ジチタイワークス

青森県

議事録作成ツールの活用で、全庁の業務効率化を目指す。

AI音声文字起こしツール

会議の文字起こし作業を効率化するため、ツールを導入する自治体は多い。青森県でも同様に導入したものの不便を感じ、別ツールへ切り替えたという。その後の費用対効果は明確で、出先機関まで活用を拡大。全庁での業務効率化を推進する。

※下記はジチタイワークスVol.33(2024年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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青森県
総務部 行政経営課
主事 中嶋 太雅(なかじま たいが)さん

月間約120時間の会議の文字起こしを効率化させるために、手法を模索。

自治体職員が行う業務の中でも負担が大きい、会議の議事録作成。ICT活用による業務効率化を推進中だった同県は、文字起こし作業に費やす時間の短縮をねらい、音声文字起こしツールを導入した。それ以前は、月間で最大約120時間ある会議の議事録を、職員が手作業で作成していたという。

「会議内容を全庁に展開する場合はもちろん、小規模でも会議と名が付くものは、ほとんど議事録を作成しています。当然ながら、職員の負担はかなりのものだったと思います」と中嶋さんは振り返る。その状況を改善するために導入したツールだったが、実際に活用を始めると不便な部分が複数あった。活用前の準備が手間だったり、有線マイクや専用パソコンなど接続機器の持ち運びが必要だったりと、活用範囲を狭めていたという。

そんな中で令和3年、ジチタイワークスの記事をきっかけに、「時空テクノロジーズ」が提供するAI音声文字起こしツール「ログミーツ」の無料トライアルを実施。既存ツールと比較するために全庁で試用を行い、その後本導入に至ったそうだ。

文字起こし精度や価格など優位性の多さが決め手となる。

同製品は、マイクが内蔵された専用モバイル端末のボタンを押すだけで、リアルタイムで音声文字起こしができる。端末にはSIMが搭載されており、LANやWi-Fi設備などに左右されず活用できる。録音された音声と文字起こしされたテキストは、携帯電話回線を通じてクラウド上に蓄積される仕組みだ。

WEBブラウザ上から専用編集画面へログインをすると、ほぼリアルタイムでテキストが表示されるため、会議と同時進行で編集も可能だという。「接続機器が不要でWi-Fi環境を気にする必要がなく、ボタン1つで直感的に操作ができます。さらに、従前のツールより音声の変換精度が高く、運用経費も安価である点などが、本導入の決め手となりました。効果としても、約3.4時間を費やしていた小規模会議の議事録作成が、半分の時間で済むようになりました」。

専用端末3台で本格運用を開始したところ、ほぼ毎日どこかの部署が利用し、式典での知事講話の記録にも活用中だという。もちろん、一気に庁内へ浸透したわけではなく、有用性を周知するため、同課では工夫を続けてきた。「全職員向けの庁内インフォメーションで使い方を紹介したり、ICT体験会を独自に開催して実際に試す機会を設けたりするなど、継続的に周知を図りました」。

その利便性は、本庁舎だけでなく出先機関まで浸透し、活用ニーズはますます高まったという。ただ、最も遠い場所は、端末を保管している本庁舎まで往復約4時間の立地。「令和5年度に、改めて月間利用時間の実績を集計したところ、約90時間まで伸びていました。出先機関でもこの頻度で活用すれば、全体で年間の作業削減時間は約1,620時間となる試算です。これを換算すると、およそ960万円分の人件費削減につながります」。

端末台数の追加と利用時間のプランアップに向け、令和6年度は前年度から増額した予算要求を行ったが、スムーズに決議された。費用対効果の明確な数字と、職員からのニーズの高さがあったからだという。「今後、各出先機関にもそれぞれ1台ずつ端末を配備できるので、端末借用・返却のための往復が不要になります。業務効率の改善効果がより高まると思います」。

多くの職員が使い慣れると、議事録作成以外のアイデアも。

同製品に限らず、ほとんどの音声文字起こしツールは、集音環境によって変換精度が変化する。同県では効果を高めるために、会議の規模に応じて机やマイクの配置を変えるなどの工夫を凝らしているという。「端末には無線マイクも接続できるので、質疑応答形式の大規模な会議では、発言ごとにワイヤレスマイクをまわす使い方をしています。一方で、10人以下の小規模な会議の場合は、机をロの字型にセッティングし、2人で1台の卓上マイクを使っています」。

さらに議事録作成だけではない、新たな活用法を模索している。人事部門から、県が主催する講演会をリアルタイムで文字起こし表示して、耳が聞こえにくい方も参加できるようにしたいという相談を受けたそう。これについては今後、実現可能か検討を進める予定だという。

「当県で、令和5年12月に策定した行財政改革大綱の柱の1つが『県庁DXの推進』で、今回の導入による業務効率化もその取り組みの一環です。今後も全庁を挙げてDXを推進し、県庁スマートワークを実現することで、執務環境の改善や、円滑な業務運用などにも寄与すると期待しています」。

