ジチタイワークス

愛知県蒲郡市

官民と庁内の連携で知恵を絞り、地域の脱炭素化を加速させる。

施設照明のLED化など幅広い脱炭素ソリューション

蒲郡市は令和3年に着手した公共施設の照明一括LED化を2年で完了させ、令和5年からは幅広い施策で脱炭素社会を目指すという。民間の知恵を借り、全庁で取り組む“ゼロカーボンシティ”に向けたプロジェクトを追う。

※下記はジチタイワークスVol.32(2024年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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温暖化対策が必須の時代だからこそ、早めの着手で効果の最大化をねらう。

国が掲げるカーボンニュートラルの実現目標を見据え、各自治体が取り組みを進めている。同市では令和2年3月に「蒲郡市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」を掲げ、行政・事業者・市民で温室効果ガスの削減に取り組む決意を表明。まずは公共施設で省エネを促進するため、照明LED化の着手に向けて準備を始めた。庁内でそのけん引役を担ったのが、温暖化対策などに取り組む環境清掃課だ。同課の西浦さんは「国も照明のメーカーも2030年までにLED化を完了させるよう呼びかけています。ですが、多くの施設や設備を抱えながら、ゴールとなる年までに全ての照明を替えることは簡単ではありません。ゴールが決まっているなら、スピード感をもって進めるべきだと思いました」と振り返る。

短期間での完了を目指し、夏休みなどの長期休暇にしか工事ができない教育機関を除いた、市内の150施設を対象にして取り組むことになった。所管部署が異なる施設で個別にLED化しようとすれば、相当な業務量や人員を要する。そこで“CO2削減”を目標に置き、同課が全ての施設を取りまとめることで、効率化を図ったという。「事業者対応を一本化することで、所管部署の業務負担が減ります。さらに電気代の削減メリットも最大化したかったため、“一括で”ということを優先しました」。この準備を後押しするかのように、令和3年3月には市が“ゼロカーボンシティ”を宣言。全庁の目指す方向が明確になったことで、旗振り役の同課もより動きやすくなったという。一括LED化を本格的に進めるにあたり、同年4月のプロポーザル入札で委託業者を選定。全国で実績をもつ「アイネック(旧・アイネクション)」に委託することになった。

市内150の公共施設の照明を、わずか2年でまとめてLEDに。

施工に向けて、同課はまず建築住宅課と連携し、工事に必要な建築関係の図面を収集。対象施設の所管部署にもLED化の担当を1人ずつ置き、環境清掃課と書類のやりとりなどを行った。施設の改修に取り組む際は、対象施設の基本情報や資料を揃える必要がある。それだけでなく、そこから各施設にかかる電気代や必要な照明の数を把握するための調査はさらに大変な作業だそうだ。このときは同社が全施設の調査を行ったことで、迅速に進んだという。

LED照明を一括導入する際の支払いには、リースを活用。設置する照明器具を10年のリース契約にすることで、工事費と照明代を分割で支払う仕組みだ。LED化によって電気代は約7割の削減が期待できるため、その分をリースにまわせば、新たに予算を確保する必要はなくなるという。また、同社が窓口となりリース業者や照明のメーカー、工事業者と連携して民間相場で発注するので、従来の公共単価よりも費用を抑えて導入できるそうだ。こうして令和4年9月には、150施設のLED化が完了した。西浦さんも「費用や手間だけでなく、わずか2年で工事が完了したことには、正直驚きました。従来の公共工事として1施設ずつLED照明に転換していたら、5年以上かかったと思います」と喜ぶ。

蒲郡市で照明LED化が完了した施設。

太陽光パネルの導入を契機に民間提案のプロジェクトが始動。

LED化に続き、さらなる脱炭素の施策に取り組むため、令和5年4月には同課に「ゼロカーボンシティ推進室」が新設された。西浦さんと森さんの2人が担当している。「次は再生可能エネルギーを導入しようと、太陽光パネルの設置にはどのような手法が適切なのかを模索していました。LED化と同様、一括で取り組み、迅速に進める必要があると考えていました」と森さん。民間提案制度で事業者を募集した結果、再び同社とタッグを組むこととなった。「アイデアを募ったところ、リースの手法で太陽光パネルを一括導入し、さらには公用車のEV化、災害避難所となる小・中学校の体育館への空調設備導入も含めたプロジェクトの提案を受けました。ゼロカーボンシティ実現のためには幅広く取り組みたいと考えていたので、地域全体での脱炭素化を一緒に目指せることが選定の決め手になりました」。

