人口減少に伴い、移住政策に力を入れている地方自治体は多い。そんな中、問い合わせ増加と業務効率化を両立する取り組みがある。岡山県和気町が導入した移住特化型AIチャットボット「わけまろくん」の開発を手掛けたキャメルの太田伸吾さんに話を聞いた。
※下記はジチタイワークスジチタイワークスVol.8(2019年12月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 株式会社キャメル
移住希望者の問い合わせに24時間対応
岡山県の南東部に位置する和気町では、人口減少が年々進んでおり、移住による人口増加を目指して様々な施策を行っている。取り組みの中で少しずつ増えてきた移住に関する問い合わせには、職員が対応。しかし、限られた人数で対応する職員の負担や、職員が行うことによるレスポンスの遅れなどが新たな課題として浮上していた。業務効率化に向けてAIチャットボットが活用できないかと考えていた時に出会ったのが、キャメルが手がけた「AIチャットボット・Edia(エディア)」だった。
導入のメリットについて、太田さんは語る。「移住希望者への対応は、職員が口頭で答えるか、ホームページでのQ&A掲出が一般的ですが、チャットボットなら24時間受付可能で、移住希望者の声がログとして残ります。つまりユーザビリティ向上と業務効率化が両立できるんです」。
導入1カ月で問い合わせ数が166倍!
ただ、通常AIチャットボットの導入時には想定される質問と回答を事前に入力しておく必要がある。移住がテーマなら300項目程度が目安だが、これを手入力するのは容易ではなく、職員の負担も大きい。その点、「移住・定住Edia(エディア)」はこれまでの分析結果を基に何千問もの「問い」が予め用意されている。
さらにその回答についても、300のうち約半数を自治体のホームページから情報を吸い上げ自動的に作成する。つまり、職員は残りの回答を埋めるだけで導入がスタートできるのだ。和気町では、「わけまろくんの部屋」と名付けたAIチャットボット「Edia(エディア)」の運用を平成29(2017)年に開始し、現在も稼動中だ。導入以前、移住に関する質問は月に30件程度だったが、導入後は1カ月で約5,000件の質問に回答したという。「分析結果から質問のおよそ2/3は開庁時間外に行っていることがわかりました。電話より気楽で、好きな時間に質問できる、チャットボットの特長がこの結果に繋がったのだと考えています」。総合的な取り組みの成果により、移住者数も年間数十人から百数十人に増加した。
AIチャットボットが現状改善のきっかけにも
「今後のホームページ上の問い合わせフォームは、従来のようにメニューを表示する形から『わけまろくん』のように知りたいことを直接聞けるスタイルが主流になるでしょう。チャットボットなら、問い合わせのログから、チャット上のやりとりを解析できるのがメリットなんです」と太田さん。利用者が知りたがっている内容の把握がヒントになり、ツールのさらなる機能改善、対応の質の向上につながるからだ。
実際に和気町の担当者からも「ログデータから移住者が実際に質問した内容や傾向を把握できることで、移住希望者と直接会って説明をする際にも的確な情報提供がしやすくなった」と喜ばれているのだそう。
キャメルでは、自治体の全庁をカバーするAIチャットボットと、細分化したパッケージ版AIチャットボットの来春リリースを目指して開発を進めているという。さらなる機能の充実が期待されるところだ。
「まずは、移住定住分野でのスモールスタートでAIチャットボットの利便性を実感してほしい」と語るキャメルの太田さん。
移住特化型AIチャットボットで職員の負担軽減+移住促進!
和気町で大きな導入効果を生んだ「わけまろくん」。その母体AIチャットボットであるEdia(エディア)が、総務省提唱の自治体行政スマートプロジェクトに準じた形で移住専用にパッケージ化。全国の自治体へリリースを開始する。
移住者はこんなことが気になっている
自治体が得意とするジャンルの質問は…
・「気候や年間の天気は?」
・「災害は多い?」
・「待機児童はどのくらい?」
・「自然環境や公園は?」
→自治体のホームページに掲載されていることも多く、すぐに回答できる。
生活者目線での質問は…
・「コンビニやスーパーは何件ありますか?」
・「美容院はある?」
・「中古の一軒家の価格相場は?」
・「ベビー用品専門店はある?」
→自治体で把握していないことが多い。時期によって変動する回答などはFAQでフォローすることも難しく、回答に手間がかかる。
Edi a(エディア)なら幅広いジャンルの設問が事前に設定済み。移住者の「気になる」に応えることが可能!
「移住・定住Edi a(エディア)」の特徴
①移住専門のチャットボットとしては国内初!割勘効果で廉価に導入が可能※同社調べ
パッケージ化されたシステムのため、自治体独自のAIチャットボットとして運用できるが導入は非常に安価。
②24時間・多言語対応でニーズを逃さない
24時間、80言語に対応しており、移住希望者は時間や言語を選ばずいつでも質問ができる。想定外の質問の際には電話での問い合わせに誘導するなどの設定も可能。
③ログ解析で移住希望者のニーズを把握
各自治体の管理画面でログ分析結果が確認可能。更に全導入自治体の学習データは一括で管理・分析され、FAQアップデートという形で各自治体に還元される。
運用フロー
①回答作成
必要数の目安となる300回答のうち半数はAIが自動作成。残りの回答のみを入力する。
②バナー設置
自治体のホームページなどにバナーを貼るだけで、Edia(エディア)の運用が可能になる。
③運用・データ解析
管理画面はシンプルかつ機能的で、直感的に操作可能。この画面で回答の修正や、ユーザーの動向分析などを行う。
④回答の追跡
ログデータを基に未整備の回答を追加していくので、AI が常に進化していく。
「わけまろくん」で負担を軽減し、さらに丁寧な移住者対応へ
一口に移住希望者と言っても、漠然と考えている方から現実的プランを立てている方まで様々です。質問もそれぞれ異なりますが、全てに職員が対応するのは大変。とはいえ移住希望者は歓迎したい。そんなジレンマを「わけまろくん」が解決してくれました。負担が軽減された分は、移住希望者へのより充実したサービスに繋げられると考えています。
和気町 まち経営課 小倉 浩太郎さん
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