神戸市では働き方改革の一環として、総合コールセンター業務にAIの積極的活用を進めている。チャットボットの導入をはじめとする最新のコールセンター事情について、同市市長室 広報戦略部 広聴課の島 正樹さんに話を聞いた。
※下記はジチタイワークスジチタイワークスVol.8(2019年12月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 株式会社NTTマーケティングアクト
膨大な件数の問い合わせで職員に大きな負担
平成29(2017)年度から働き方改革を進めている神戸市では、業務省力化のためのさまざまな方策に取り組んでいる。平成30(2018)年に策定された「働き方改革(業務改革)のロードマップ」で掲げた「電話問合せ対応業務の大幅削減」もその重要施策の一つだ。
同市では電話による問い合わせの多さに頭を悩ませており、平成23(2011)年頃からNTTマーケティングアクトの協力で総合コールセンター(以下、センター)を設置して問い合わせ窓口の集約を図ってきた。しかし、PR不足もあってセンターの存在がなかなか周知されず、依然として各部署の直通電話は引きも切らずに鳴っていた。
「推計で年間約470万件。この数字は職員間の連絡も含みますが、それを差し引いても同規模の他自治体よりかなり多いと思います」と島さんは言う。電話対応の時間が業務を圧迫し、職員の負担になっていた。そこで今般の働き方改革でセンターのさらなる改善に着手したというわけだ。
インタビューに答える神戸市の島さん。
チャットボットの実証実験AIによる疑問解決に期待
センターの認知度が低い問題に対しては、市のWebサイトフッターにセンターの番号のみを記載することで直通へのアクセスを極力回避し、その分センターに回すという方法をとった。まず問い合わせが特に多い3部署で試みたところ、職員から「減少が実感できた」「本来の主要業務に、より時間を割けるようになった」という声があったため、今では全部署でWebサイトフッターの直通番号を削除し、センターの番号のみを記載している。
対人ではなく、PCやスマートフォンでAIが質問に答える24時間対応のチャットボットも導入。電話が苦手な人にもハードルが低い。「まだ試用段階で利用者は少ないものの、アンケートでは約7割が『疑問は解決した』と回答してくれました。ポイントはチャット上で『質問内容をいかに明確化するか』であり、そこに改善の余地はまだまだありそう。来年度から有人チャットの運用も始まるので、より多くの方々からの活用が期待できます」。
総合コールセンターの刷新で業務改革と市民満足の実現へ
「現在、最新ICT技術によってセンターでの会話をテキスト化して蓄積するシステムを構築中です。これらを分析して今後の市政に活用できればと考えています」。
新たなシステムやツールの本運用によって、省力化や省人化、コスト削減や生産性向上といった業務改革にいかなる効果が表れるかについては、今後に期待がかかる。職員の負担が軽減できれば、それだけ市民の満足度向上に時間をかけられるだろう。ロードマップのスローガンでもある「スマートなワークスタイル、働きやすい職場」「スマートで優しい市民サービス」の実現に向けた、大きな一歩と言えそうだ。
市民の問い合わせに電話・チャット応対のプロフェッショナルが応対する。
電話とチャットボット併用で一歩先行く市民サービス
人とAIによる対応を併用することで精度の高い回答を可能にするのがNTTマーケティングアクトの最新コールセンターの仕組み。令和2(2020)年4月から運用予定の「有人チャット」は、政令指定都市では初導入となる画期的なシステムだ。
NTTマーケティングアクトの強み
①オペレーターの質や技術力の高さ
オペレーターが職員と連携してFAQを常に追加更新しているので、システムが日々充実。問い合わせに対して適切な回答をした割合は95%に達している。
②ごみ、税など幅広い疑問にも対応
自治体における業務経験が豊富なので、総合コールセンターだけでなく、ごみ回収受付や納税通知業務などのように、専門業務に特化した窓口の開設も可能。
③NTTグループならではのトータルサポート
NTTマーケティングアクトおよびNTT西日本グループのジョイントベンチャー体制で、システム・回線・運営の一体的総合提案が可能。西日本エリアおよび首都圏に営業担当が在籍し、地域密着型提案も行う。本案件では神戸市と月1回定例会を行って意見交換するなど、密な連携を取っている。
豊富な実績、AIを活用した提案
総合コールセンターだけでなく、ごみ・水道受付等の専門窓口へのAI提案も可能。
■チャットソリューション
ホームページやLINEからの問い合わせなどリアルタイムな対応を実現します。AIを活用したチャットボット(自動対応)と、有人対応のハイブリッド運営が可能です。
■FAQコンサルティングサービス
FAQの新規作成・クリーニング・定期メンテナンスを実施します。対話ログからFAQ候補を抽出する独自AI技術を開発・活用しています。
■VOC分析・コンサルティングサービス
音声認識サービスによりテキスト化された市民の声を、専門アナリストが分析することで、業務改善や市民満足度向上等のさまざまな改善を支援します。
■その他
プレミアム商品券やマイナンバーカード等の国策案件に対するソリューションも提供できます。
導入後も常に進化し続けるシステムを
私たちはグループ全体で、常に一歩先を行く顧客満足を実現したいと考えています。弊社ならばコールセンター導入後にAIを活用したシステムを追加できるのでセンターを常に進化させていくことができます。