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【ママ座談会 -後編-】仕事も子育てもチャレンジしたい人が認められる社会を目指して。

仕事と家庭を両立する、公務員パパ・ママの理想と現実に切り込む連載。第2弾の今回は、公務員女子限定のFacebookグループ「もやもや公務員女子部」のメンバー3人にインタビュー。【子育て中でもキャリアアップはできる?仕事を両立するためのヒント】をテーマに、子育てと仕事を両立するためのヒントやキャリアアップにまつわる思いや経験などを聞きました。前・後編に分けて、今回は後編をお届けします。

【子育て中でもキャリアアップはできる?仕事を両立するためのヒント】
(1)【前編】子育て期間中に秘めたそれぞれのキャリアアップへの思い。
(2)【後編】仕事も子育てもチャレンジしたい人が認められる社会を目指して。 ←今回はココ

もやもや公務員女子部とは

「もやもや公務員女子部」(通称:もやじょ部)はHOLG(ホルグ)発の公務員女子限定の非公開Facebookグループとして誕生しました。公務員女子の働き方、キャリアプラン、生き方など日々のモヤモヤを吐き出し、新たな一歩に変えていく場です。 もやもやを発信し、ほっと一息つくとともに、逆境を力に変えやりたいことを行動に移す人を応援します。
 

-参加者-


 

埼玉県 県民生活部 人権・男女共同参画課
矢嶋 直美(やじま なおみ)さん

子どもは高2と中3、夫は民間企業に勤務。  


 

長野県木曽町 保健福祉課
中島 友美(なかしま ともみ)さん

 子どもは小4と小1、夫は自営業。


 

東京都総務局 八丈支庁 総務課
長澤 美帆(ながさわ みほ)さん

子どもは4歳と1歳、夫も東京都職員。                

 

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―子育て中は忙しいと思いますが、自分の時間をつくることやスキルアップは意識していますか?

長澤さん:第1子の育休明けは東京で生活していて忙しく、毎日必死で余裕がなかったです。やりたかった勉強を仕事の昼休みと通勤の電車の中でやる程度でした。

家事については夫に丸投げすればできることが分かり、とてもありがたいと思っています。私が求めるタイミングやレベルでなくてもいいと割り切っています。
 

矢嶋さん:子育てを始めて10年くらいは家と仕事の往復で精いっぱいで、地域活動の時間が取れないことがつらかったですね。でも、久々に地域活動に戻るとやっぱり面白いなと思います。

私のまわりには魅力的な方がたくさんいて、そういう人と企画を一緒にすることがスキルアップになっています。あとは、Facebookでアウトプットすることがモチベーションになり、楽しんで活用しています。
 

中島さん:私は育休中に健康運動指導士とコーチング(国際コーチング連盟認定プロフェッショナルコーチ)の資格を取りました。管理栄養士として栄養支援や保健指導をするとき、「あなたはどうしたいの?」と相手に問いかけ、自分で選択することを大事にするコーチングを取り入れると効果が上がると感じています。

子どもができると前のようには時間が取れず、それを求めると苦しくなってしまう。そういうときに、子どもの手が離れたらやりたいことリストを書いていました。この10年は思い通りにできなかったけど、ある程度割り切って、できることをちょっとずつ積み重ねてきました。

 

―これからのキャリアについて、どう考えていますか?

長澤さん:これまで見てきた女性の先輩は、キャリアか子育てかを選ばなければいけないような状況だった気がします。でも、保育園のお迎えがあるので残業はできないけど、仕事も頑張ってキャリアアップをしたいと表明したらどうなるか、私はそこにチャレンジしていきたい。

この部署は無理だけどあそこならできるかも、というような選択肢が見つかるかもしれない。とりあえずチャレンジしてみるつもりです。仕事も子育てもしたい人が認められる職場や社会になってほしいですね。
 

中島さん:すごいすてきですね!長時間働けることが昇進の要素になるのはおかしいと私も思っていて、部署の人がみんな定時で帰りつつ成果が出せる職場を目指したいですよね。

