大分県別府市は平成28年5月から死亡に関する窓口「おくやみコーナー」を市役所内に設置しました。
コーナー設置のきっかけは、2015年7月に発足した若手職員による窓口プロジェクトチームの提案です。
別府市では、死亡に関する届出は最大13課の60種類を超える書類が存在します。故人の条件で必要な手続きは異なりますが、悲しみのなか、何をすれば良いのかわからない人、手続きに時間がかかり途中で帰る人や、書類の多さに苦労する人が多くいたのです。
※下記はジチタイワークスVol.2(2018年7月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 大分県別府市
特に煩雑な手続きに特化
すべての手続きにワンストップで対応する窓口の設置は難しいため、特に煩雑な死亡手続きに特化した窓口設置が提案されました。コーナーでは遺族からの1枚の届出書をもとに、死亡に関する各課の届出書を一括で作成補助し、手続きの必要な課を選別します。その後、遺族を各窓口にご案内するか、各課の職員がコーナーまで順次出向き手続きを完了します。
届出の情報は関係課と共有されるためスムーズに申請できるようになり、受付時間も3分の1程まで短縮。電話での問い合わせにも対応し、遠方に住み来庁できない遺族には電話で必要事項をヒアリングして書類を一括送付するサービスも実施しています。
特別な手続きだからこそ、さらに市民の心に寄り添いたい
コーナー開設からすでに2800人以上が利用し、トラブルもほとんどないそうです。福岡市や神戸市など全国の自治体から視察や、電話での問い合わせも多く寄せられています。
担当者は「現在の当市では、転入・転居・転出などすべての手続きのワンストップは難しいが、遺族の心情を考えると死亡の手続きは特別だ」と話します。葬儀を終えて疲弊した遺族に寄り添い向き合うことで、市民から評判も良く感謝の声が多く届いているようです。
今後は電算システムの改修を図り、転出など他のライフイベントにも対応できないかを検討。小さな改善を積み重ねていくことで、市民の負担を減らしていきたいと担当者は語りました。
おくやみコーナーの受付で対応する職員