目標に向かって進んでいければ」と語る。

今後は、端末が持ち運びできる点を活かし、庁外で実施するイベントで口座振替への切り替えキャンペーンを行うなど、新たな利用法も検討しているという。「住民サービスに還元できるよう、積極的に活用して収納率の向上につなげたいです」と結んでくれた。

自治体導入事例

ジチタイワークスWEBでは、同サービスを導入した自治体の事例を紹介している。

税務課や住民課などで活用する山梨県南部町の事例はこちらから。
保険年金課で活用する愛知県名古屋市の事例はこちらから。

より使いやすくリニューアル

従来の機能に加え、直感的な操作が可能になった新端末「AT-M100」が開発された。詳細は問い合わせを。

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