ジチタイワークス

福井県

FPによる相談会でお金の問題をクリアに!移住希望者の夢を後押しする。

移住希望者の相談会に地元FPを紹介

人口減少に悩む自治体の多くが、移住者の誘致に力を入れている。しかし、金銭的な不安が障壁となり、移住を阻むこともある。そこで福井県では、「ファイナンシャル・プランナー(以下、FP)」が、移住に関するお金の相談に乗っているという。

※下記はジチタイワークスVol.29(2023年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]NPO法人日本FP協会

支援策が奏功し、Iターンを中心に移住者の数が過去最高を記録する。

自然豊かな生活環境などに憧れ、地方移住を希望する人が増えている。「当県では、自治体支援を受けて移住してきた人を“新ふくい人”として集計しており、令和4年度は過去最高の1,229人を記録しました。特に、Iターンは5年前と比較して約3.4倍、881人まで増加しています」と、順調な増加ぶりを語る富田さん。

東京や大阪など全国5カ所に相談窓口を設置しており、昨年度の移住者はその6割以上が関東・関西圏からだったそうだ。また、日本一幸福な子育て県「ふく育県」を掲げる子育て応援事業が功を奏したのか、移住者の約6割を子育て世代が占めるという。「子育て環境の良さがファミリー層に認知されてきているのだと思います」。

ただ、子どもの成長に伴って、必要な生活費は大きく変化する。もちろん子育て世代でなくても、移住後の家計収支に不安を感じる人は少なくないだろう。移住を促すためには、お金の問題をクリアにする必要がある。「しかし、移住にかかる費用だけではなく、移住後の生活費のことまでとなると、県の相談員ではなかなか対応できません」。お金や移住後のライフプランについて、包括的に相談できる存在が必要だったと話す。

移住に関するお金の悩み

費用はどれくらい必要?
賃貸or購入?地域の不動産事情を知りたい
移住後も生活していける?

住まないと分からない地域事情を地元のFPが事前に教えてくれる。

そこで同県は、「日本FP協会」に“くらしとお金”のプロであるFPを紹介してもらうことに。県が実施する移住相談会に、同協会の福井支部からCFP®資格やAFP資格をもつFPを紹介してもらっているという。

相談会は、GW・お盆・年末の計3回。会場となる複合施設には、県の総合相談ブースや就業支援ブース、Uターン就職を希望する学生向けブース、さらにお盆には地元企業の転職相談ブースなどが出展される。「令和2年度から地元FPによる相談ブースを設けています。相談は無料で、1組につき30分まで。移住費用や生活費はもちろん、将来的に必要になるお金まで、具体的なアドバイスをしてくれるので好評です」。

同県で順調に増えているIターンの場合、移住した後で想定外の出費に驚くケースは少なくないそうだ。「例えば当県の場合、冬季は積雪するため、ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤへの交換は必須です。また、関東・関西圏に比べると、暖房費も高い傾向にあります」。そうした地域事情も踏まえて包括的なアドバイスができるのは、地元のFPだからこそ。同協会は47都道府県に50の支部があるため、各支部が地元のFPを紹介できる。移住希望者の不安を払拭して背中を押すだけではなく、移住後の“こんなはずではなかった”という事態を防ぐことも期待できる。

“幸せな移住”になるように地方暮らしの長所も短所も示す。

2024年度末までの目標だった“新ふくい人1,200人”を、すでに達成している同県。「効果測定は行っていませんが、地元FPへの相談が移住を決意させるワンステップになっていることは間違いないと思います」。移住に必要なお金は個人の状況により異なるため、一概にいうことはできない。だからこそ不安になるわけだが、現実を見据えたFPのアドバイスは移住希望者にとっては心強く思えるだろう。

移住は人生の岐路になる。しかし、移住は新天地への一歩に過ぎず、その土地でしっかり生活していくことが、移住者にとっても、自治体にとっても重要だ。「今後は県の魅力を発信する短編ドラマを制作し、動画配信サイトで公開する予定です。また、保育所などと連携し、ワーケーション事業を発展させた親子留学事業なども検討しています」と富田さん。

同県に興味や憧れをもつ人が増えれば、移住という夢の実現を手助けするFPの活躍の場も広がるだろう。県の認知度を高めながら、さらなる移住者獲得に力を入れていく同県にとっても、FPは心強いパートナーといえそうだ。

福井県
交流文化部 定住交流課
主事 富田 基意(とみた もとい)さん

“くらしとお金”のプロが移住計画をしっかりサポート

1.移住にかかる費用を把握

敷金や礼金などの住居関連費に地域で違いが出ることも。また、自動車が必要かどうかなど、移住希望者が事前に把握しておくべきポイントをアドバイスしてくれる。

2.移住後の生活費を予測する

地方に移住したからといって、全ての費用が安くなるわけではない。思わぬ出費を避けるため、地域事情に即した生活費を移住者に伝えることが重要だ。

3.移住後のライフプランまで見据える

共働きは必要か、早期退職は可能なのか。移住後の生活を見据えて、前もって対策を立てるよう促すことができる。

自治体との主な連携事例

①空き家対策事業
中古住宅の活用に関する研修を受けたFPを自治体に紹介

②ひとり親家庭等生活向上事業
自治体が主催する家計管理や生活支援の講習会などに講師や相談員としてFPを紹介

③家計改善支援事業
自治体が実施する家計改善支援事業にFPを紹介

④シニア世代向け相談会・セミナー事業
人生100年時代に向けたシニア層対象の自治体事業に協力

お問い合わせ

サービス提供元企業:NPO法人日本FP協会

TEL:03-5403-9700
E-mail:info@jafp.or.jp
東京都港区虎ノ門4-1-28 虎ノ門タワーズオフィス5F

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