ジチタイワークス

教師の働き方改革推進のため、クラウド型の統合型校務支援システムを県主導で導入。

クラウド型の統合型校務支援システム

小・中学校における校務DXが全国で進められているが、課題を抱えている自治体も少なくないようだ。そうした中で秋田県は、実証研究を通じ、県内全域で共同利用型での校務DXを推進しているという。これらを支援する企業に話を聞いた。

※下記はジチタイワークスVol.36(2025年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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NTT東日本
秋田支店
ビジネスイノベーション部
左:地域基盤ビジネスグループ
髙橋 岳(たかはし がく)さん
右:テクニカルソリューショングループ
チーフ 田口 寛(たぐち ひろし)さん

都道府県全域での校務DX実現に向け、文部科学省が秋田県に実証を委託。

平成31年、文部科学省が「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を策定。そのあたりから、教師の働き方改革に取り組む自治体が徐々に増えつつあるようだ。また、令和元年の「給特法」改正により、教師の給与や労働条件に関する指針が策定されたことで、その動きはさらに加速しているという。

「多くの自治体が校務支援システムを導入していますが、そのほとんどがオンプレミスでの運用です。そのため、職員室にある校務用端末以外でアクセスすることができません。結果として、自宅や出張先など校外から校務処理を行えない事態を招いているのです」と田口さんは話す。同省が目指す“教師の業務負担軽減と時間外在校などの時間の縮減”が実現しにくく、自治体や学校によってシステム構成が異なるため、人事異動の際に負担が大きいのも問題の一つだという。

「GIGAスクール構想にもとづいて導入した学習用端末と校務系とでは別々の端末が必要になり、自治体からは“逆に業務負担が増えた”などの声も聞かれます。そもそも、学校ごとのオンプレミス運用という形態が、教育DXに適合しなくなっており、刷新の必要性が高まっていたのでしょう」と話す。そこで同省は令和5年、各都道府県全域で“次世代校務DX”を実現するにあたっての課題や、取り組むべき内容を整理し、具体的なロードマップを策定する方針を決定。実証研究を秋田県に委託することになった。さらに、同県は県立高校のネットワークシステムの構築および保守で発注経験のある「NTT東日本」を委託先として選定。ともに取り組みを進めていくことになった。

※公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法


 

児童・生徒と向き合うため、教師の新しい働き方の実現へ。

同県では、他自治体と同じように、紙ベースで行っている業務のデジタル化や、柔軟に働ける環境の整備、情報セキュリティ対策など、解決しなければならない複数の課題を抱えていた。それらをクリアし、“一人ひとりの児童・生徒に向き合う時間を確保すること”を、校務DXのゴールに設定していたという。

そこで、公立高校の校務および学習系ネットワーク統合を発注した経緯のある同社に、次世代校務支援システムの基盤構築について相談。「その後に実施されたプロポーザルで、当社は“統合型校務支援システムおよびゼロトラスト認証基盤の構築”を提案しました。校務支援システムの分野において、共同利用型のゼロトラストモデルは、全国でも珍しいと思います」。プロポーザルでは複数企業が提案したが、その中でも同社のコンセプトが県のニーズと合致。県内7市町村をフィールドに5項目の要件を実証し、その成果をパッケージ化して県内全ての市町村立小・中学校および義務教育学校に展開する実証研究に取り組むことが決まった。

「2028年までに残りの自治体も順次、システムを導入する予定です。ゼロトラストモデルにより、出張先や自宅などの校外でも校務ができるようになるほか、システムを利用する保護者への迅速な連絡も可能になります。これらが小・中学校教師の、“柔軟で新しい働き方”につながるでしょう」と髙橋さんは話す。また、県全域で同システムを共同利用することによって、学校間での情報交換も容易になり、教師の異動や児童・生徒が転校する際の業務負担低減に。さらに児童・生徒の状態を見ることができるダッシュボードを利用すれば、細やかな生徒指導も行えるようになり、県が目指す“児童・生徒に向き合う時間の確保”も実現しやすくなるだろう。

具体的なシステム構成に加え、プラスαの提案がポイントに。

実証に向けて同社は、協力会社である「エデュコム」の「EDUCOMマネージャーC4th」と、「マイクロソフト」の教育機関向けプラン「Microsoft 365 A5」を中心としたシステムを提案。「特にMicrosoft 365 A5は、強固なセキュリティ環境の中で業務効率化や教育の高度化、コミュニケーション活性化などに役立つ機能が使えるスイートライセンスです。これ一つで必要な機能を網羅しており、複数製品を個別に揃える手間が省けるのがポイントでした」。クラウド型システムのため、国の指針に変更があった場合に、柔軟に対応できる点も特徴だという。

ちなみに同社は、これまでにも国の実証に参加し、教育分野におけるICT活用のノウハウを数多く蓄積している。今回の同県での実証でもそうした実績を活かし、システム構築以外にも、応用的な活用法や保守・運用に関する追加提案を行ったという。これらも、同社が選ばれたポイントだといえるだろう。

