差別化が図れないPRは目立たず、認知度アップにつながらない。

ふるさと納税や観光事業、移住・定住など、自治体が地域の魅力をPRする機会は多い。しかし、同様の発信が世の中にあふれているため、目を引かないと情報が埋もれてしまう。その工夫としてタレントの起用が挙げられるが、自治体にとってネックになるのが、費用や芸能事務所とのやりとりだ。

「一般的にタレントのキャスティング契約料だけで数千万円かかり、撮影費などは別途発生します。さらにタレント肖像は取り扱いの注意点も多く、全てに対応するのは大変ではないでしょうか」と代表の井上さん。多くの自治体を現場でサポートしてきた田中さんは、人事異動もハードルになると指摘する。「担当者が未経験の場合、広報物の制作過程や芸能界特有のルールが分からず、二の足を踏むケースが多いようです」。

タレントを使いたいが予算面で難しく、手続きも分からない……。こうした悩みを解決するため、令和4年に提供を始めたのが、タレントの写真や動画の素材を手軽に使用できるシェアリングサービス「ACCEL JAPAN（アクセルジャパン）」だ。

同社は平成19年から、タレントが地域の魅力を発信する旅行メディア「旅色」を展開。長年かけて培った芸能事務所との信頼関係をもとに、観光誘致で得たノウハウを活かし、同サービスを立ち上げた。その趣旨に賛同したタレントが、参加しているという。

定額制でサービスが利用でき、地域に注目してもらうきっかけに。

費用については、同社が間に入りキャスティング契約料を負担。自治体は初期費用なしの定額制で、月額数十万円という価格設定だそうだ。条件を満たせば、タレントの途中変更や、同時に3事業まで素材の利用ができる。部署間で連携することで、より低コストでの利用が可能だ。さらに、素材利用に関する芸能事務所とのやりとりも不要だという。

「服装も表情もポーズも様々なパターンを用意しました。どう撮れば訴求効果が高まるかを考えるのは、時間もお金もかかります。そうした課題をクリアした素材ばかりですし、事務所のチェックも終わっているので、すぐに使用できます」と井上さん。

素材は編集の自由度も高く、服の色を変更したり、白紙のボードを持ったポーズでは、ボード内に伝えたい情報を加えたりできるので、広報物の制作の幅も広がる。「カスタマイズ次第で自治体オリジナルのPRが可能です。ポータルサイトなど横並びの露出となってしまう場合でも、タレント肖像があることで目を引き、成果につながっていると喜ばれています」と寒川さんは語る。

効果的な訴求や導入のコツなど、多岐にわたるバックアップも。

訴求効果につながる理由として、手厚いバックアップ体制も挙げられる。「素材を渡して終わりではなく、事業の成功がゴールだと思っています。そのため専任チームを結成し、ノウハウの共有や提案を行っています」。例えば「アウトドアを観光の軸にしたい」という要望があれば、どのような素材が効果的かといった内容をアドバイス。

また、「訴求方法の相談だけでなく、ふるさと納税に関する規制や、どの項目で予算要求すれば、庁内の合意形成を得られやすいかなど、導入に関する相談にも答えています」と田中さん。

自治体を支援しつづけてきた同社。それは“まだ全国に知れ渡っていない地域ならではの魅力を、多くの人に伝えていきたい”という思いがあるからだという。「タレントは目立ちますが、主役はあくまで地域の資源。いい主役に名脇役を付けることで、認知向上の手伝いができればと思っています」と寒川さん。井上さんも「地域の本質的な価値を情報としてまとめ、多くの人が見つけやすい形にすること、ファンになってもらう手伝いが、私たちの務めです」と、力強く語ってくれた。

左から
ブランジスタメディア 代表取締役社長 井上 秀嗣（いのうえ ひでつぐ）さん
ACCEL JAPAN営業部 部長 寒川 喜博（さむかわ よしひろ）さん
地域振興プロデュースグループ 副グループ長 田中 伸幸（たなか のぶゆき）さん
 

CHECK!

1. 広報物の制作も任せられる

希望すればオプションで、タレント肖像を利用した印刷物や動画、WEBやSNS配信用の画像など、広報物の制作も依頼可能。

2. タレントの変更も可能

条件を満たせば、途中でタレントの変更ができる。同一事業でタレントを変えたり、異なる事業の訴求を始めたりできる。

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2. タレント肖像を使って、地域の魅力を“見つけて”もらう。