難聴者とのコミュニケーションに活用する事例記事はこちらから

導入自治体のプランアップ事例

導入済み自治体が実感している多様な活用法と業務時間の短縮効果

直感的に使える操作で、議事録作成業務が大幅に効率化できるログミーツ。持ち運びの簡便さ、どこでも使いやすい利便性などから職員の利用が予想以上に増え、端末台数や利用時間プランを変える自治体も少なくないようだ。プランアップに踏み切った自治体に話を聞いた。


 

鳥取県鳥取市
GPT機能を活用して長文を整理すれば長時間会議の要点共有も効率化できる。

 

議事録作成を効率化するために、当市では令和2年度、とあるシステムを導入しました。ただ、使い勝手に課題があり、より使いやすいものを探していたのです。そんな中でログミーツを紹介され、専用端末5台をトライアル導入しました。

試用期間中の職員アンケートではおおむね好評で、利用日程が重複することもあったことから、本導入後は、端末13台・月100時間にプランアップ。8カ所の支所が端末を使用する際、本庁舎まで借りに来る必要もなくなりました。職員からは、“比較的、正確に文字起こしされるので修正箇所が少なく、議事録作成時間が大幅に削減された”などの声があります。要約や箇条書きなどの文章加工ができる付属のGPT機能は、長時間会議の課内共有資料などに役立っています。

当市は今後、高齢者や聴覚障害者への窓口対応補助、避難所での情報伝達など、“議事録”の枠にとらわれない活用法も検討していく方針です。

 

熊本県宇土市
ノンコア業務をデジタルで効率化し職員本来の業務にリソースを配分。

 

当市では、令和3年度から「第9次宇土市行財政改革大綱」をスタートさせました。政策にもとづき、業務量調査を行ったところ、議事録作成などノンコア業務に、大幅な時間が割かれている実態が判明。そこで、それらの業務を効率化するために、ログミーツの導入を決めました。

導入初年度は、実証試験の延長として1台のみの導入でした。しかし、実際に使った部署は繰り返し活用するようになり、利用部署も徐々に増えてきたことから、令和6年度から端末を追加で1台増やしました。活用の成果として、“議事録作成に費やす時間が1~2日程度削減できた”“聞き直しが容易になった”などの声が上がっています。

現在、録音した音声を文字起こしする活用が中心ですが、今後はWEB会議や庁外会議など、活用シーンを拡大したいと考えています。AI文字起こしツールは導入の難度が比較的低いので、職員がデジタル化の恩恵を実感しやすいはずです。

 

宮城県栗原市
議事録作成時間が約27%削減されて職員の働き方改革につながった。

 

多くの職員が、議事録作成に時間を費やしていることに課題を感じて、令和4年2月からログミーツの実証実験を開始しました。そして約半年の試用を経て、同年11月に本格導入を決定。当初の契約は、専用端末2台、月20時間パックでしたが、令和6年4月からは端末を1台増やし、プランも月50時間に変更しました。プランアップの理由は、本庁舎から離れた分庁舎内の部署が使用する際、借用・返却のための往復が必要で、移動時間の短縮や職員の負担を軽減したかったからです。

現在、庁内の各種会議や市議会の委員会審査など、幅広い場面で活用中。持ち出しが容易で、市民説明会などで市民の生の声を記録するためにも利用しています。職員からは、“議事録作成が格段にラクになった”“会議の内容を振り返ったり、思い出したりするためにも有効”などの声があります。まだ活用していない部署にも呼びかけ、効果を実感してもらいながら活用の幅を広げていきます。

 

長野県辰野町
より多くの職員が活用できるように「月50時間パック」にプランアップ。

 

当町では以前から、議事録作成の業務負担軽減策を検討していました。そんな中、同じ県内の自治体がログミーツを導入したことをジチタイワークスの記事で知り、県の自治振興組合が開始した共同利用に参画し、本格運用を始めました。

現在は、専用端末1台を各部署で共同利用していますが、職員からは“議事録作成時間が従来の5分の1~2分の1に削減できた”という声が上がっています。また、議会をはじめ各種委員会や協議会など、様々な議事録作成に活用しており、利用時間も増加傾向にありました。そこで、契約時の月20時間パックを50時間にプランアップすることを決め、今後も利用範囲を拡大していこうと考えています。

当町では、各部署内でDX推進リーダーを選任し、DXへの取り組みを進めています。DX推進リーダーには、率先してツールを活用してもらい、横展開することで、業務の効率化を図ろうとする職員が増えていけばと思っています。

他自治体はどうしている?よくある質問に担当者が回答!

“無料トライアルの申し込み方法は?”“他自治体はどういう理由でログミーツを選んでいる?”など、導入前には、様々な問い合わせが寄せられるという。そこで企業担当者が、よくある質問に回答する。

 

 

 

時空テクノロジーズ
都築 真夕美(つづき まゆみ)さん


無料トライアル希望自治体を募集中!

文字起こしを負担に思っている
音声認識の精度を試したい
効率化の効果を実際に感じたい

文字起こしツールは実際に触ってみて効果を実感できるものだと思います。スモールスタートも可能ですので、まずは気軽に、庁内での使い道を模索したり、検討したり自由に試してください。

 

お問い合わせ

サービス提供元企業:株式会社時空テクノロジーズ

TEL:03-5488-6067
E-mail:LG@zi-ku.com
東京都港区南麻布3-19-16
アーバンネット南麻布303

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