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【まち・むらの逆転思考#04】全国若手町村長会を立ち上げた町長5人のホンネ座談会。首長だって悩むし、弱さもある!

「全国若手町村長会」設立総会の様子を紹介した#03に続き、この#04では、発起人である町長5人の座談会の様子をお届け!ファシリテーターは、同会のアドバイザーに就任した「よんなな会」の脇 雅昭さんです。

【まち・むらの逆転思考連載】
#01 “徹底して聞く”から全てが始まる。
#02 数多くある課題を“チャンス”へ。
#03 全国若手町村長会が発足!若手首長が連携し、持続可能な地域づくりに挑む!
#04 全国若手町村長会を立ち上げた町長5人のホンネ座談会。首長だって悩むし、弱さもある! ←今回はココ

※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです

「全国若手町村長会」発起人

山梨 崇仁さん山添 藤真さん菅野 大志さん桑原 悠さん森田 浩司さん

 

脇 雅昭さんこの会のきっかけを生んだのは、2022年夏に鹿児島で開催されたという「よんなな首長会」の合宿。脇さんの声掛けに、発起人の町長たちが賛同して参加。互いに自己開示する中で、“同業のよしみ”で安心して相談できる“場”に意義や価値を見出したのだそう。「若手の市長会はあるけど町村長会はないよね」という山梨さんのひと声から、なんの懸念が生じることもなく、設立に向けて動いたとか。

そんな経緯もあってか、皆さんの関係性はフランクでフレンドリー。和やかな雰囲気の中で行われた座談会で語られるホンネとは?

 

 

 

首長だって悩み、迷う。時代の変化を感じやすい若手が相談し合えば、逆に力強く、迅速に、難度の高い課題に立ち向かえるのではないか。

脇: まず「全国若手町村長会とはどういうものか」を一人ひとりにお聞きしたいです。会長の山梨さんから。

山梨: シンプルにいえば“悩みを共有する場”です。仕事のこと、人生のこと、そして首長としての悩みまで。11月の設立総会後に、全国各地から集まった首長たちと第1回目の会合を開いたんですが、そのときも皆さん、ホンネでいろんなことを話してくれました。

脇: そうですね。意外なほど堅さがなく、温かい雰囲気の場でしたね。

森田: はい、自然とそうなっていた気がします。あの場でしか言えない話をする人が多かったし、誰か一人の発言に、みんなが「ああ(分かる)!」となる場面も多かったですよね。

山添 藤真さん山添: そうですね。首長には強いイメージがあると思いますけど、もちろん弱い部分もある。そういう“弱さを共有する強さや勇気”も必要だということを、私は昨夏の合宿で感じたんです。そして、きっとそれは、全国各地の若手首長たちも同じだろうと。だから、“若手首長たちが自分を表現できる場づくりを体制的にやっていきましょう!”というのが、この会だと考えています。

脇: リーダーは強くあってほしいと思われがちですよね。だけど、互いに弱さを共有することで“逆に強くなっていける”。その“過程”こそ、今の時代に必要なリーダー像かもしれないですね。桑原さん、どうですか?

桑原: そうですね。では、なぜ私たち若手首長が悩んだり、弱さをもったりするかというと、社会や環境の変化が大きくなり、仕事の難度がどんどん上がっているからです。私は現在2期目ですが、就任当初より課題が複雑化しているうえ、世界情勢に対する不安も大きい。そういうリスクの高まりを踏まえたとき、特に小さいまち・むらにおいては、どの方向を向いて取り組むかという舵取りが難しく、その結果、色々と悩みを抱えてしまう。全てをやり切ることはできず、とはいえ足元ばかり見ていてもダメで。10~15年後を見据えた町政・村政の骨格づくりがとても重要だと感じます。 そこで、こういう会があれば、時代の動きに敏感な若手首長同士が悩みや感覚を共有でき、成功事例などを共有することで、課題に立ち向かっていけるのではないかと思うんです。

脇: なるほど。特に小さなまち・むらの場合、良くも悪くも変化を感じやすいといえそうですね。

子育て世代の首長だからこそ、未来を見据えた決断も大事にする。自ら情報を取りに行く力とチャレンジ精神も、若手の強み。

森田: 振り返ると、コロナは大きかったですね。経験したことのないことについて考え、決めねばならないときには、“自分の考えは正しいのか“という不安がつきまとう。短期的な正解と長期的な正解で異なる場合もありますし。そこで、自分の感覚にズレがないかをすり合わせる仲間がいるのは、とても心強い。そうすることで、もう一つ何か大きな決断ができたり、もう一歩踏み込んだりすることも可能になりますからね。住民や議会はどうしても“目の前のこと”を気にします。だけど僕たちは、10~20年後を見据えて決断しなければならないこともある。住民や議会にその点を理解してもらうのはなかなか難しいけど、首長同士でなら、同じ感覚で話せる。「未来の子どもたちのために、今やらないといけないことだから間違ってないよ」と、勇気をもらえますからね。

脇:なるほど。首長も悩んでいるということを、職員の皆さんにこうやって伝えることにも、大きな意味がありそうです。菅野さんは、どうですか?