私は住民と接する現場の仕事が好きなので、役職が上がると現場から離れてしまうというモヤモヤや不安があります。

それに、私のような専門職の人はずっと同じ部署にいるので、他部署を広く体験して公務員の仕組みをしっかり把握できるチャンスは限られると思います。だからこそ、矢嶋さんがやってくださるような公務員のリーダー勉強会に参加して、頑張っている人たちの工夫やあり方を学び、管理職になれる準備をしておきたいと思っています。
 

矢嶋さん:うんうん、いいですね。出産後に子育てしやすい職場にいて、いわゆるマミートラックにのると、ずっとそういう職場に異動になってしまうことが往々にしてあります。

それは一つの生き方だと思うけれど、私はこの職場で年齢を重ねたときにどうしたいかを考えて、特に主幹になった後はちゃんと階段をのぼりたいと思うようになりました。

では、マミートラックを走っていた主査時代に壁をどう乗り越えたか。埼玉県庁には、自分が希望するポストに手を挙げて、その部署の課長と面談できる制度があります。私は子どもが小学校に入るタイミングでキャリアチェンジしたいと思い、前からやりたかった女性の就業支援の仕事に思い切って手を挙げました。

その部署は夜や土日の仕事があるので、自分としてはすごい賭けだったのですが、おかげさまで異動がかないました。自分のキャリアを振り返ってみると、あのときに手を挙げたから、その後は異動のたびに自分の経歴や興味・関心を生かせる仕事につかせてもらっていると思います。

子育て期の最初の10年はキャリアでとん挫して、かじを切ってからの10年は出世という意味では遅れているものの、キャリアの道に戻してもらった。これから管理職を経験する機会をいただいて、公務員を卒業できれば、自分としては公務員人生をやり切ったといえるのかなと思っています。

―皆さん意欲的でとてもすてきですね。最後に、子育てとキャリアに関してアドバイスをお願いします。

長澤さん:子育て期はすごく忙しくて自分のことをなかなかできないけれど、自分の人生を豊かにしてくれる期間だと実感しています。子どもの成長に寄り添いながら、自分の親に対して自分が子どもだった頃の話を聞く機会が増えました。

オーバーな言い方かもしれませんが、自分の人生を生きながら、子どもの人生と、自分の昔の人生を思い起こすような、人生を3倍楽しめる時期になっていると思います。大変なことも多いけれど、子育て期を楽しんでもらえたらと思います。

中島さん:何人も子育てしてきた先輩を見ていると、子育て期に仕事と家事と子育てのトリプルタスクを経験してきた人たちは、子どもの手が離れたら、めちゃくちゃ仕事ができる人になっているんですよ。

その期間に苦労したことはきっとムダでなくて、失敗したことや泣いたこと、笑ったことも全部その人の豊かな人生のリソースになっているんだなと感じます。そして何より、自分自身が心身ともに健康に過ごすことが一番。睡眠や食事などの基本的な生活基盤を整えることはもちろん、まわりに相談できる人をつくっておくと良いと思います。何でも一人で抱え込まず、人に助けを求められることは大事です。

私は子どもを預けている園の保育士さんが同じ自治体職員だったのと、悩みがあれば、まわりにいる保健師にすぐ相談できるという安心感がありました。各自治体にも保健師や管理栄養士などの専門職がいると思うので、気軽に相談してほしいと思います。
 

矢嶋さん:公務員の定年が65歳になり、子育て後に働く期間って実はすごく長いんですよ。同期で出世の差があっても、60歳になったら一部のすごく出世する人以外はみんなほぼ同じような立場になります。

だから、1日1日1年1年、家族や職場など周囲の人との関係を心地よく築いていく月日を重ねていくことが大事なのかなと思います。

いつもキャリアのことを考える必要はないけれど、仕事の節目に自分はどんな仕事をやっていくか、どうやって職位を重ねていくかを考えたり、あるいは自分が子どものときに好きだったことや、どんなことをやっていると心地よくなるかなと思いを巡らせたりして、それを仕事やプライベートで実行していくといいのではないでしょうか。

人生は長いので、目先のことであまり焦らず、毎日を心地よく過ごすようにしたいと自分自身に言い聞かせています。

 

前編はコチラ【ママ座談会 -前編-】子育て期間中に秘めたそれぞれのキャリアアップへの思い。

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