ジチタイワークス

神奈川県横浜市

学校の空気を良い状態に保つことで、学習効率の向上を目指す。

空気質を可視化するクラウドサービス

横浜市立の全学校ではCO2濃度や温湿度の値をモニタリング。数値に応じて対策を講じ、快適に集中して学べる環境を整備している。また、教室の空気環境をWEBページで見ることができるMAPも、保護者から好評なのだという。

※下記はジチタイワークスINFO.(2023年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社UPDATER

CO2やPM2.5の可視化情報を基準に、適切なタイミングで換気を実施する。

“換気のタイミングは感覚で”という自治体が多いのではないだろうか。しかし、適切なタイミングで実施できず、換気不足となった場合は感染症リスクが高まってしまう。それだけでなく、CO2濃度が上がることで眠気や頭痛を引き起こし、学習効率低下につながりかねないのも問題だ。

令和4年、新型コロナウイルス感染症の第6波や第7波到来で、子どもの感染者数も増えていたという同市。「冬には季節性インフルエンザの流行も見込まれており、学習環境を守るために対応強化が必要だと考えていました」と長田さんは振り返る。

そんな中、「空気の見える化プロジェクト」を企画し、CO2モニター設置を検討。入札の結果、ブザー音で換気を促すタイプの導入に加え、クラウドタイプである「UPDATER(アップデーター)」の空気質管理サービス「MADO(マド)」の併用を決めた。同サービスは空気質を計測してクラウドへ送信し、タブレットなどで可視化できるシステム。「CO2濃度や温湿度はもちろん、より粒子の小さいPM2.5、揮発性ガスの値も測定できるのが魅力でした」。

使用イメージ

キャラクターの表情で空気の状況を表現。換気のタイミングなど、子どもたちにも分かりやすいUIになっている。

 

数値の改善が見込めない場合は現地を訪問し対策を提示する。

導入が決まってから約1カ月後の令和5年1月、横浜市立の小・中学校、高校、特別支援学校の全てに各4台、合計2,036台の計測機器を設置したという同市。小学校に関しては、呼気量が増える4~6年生と、個別支援学級や特別教室などに設置した。実際に活用する中で実感したのは、記録が残ることの有効性だという。「各学校のデータから、いつ、どういったタイミングで空気環境が悪くなるのかなどの傾向を見ることができます。その場限りではなく、記録をもとに振り返りができて対策につなげられる点が良いですね」。

また、毎日同社と打ち合わせを行い、適宜各学校にフィードバックを実施。「例えば、雨の日にCO2濃度が急激に上がっていた場合、教室を閉め切っていたことが原因と推測されます。その際は、換気の回数を増やすようにアドバイスしています」。ただ、日々対策を行っていても、CO2濃度などの値が改善しないケースも出てくるのだという。そうした場合は同社が学校まで出向き、原因究明のために調査を行うそうだ。

「これまでに“換気扇にホコリがたまって換気量が確保できていない”“窓を開けても、カーテンや掲示物が空気の通り道をふさいでいる”などの原因が調査によって判明しました。カーテンの裾をクリップで持ち上げたり、掲示物の位置を変えたりといった、すぐに取り組める改善策を提示してもらえたのも非常にありがたかったです」。

換気の効果を体感することで保護者や子どもの意識が向上。

同サービスは、モニタリングだけでなく、空気環境の状態をWEBページで確認できる“空気環境見える化MAP”の利用が可能だ。地図内に学校名が表示され、クリックすると15分ごとに更新されるCO2濃度や温湿度を見ることができる。長田さんは「学校での取り組みを保護者の皆さんにも確認してもらえますし、多くの市民の皆さんにも見てもらえます。デザインもキャラクター入りで分かりやすく、親しみやすいので、継続して見てもらえるのではないでしょうか」と話す。

実際にプロジェクト開始後に学校でアンケートを実施したところ、進んで換気をしようと思う児童・生徒が増加したという。「どの時間帯にCO2濃度が上がるのかなど、傾向をつかんでいる児童・生徒もいるようです。また、保健委員が換気に関するポスターを作成して換気を促すなど、自ら進んで行動する様子が見られます。今後もこうした動きが出てくるとうれしいですね」と期待を寄せる。

学校での取り組みが“自ら学び行動する”きっかけとなり、その積み重ねが明るい未来を切り開く礎となりそうだ。

横浜市
教育委員会事務局
健康教育・食育課
課長 長田 和彦(おさだ かずひこ)さん

横浜市の空気環境見える化MAP

▲横浜市立学校の取り組みはこちらから。画像をクリックorタップでもご覧いただけます。

状況に合わせた最適なサポート

1.クラウド管理でCO2濃度をどこでも確認可能

CO2濃度上昇を音で知らせるタイプのものは“その場に人がいない”“ブザー音を切っている”といった場合、気づかれないこともある。クラウドにつながるMADOなら、現場にいなくても値を察知することが可能。

2.適切な換気を行うための検討材料を得られる

モニタリングで状況を把握することで、換気扇の取り換えやサーキュレーター導入など、その施設の状況に応じて必要な換気対策を検討する材料になる。

ブザー音で知らせるものと併用することも可能

空気質を測定するだけでなくモニタリングが大切。ブザー音で換気を促すタイプのものを使用している学校でも併用してみては。

本事業の予算情報

約2億円

1台当たり約4万円で導入でき、2年間のモニタリングを実施。同市では「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用した。

お問い合わせ

サービス提供元企業:株式会社UPDATER

TEL:03-6805-2228
E-mail:minnaair@minden.co.jp
東京都世田谷区三軒茶屋2-11-22
サンタワーズ センタービル8F

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