菅野 大志さん菅野: 僕がまち・むらの課題として感じるのは、国などからの“情報を知らない、行き渡っていない”こと。その点、若手首長なら、自らがプレーヤーになって積極的に情報を取りに行きやすい。自分が得た情報をシェアして「こういう交付金制度があるよ」「こんな風に政策に使えたよ」と気軽に学び合える。視察に行かなくても具体的な情報を得られることが、この会の価値だと思います。また、得た情報をもとにスピーディに政策に落とし込んで動けるのも、若手の強みじゃないでしょうか。

脇: 国からのお金という文脈でいうと、課題解決型の地方創生を体現するまち・むらに足りてないのは、資金を調達するための“情報やきっかけ”だと、先日の会合でも発信していましたよね。

菅野: そうです。申請書を出さないと、もらえない仕組みになっていますからね。まち・むらも、積極的にチャレンジしないと。しかも広域連携できたら、さらに獲得しやすくなります。この会の中でも連携して、何か一つでも実行できたらいいなと考えています。

脇: 首長自ら直接得た情報が、この会を活用して横展開されることで、まち・むら全体の底力が上がるということですね。菅野さんは「地域間は競争の時代!」と言いながら、すぐにノウハウを教えてくれますしね(笑)。

森田: それが、行政マンのいいところ。

菅野: はい、そうなんですよ。“利他”なんです(笑)。

地域ごとに解決したい課題の順位は違う。テーマ別にグループをつくり、ゆくゆくは“組織間のつながり”に発展できたら。

脇: では、第1回目の会合を踏まえて“今後どうしていきたいのか“を聞かせてください。

菅野: これだけ課題が多様化すると、地域ごとに取り組みの優先順位は異なると思います。だから、複数のテーマに分け、優先する内容ごとに集まって話ができたらいいなと思います。例えば、僕だったら、“まち単位での病院維持、医療機能の確保”に課題意識があるので、そこに取り組んできた桑原町長にぜひ話をお聞きしたい。

桑原 悠さん桑原: 津南町でも、すごく大変でした。でも、分かります。まちの中にいると、課題解決も“自分たちの中”だけで掘ろうとしがちですよね。ビジネスでいうと、マーケティングができないみたいな。

菅野: そうなんですよ。だから、テーマごとにつながりが強化され、心理的安全性が維持されれば、より深いことまで話し合っていけるのかなと。それが可能になれば、首長だけでなく職員も参加し、自治体間の組織的なつながりにまで広がるといいなと思います。

脇: 確かに、相談の場がテーマ別になっていくと、それが実現できそうですね。桑原さんは、どうですか。

桑原: 私は、女性首長のコミュニティをつくりたいですね。1788ある地方自治体の女性首長は、まだ45名(令和4年10月時点)で、若手町村長会内でも3人のみ。例えば、日本全国で深刻化する少子化問題などは、これまでの政策に女性の視点が足りず、手薄になっていたことが原因の一つだと思うんです。だから、もっと女性のリーダーが増えるようにしたいですし、そのコミュニティの中で、女性も含めた多様な人の生きやすさについて話し合えたらと。もちろんそこには、子育てなどに携わる男性にも参加してほしいですね。

脇: 確かに、子育て世代の若手リーダーは、性別関係なく、そういった課題を自分事として捉えることができますよね。それに、そのコミュニティから、若い女性たちに向けて発信するのもいいかもしれないですね。

桑原: まさに。私たちこそが身近なロールモデルだと思うので。こういう会の発信から情報を得て、首長を目指す女性が増えるといいなと思います。

社会課題に対し“当事者意識”をもつ若者を、バランスよく町政や村政へ。被選挙権年齢の見直しについても、相談していきたい。

森田 浩司さん森田: 僕は、“もっと若い首長を増やしたい”という思いをもっています。町政・村政にチャレンジしやすい環境づくりを、この会を軸に取り組めたらいいなと。そもそも、この会の中にいるのは、“若いから無理だろうという偏見”を打ち崩してきた人たちですからね。もちろん若ければいいという話ではなく、現状の相対比率でいうと、やはり65歳以上の首長が多いので、バランスも大事ではないかと。僕たちのような子育て世代で、課題に対し当事者意識をもつ世代が、町政や村政の真ん中にもっと必要だと感じます。そうなることで、投票率も上がる気がするんですよね。