各事業で国の交付金を有効活用していくために、同社は申請できる交付金の種類に合わせて、対象施設を“レジリエンス・大型施設・その他”の3つに分類した。全てゼロカーボンシティ推進室が旗振り役となるが、レジリエンスの分野では危機管理課と連携。小・中学校の体育館は教育委員会と、EVは公用車を管理する資産マネジメント課とともに、今後取り組んでいくという。「国の交付金の種類は様々で、担当が異なると把握し切れません。全庁で取り組むためには、様々な連携をスムーズにする必要があります。少しでも手間を削減したいので、交付金の活用条件やタイミングを熟知している同社から提案を受けながら、費用とスピードの両面で効率よく進められそうです」。庁内で脱炭素に向けた機運を醸成し、6年後のプロジェクト完了を目指している。

市民の環境意識向上も促し、脱炭素の実現をまちの強みに。

今回のプロジェクトでは、民間提案制度を取り入れたことで、今後取り組む事業の幅が広がった。「専門性が必要な部分を補完できるのが、この制度のメリット。民間のノウハウや実績を活かして、効果的なスキームを含めた提案をしてもらえました。プロジェクトはこれからですが、いずれもゼロカーボンシティを掲げる上で必要な取り組みです。全庁で取り組むことはハードルが高そうに見えるかもしれませんが、当市も最初は照明LED化のみの“スモールスタート” でした。単発事業もスピーディでよかったと思います。自治体ごとの規模や目指す姿に合わせて、適切な方法を選ぶのがいいと感じています」と西浦さん。

同市がゼロカーボンシティの先に見据える将来像は、“エネルギーを賢く利用し、安全・安心に暮らせる脱炭素のまち”だ。「市民から求められているのは“安全・安心”です。そのためにもエネルギー問題への取り組みや、レジリエンスの強化は不可欠。人口が減少し、“定住”が各自治体の課題となる中、安全・安心なまちづくりを強みにして、移住促進にもつなげたいです」と、森さんは力を込める。

また、ハード面の整備と並行して、市民の意識を高めるためにソフト面の強化にも取り組むという。一人ひとりが節電を心がけたり、環境負荷の少ない商品を選んだりと、小さな積み重ねが脱炭素につながる。それを行政から発信してこそ、地域を挙げたプロジェクトが結実するだろう。同市は脱炭素の実現に向けて、着実に歩みを進めているようだ。

左から
愛知県蒲郡市 市民生活部 環境清掃課
ゼロカーボンシティ推進室
室長 西浦 孝幸(にしうら たかゆき)さん
主査 森 謙太(もり けんた)さん

まち全体で脱炭素化に取り組むイメージ

蒲郡市ではまず照明のLED化から取り組み、太陽光パネル・EV・空調設備の導入を一気に進める計画だ。自治体のニーズに合わせて、必要なものから一つひとつ導入することもできる。

 

まち全体で取り組むポイント!

全庁で大きな事業に取り組む際、主な担当はどこの部門なのか、どのように足並みを揃えるのかが自治体の懸念として挙がるのではないだろうか。同市では以下のような工夫のもと、民間企業に知恵を借りながら、まちを挙げたプロジェクトを進めている。
 

企業担当者の声

アイネック 代表
度会 洋徳(わたらい ひろのり)さん

「 アイネック」の社名に込めた思い

当社が「アイネクション」として創業して7年の間に、環境問題に対する世の中の考え方も変わってきたと感じます。さらなる進歩に向けて目指す未来(ミッション)を社名に組み込み、「アイネック」に変更することになりました。

I=Innovation N=Nature E=Electric C=Connection

革新的な技術や発想で新たな価値を生み出し、社会に大きな変化をもたらす取り組みで、業界の常識を変え、日本が脱炭素社会にシフトするとき、その中心にいたいと思っています。
 

アイネックの強み

専門的な知識をもとに提案

複数拠点から幅広いエリアに対応

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