最適な“検索結果”を表示するAIサイト内検索
自治体のWEBサイトから知りたい情報をピンポイントで見つけ出すのは難しい。そこで江戸川区では、AIによるサイト内検索を導入。自然文で検索しても適切なページを表示できる上、生成AIが回答を要約してくれるという。
※下記はジチタイワークスVol.31(2024年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社アイアクト
サイト内にある膨大な情報の中から、知りたい情報を見つけられるように。
どれだけサイトに情報をアップしていても、検索で知りたい情報がヒットしなければ、住民は電話で問い合わせることになる。「当区のサイトは約1万6,000ページにものぼり、“情報を探しにくい”という住民の声があったほか、職員ですら目当ての情報を見つけられないこともありました」と飯島さん。これまでも有償の検索エンジンを導入していたが、入力した言葉が少しでも異なっていると情報がヒットせず、使い勝手はあまりよくなかったという。
そこで令和6年2月のサイトリニューアルを機に、サイト内検索にも着目し、「アイアクト」のAIサイト内検索「コグモサーチ」を導入した。「漢字の間違いや、平仮名・片仮名の違いなど、表記に揺れがあっても検索できる上、多言語にも対応。このAI検索エンジンなら、ネットを使い慣れていない人や、在留外国人も簡単に検索できると考えました」。
さらにChatGPTの連携オプションも併せて導入。検索すると画面上部に“ChatGPTによる補足回答”が表示される。これは、検索結果の上位に表示された複数ページから要点を抜き出してまとめたもの。「サイトには自治体特有の表現も多いため、生成AIが分かりやすく教えてくれるのはいいですね」。
3つの検索エンジンを比較検討して、利用しやすい検索について模索する。
導入にあたっては、従来の検索エンジン、一般的な無償の検索エンジン、コグモサーチの3つを徹底比較。問い合わせの多い内容300例をそれぞれ入力して、どんな結果になるか調べたという。「例えば、従来の検索では“補助金 子育て”という単語とスペースでしかヒットしませんが、同エンジンなら“子育てに関する補助金は?”という自然文で検索しても、知りたい情報を得られます」と久保さん。
一般的な無償の検索エンジンは、検索機能は優れていたが、プレス発表のページや、古い情報も上がってきたという。同エンジンでは、住民にあまり関係のない情報を検索対象から外したり、検索結果の優先順位を設定して最新情報を上位に表示したりすることも可能。「ページの順位付けが管理画面から簡単に設定できます。スマホの普及率は高いですが、使い慣れている人ばかりとは限りません。利用しやすい検索とはどんなものか、住民目線で考えました」と、高梨さんも話す。
災害情報のような緊急性の高い内容は、すぐに検索結果に反映できるなど、対応の柔軟性も評価が高かったそうだ。また、様々なCMS※に組み込めるため、既存サイトにも利用可能。検索窓や検索結果画面のデザインを既存サイトに合わせることもできるという。
※CMS=Contents Management System(コンテンツ管理システム)
生成AIの懸念点を低減しつつ、充実した住民サービスを提供。
生成AIを用いたChatGPTを住民サービスに導入する上で、庁内のDX推進課とも話し合い、事前に問題点を洗い出した。このサービスでChatGPTが活用する情報は、サイトで公開されたものに限定される。そのため未公開情報や個人情報などが外に出る心配はないという。ただし、検索の仕方によっては、同じような質問で異なる回答が表示される場合も。自動生成の文章であることを明記するなど、見せ方によって誤解を生まない工夫をしているそうだ。
また、複数サイトやPDF書類などを横断して検索する機能もあり、区議会の情報なども検索対象に含めると、区政の深いところまで調べることが可能になる。「今後は庁内の区政情報コーナーに専用タブレットを置き、来庁した人が情報を検索できるようにするなど、サイト以外でも幅広く活用していく予定です。また、AIは学習によって成長していくので、利用が進めばさらに検索の精度が高まるはず。住民の利便性と、職員の業務負担の軽減はどんどん進んでいくでしょう」と、飯島さんは語る。
情報を発信するだけでなく、住民が必要な情報にアクセスできるよう努めている同区。“かゆいところに手が届く”検索システムは、情報があふれる社会において、ますます必要とされるだろう。
東京都江戸川区 SDGs推進部 広報課 区政案内係
飯島 健(いいじま たけし)さん
高梨 陽(たかなし あきら)さん
生成AIを利用することの不安に企業担当者が答えます
近年、Chat GPTを導入・活用する自治体が増えている。しかし、個人情報や機密情報が漏えいしないかといった不安が足かせとなり、積極的に取り組めない自治体もあるだろう。そこで、本サービスで提供しているChatGPT連携オプションについて、企業担当者に話を聞いた。
アイアクト
星 さくら(ほし さくら)さん
Q.誤った回答が表示されることはないですか?
A.学習元のサイトを限定して、誤答を防ぐ対策をしています。
直接関係のないサイトからデータを引っ張ってくると、突拍子もない回答になることも。当社では回答の学習元となるサイトを選定・限定することで、そのような回答や要約を防ぐようにしています。
Q.データの外部流出など、取り扱いに懸念があります。
A.安心して利用できるようにプログラムを組んでいます。
学習データとしてほかで利用されたり、データが外部流出したりしないようプログラムしています。また、本サービスでChatGPTが学習する情報は、すでにサイトで公開済みのものに限るため安心です。
Q.自治体として使うことに漠然とした不安があります。
A.政令市をはじめ、複数の自治体で導入実績があります。
当社が提供するサービスは、全て日本法に準拠。政令市によるクラウドサーバーのセキュリティチェックをクリアし、導入された実績もあります。令和6年の初夏にはLGWANにも対応予定です。
参加費無料 Zoomウェビナー
江戸川区が語る、AI検索+ChatGPTのWEBサイト導入効果について
■令和6年5月10日(金)14:00~15:00 ※事前申込制
導入に至った背景やその成果を、江戸川区の担当者が詳しく説明。また、アイアクトがデモ画面を使って、同区とのプロジェクトを通して見えた“自治体サイトの未来”をお伝えします。
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サービス提供元企業:株式会社アイアクト
TEL:03-6206-3669
E-mail:cogmo_pr@iact.co.jp
東京都千代田区大手町1-5-1
大手町ファーストスクエア ウエストタワー2F
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