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自治体PR動画とは何か?効果的な活用方法を考える。

「自治体PR動画」をご存じだろうか。地域の魅力を知ってもらうため、自治体が「自治体サイト」もしくは「動画サイト」「SNS」等で公開している動画である。

自治体PR動画には、ドラマ仕立てのものや地域に住む人たちが参加するもの、美しい地元の風景の紹介など様々なものがあるが、効果的な動画には何か特徴があるのだろうか。

今回は自治体PR動画と効果的な活用方法について紹介する。
 

【目次】
• 自治体PR動画とは?
• 自治体PR動画の作成と活用
• 自治体PR作成・運用の注意点とは?

自治体PR動画とは?

自治体によって若干の違いはあるが「自治体PR動画」 と呼ばれるものの特徴は次のとおりである。

• 地域の魅力を紹介する
地域の魅力を紹介するために作成されている。その主な目的は、地域の知名度の向上、移住促進、観光地や特産品のアピールのためである。

• 長さは1分程度~10分ほどと短め
多くの自治体PR動画が1分程度~10分ほどとなっている。動画は自治体や観光協会ホームページや動画サイトで公開されており、誰でも視聴できるようになっている。

なぜ自治体がPR動画を作成するのか?

なぜ多くの自治体が自治体PR動画を作成・公開しているのか。その大きな目的は「地域の魅力を広く伝えるため」である。文章と比較すると、短めの動画は多くの人に見てもらいやすく、国や年代を問わず、意図が伝わりやすい

なお、具体的には以下のような目的のためにつくられることが多い 。

● インバウンド客の呼び込みのため
● 地域外の人に向けて特産品・観光地等のアピールをするため
● 地域住民に対して、地域の魅力をアピールするため


 

自治体PR動画をつくるメリットとは?

自治体がPR動画をつくるメリットには次のようなものがある。

• 文章よりも伝わりやすい
一見するだけで内容が分かる動画は、文章よりも地域の「アピールポイント」が伝わりやすい

• 国内外問わず多くの人に見てもらえる
映像だけで内容を伝えられる動画は、国内外や年代を問わず多くの人に見てもらえる可能性が高い。日本語が分からない人にも地域の魅力が伝わりやすい。

• 知名度アップ
観光地の魅力は文章・写真のみで伝えるよりも、動画で紹介した方が臨場感もあり、印象に残る。結果として地域の知名度アップにもつながることが期待できる。

• 話題になりやすい 
工夫をこらした自治体PR動画は話題になりやすい。SNSでの拡散はもちろん、テレビなどのマスコミに取り上げられることもあり、幅広い人たちに動画の存在と地域について知ってもらうことができる。

また、動画が話題になることで、地域の人たちには地元に自信や誇りを持ってもらえることも期待できる。

• コストがかからない 
内容にもよるが、自治体PR動画のような動画コンテンツはビデオカメラさえあれば作成できる。大がかりなイベント、マスコミへの売り込みなどと比較すると、低予算で地域の魅力を発信することも可能である。

 

自治体PR動画の作成と活用

自治体PR動画は、「なんとなく」「ほかの自治体もつくっているから」というだけで作成しても効果は上がらない。作成する際に考えておきたいこと、気を付けたいことを解説する。

まずは目的を決めることが重要

動画をつくる前に目的をしっかり決めておきたい。「インバウンド促進」「移住促進」といった大きな目的だけでなく、誰に届けたいかというターゲットを定めることも重要だ。例えば以下のような例があるだろう。 

【海外の人に向けて地域の魅力をアピール、インバウンド促進を目的とした動画をつくる場合】
・着物でまち歩きができ古都の雰囲気が味わえることを紹介
・日本語が使えなくても買い物をしやすいという点をアピール
など

【地域外の人に向けて移住促進のための動画をつくる場合】
・子育て世代を対象に「遊び場が多い」「子育て支援が充実している」点をアピール
・若年層を対象に「自然が多く、アウトドア系レジャーが楽しめる」「都会にも行きやすく仕事がしやすい」点をアピール
など

【地域在住の人に向けて定住促進・地域に愛着を持ってもらうための動画をつくる場合】
・地域の祭り・イベントを紹介した動画を作成
・地域の隠れた人気スポットの紹介動画を作成
・子どもから高齢者まで、あらゆる世代が住みやすいまちであることをアピール
など

 

予算を決めておく

より多くのお金を使えばよい映像ができるが、それが費用対効果につながるかは必ず考えておくべきだ。また、予算をきちんと決め 、「高品質の映像にするために全て映像会社に任せる」「企画・内容は自治体側で作成してコストを抑える」などを予算に合わせて決定するようにしたい。

自治体PR作成・運用の注意点とは?

自治体PR動画作成、そして公開後の運用についての注意点を押さえておこう。

動画公開までに費用や時間がかかる

自治体PR動画は企画後すぐに動画の作成や公開に進めるわけではない。内容によっては、動画公開までにはある程度まとまった費用や時間がかかることを覚悟しておこう。製作期間は 余裕を持って見ておくことが重要となる。
 

多くの人に視聴されるとは限らない

時間や費用をかけてつくった自治体PR動画だが、多くの人の目に必ず触れるとは限らない。また、動画の人気が出るまでに時間がかかる場合もある。その点は覚悟しておかなければならない。 

なるべく高い効果を上げるためにできることは、「何をアピールする動画なのか」目的をはっきりさせてからつくることである。また、動画内容の充実だけでなく、リアルイベントの開催、移住促進フェアの実施、観光誘致などその後のアピール方法まで考えておくと良い。
 

批判・炎上のおそれもある

動画の内容によっては批判や炎上の可能性もある。 特に最近はSNS等での情報拡散も非常にスピードが早く、動画公開後、即炎上というケースも珍しくない。奇をてらったものは目立つが、内容をよく考えてから作成・公開するようにしたい。
 

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自治体PR動画の事例

ここで、参考にしたい自治体PR動画の事例を見てみよう。

大分県「おんせん県おおいた」 

「おんせん県」としてすでに有名な大分県は、大分県観光情報公式サイトにて自然のダイナミックさを前面に出したドローン撮影動画を公開している。自然の紹介だけでなく、観光地紹介、温泉旅館宿泊の疑似体験ができる動画もある。

ナレーションが一切なく、美しい風景と心地よいBGMだけの動画は、癒やしの映像としてもレベルが高い。

神奈川県小田原市「おだわらでみつけたもの」 

東京から神奈川県小田原市に移住した子育て世帯の生活を、各話2分~3分程度、全7話の連続ショートドラマで紹介。小田原市の魅力、そして移住者の生活や住み心地がイメージしやすいつくりとなっている。ドラマ自体も面白く、興味を惹かれる。

なお、この自治体PR動画は一般財団法人地域活性化センターの「地域プロモーションアワード2022 ふるさと動画大賞(第4回) 」で優秀賞、「第4回日本国際観光映像祭・日本部門 Web Series部門 」で最優秀作品賞を受賞している。

まとめ

自治体PR動画を作成したいと考える場合、まず決めておきたいのが「何を目的としてつくるのか」「誰をターゲットにするか」である。この部分がぶれていると、高い予算をかけても誰にも届かない動画になるおそれもある。

そして、PR動画を公開すると、その内容や自治体への注目は集められるかもしれないが、本来の「観光客誘致」「移住者増加」といった目的までは達成できない場合もある。動画にプラスして、リアルイベント・フェアの開催などの施策も準備しておきたい。

 

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