校務DX環境の拡大を通じてセキュリティと利便性を両立。

本事業は文部科学省の委託で、実証から実装までを一連の流れで取り組む案件だ。そのため、委託を受けた同県は定期的に、国に対して進捗状況を報告する必要がある。「その際、導入における課題や解決策、導入後においては校務支援システムのアクセス件数など、様々な情報を国から求められます。その部分を、私たちが事業者視点でサポートすることによって、実証開始時点から、県の実証推進委員の皆さんに喜んでもらえているようです」。

そうしたサポートに加え、定期的な研修など細やかな対応も、同社ならではの体制といえる。例えば、実証中のシステムはゼロトラスト環境が肝の一つだが、セキュリティを強化するほど、利便性が失われる部分もある。「本システムでも、情報漏えい防止のため、最新のウイルス対策ソフトやディスク暗号化を必須とし、違反した場合は校務支援システムへのアクセスを不可とするポリシーを適用しました。また、マイナンバーが記載されているメールを送信しようとすると、アラートが起動する仕組みになっています。そのほかの“できなくなること”についても、関係部署に丁寧に説明しているところです」。令和6年度以降に追加導入する県内自治体に対しても、自治体や学校の業務に配慮したスケジュールで、伴走支援を実施する予定だという。

「当社は、同様の校務DX環境を他地域でも構築するノウハウをもっています。そのため、実証に関する補助金などの情報を提供することも可能です。そうした支援を通じて教師の働き方改革に寄与し、一人ひとりの児童・生徒と向き合う時間を確保できるように貢献していきたいと考えています」。

 

秋田県で実施している実証事業

事業内容 

校務系・学習系ネットワークを統合し、児童・生徒の状況をダッシュボードで可視化できる“統合型校務支援システム基盤”をクラウド上に構築。共同調達・利用で、県内全自治体への展開に向けて実証研究を実施している。

問題 

紙ベースの業務が多いことで、印刷・配布・回収などアナログ作業に時間を取られていた。さらに、校務支援システムがオンプレミス運用のため、職員室外の端末からはアクセスできず、柔軟に働くのが難しかった。

成果見込み 

ゼロトラスト環境のクラウドを活用した、柔軟で効率的な働き方の実現や、データ連携による学習指導、学校経営の高度化など。さらに、共同利用による学校間の情報連携、保護者・地域とのコミュニケーション促進なども見込まれる。

県が導入することで、県内全域での働き方改革が進みやすい
共同利用型なので、例えば養護教諭同士など、横のつながりができやすい

自治体担当者の声

秋田県
義務教育課の皆さん(中央4人)

教職員の働き方改革の実現に向けて

同社システムの導入で教師の負担が軽減され、“働き方そのものの見直し”に取り組むことができます。多様性の時代に合わせた柔軟な働き方を推進し、児童・生徒に向き合う時間を増やす支援をしていきたいです。

 

ダッシュボードの活用で情報の把握がしやすい環境に。

必要な情報を把握しやすいよう、対象に応じた様々なダッシュボードを提供。教育委員会向けでは、自治体内の学校の状況がグラフで示される。学校向けでは、各校の状況を把握可能。教師向けでは、児童・生徒の変化がひと目で分かるようになっているという。これにより、共通した基準でデータを確認できるため、自治体ごとや学校ごと、教師同士で相談したい場合のやりとりがスムーズになる。また、児童・生徒向けでは出席簿や保健室利用など、生活面や学習面の情報を入力・確認し、アイコンや表で情報が認識しやすい仕様になっている。

 

■文部科学省が描く教育の未来像

NTT東日本の強み

1. 自治体の実情に合わせた提案

課題や充てられる予算、人員などは、自治体ごとに異なる。それぞれの実情と問題の本質を見極め、適切な提案と支援を提供できる。

2. 提示要件以外の提案も行う

秋田県の事例では、仕様書に記載された要件に加えて、県の課題感や将来像を踏まえた提案を実施したことにより、高く評価された。

3. 豊富な経験と実績がある

同社はこれまでにも、文部科学省や総務省、一部の自治体と、教育分野に関するDXの実証を行っており、豊富な経験と実績をもつ。

国・自治体との取り組み実績

令和4年度 校務系・学習系ネットワークの連携に関する実証研究事業
令和5年度 デジタル教科書・デジタル教材等の更なる活用のための通信環境の調査研究
令和5年度 次世代の校務デジタル化の推進に向けた実証研究(秋田県からの委託事業)

▶NTT東日本では、ほかにも国や自治体と様々な実証事業を行っている

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サービス提供元企業:NTT東日本

東京都新宿区西新宿3-19-2
NTT東日本本社ビル

Email:chiiki_kiban_edu-gm@east.ntt.co.jp

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