脇: この話って、今まさに働き盛りの若い公務員にも、すごく刺激になりそうですね。

森田: 第1回目の会合でも、元公務員という首長が多かったんです。ジチタイワークスを読んでいる若手公務員が、「自分もチャレンジしていいんだ!」と感じてくれたらうれしいですね。

菅野: そういえば、“デジ田の交付金申請を行った自治体”について調べたら、首長・副首長が50歳以下である自治体の数が、50歳以上の自治体に比べて1.5倍ほどでした。これも若手のチャレンジ精神のあらわれといえるかもしれないですね。

山添: 僕がやりたいことは、まず副会長として会長を支え、事業計画をしっかり立てて取り組むこと、これが前提です。個人的なテーマとしては、森田さんと通じる部分があります。実は10年ほど前から、若者の政治参画を促進したいと考えてきました。その中の一つに、“被選挙権の引き下げ”があります。僕自身は32歳で町長になりましたが、開票日、地元の記者に「全国の町村長の中で一番若いですね」と言われて驚きました。と同時に、すごく残念だと感じたんです。世界には被選挙権年齢が18歳である国もある中、日本は遅れていると感じます。これを実現するには、国への制度改正の提言が必要になるので、皆さんと連携して取り組んでいきたいですね。

脇: では、最後に山梨さんは、どうですか。

山梨: 僕は、会長として“若手町村長のプラットフォームの確立”しかないと思っています。その一方で、若さゆえに外部から“若手が集まったところで……”と思われないようにしなければいけない。この会が重みをもって外部に認知・信頼されるよう、しっかり筋を通しながら、運営に取り組みます。実際、若さゆえの失敗はあるでしょうし、見識が浅いまま選挙に勝つ若手がいてもいけない。若いなりの“強み”と同様に“リスク”があることを、内部でしっかり共有・発信しながら、その価値を最大化していきたいですね。

公務員は“一人じゃない”。地域や立場を越えて悩みや情報を共有し、困難な時代を乗り越え、一緒に時代を築いていきましょう。

脇: それでは、ジチタイワークス読者の皆さんに、メッセージをお願いします。

菅野: 面白いことをする地域に人と金、物、情報が集まります! まち・むらの中で様々なことを見聞きして、挑戦していきましょう!

森田: “一人じゃない”ってことを伝えたい。首長である僕たちは、職員がいないと何もできないことを分かっているので。互いが悩んでいることを理解し、立場を越えてしっかりつながっていけたら。そのためにも、今後、職員の皆さんにも、このプラットフォームを活用できるようにしたいですね。

脇: 確かに、自分のボスには聞きづらいことも、ここにいる若手首長になら相談しやすいかもしれない。この会がプラットフォームとなり、若手の首長と職員が地域や立場を越えて“つながる場所”になっていくといいですね。

山梨 崇仁さん桑原: 歴史的にも文化的にも豊かなまち・むらでは、それらを守って将来につなげる仕事に携わる職員も多いと思います。自分の携わった仕事で何か変化が起きたり、感謝されたりしたとき、“心の中で小さくガッツポーズをする”みたいなことってありませんか。私はそれが公の仕事のやりがいだと思っています。これからも一緒に頑張って、小さなガッツポーズをしていきましょう。

山添: いまは合理的な判断よりも“決断”が求められる時代。先が見えにくい中での意思決定は、首長であっても迷うし、間違うことがあるかもしれない。そんな時代だからこそ、組織として決断の精度を高める必要があります。ぜひ僕たち首長とともに、皆さんも切磋琢磨していきましょう。

山梨: 人口が減り、職員数も減るこれからの時代、行政はより領域を広げ、法律・条例にないことも視野に入れながら、社会を支える役割を求められます。また民間が行政と連携して活躍できるよう、つなぎ役も担っていかなければなりません。ジチタイワークスを読んでいる皆さんには、ぜひ“行政の殻”に閉じ込もることなく、時代を築く意識で頑張ってほしいですね。すごく重要な仕事だからこそ、僕は、自分の息子にも公務員になってほしいと思っているんですよ。

脇: なるほど。多くの課題に取り組むからこそ、プラスの変化を感じやすいのがまち・むらの強みであり、公務員という仕事のやりがいですよね。それを理解し、公務員を志望する若者や、「もっと仕事を頑張ろう」「首長に挑戦してみたい」と感じる若手が増えるとうれしいですね。

皆さん、本当にありがとうございました!

 

お問い合わせ

全国若手町村長会ホームぺージ https://www.young-mayor.net/

 

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