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公開日:2022-08-25

【相談室】成長のために読書をしたいけれど、何をどう読んでいいかわかりません

学び
読了まで:5分
【相談室】成長のために読書をしたいけれど、何をどう読んでいいかわかりません

「何でこうなってるの?」「もっとこうならいいのに」毎日仕事をする中で、頭をよぎる疑問や悩み…そんな「モヤモヤ」を、一歩先ゆく公務員の皆さんに解決して頂く企画。

今回は、キャリアアップのために勉強しようとするもなかなか捗らない…そんなお悩みに対し、諫早市の村川美詠さんに回答いただいた。

【今回のモヤモヤ】

「勉強のために読書をしようと思うのだけれど、何を、どう読んだらいいのかわかりません」

仕事のスキルアップや今後のキャリアも考え、勉強のために読書をしたいと思っていますが、なかなか捗りません。そもそもどんな本を読んでいいかわからず、あちこちに手を出しては積読が溜まっていってしまいます。

 

勉強のために読書をしようと思う、その気持ちが大事です。積読もOK!いつか読むタイミングが訪れることもありますし、たとえ読めなくても後ろめたさを感じる必要はありません。誰にでもなかなか読み進めることができない本はありますし、最初から最後まで全部読む必要もありません。同時に何冊か読みかけの本を積んでおきながら、今、読みたいと思った本を手に取る、そんな読書もありです。

悩んだら本に聞く

拙著『自分もまわりもうまくいく!公務員女子のおしごと帳』(学陽書房)にも書きましたが、私は何かに悩んだとき、それを解決するための本を読みます。仕事術、人間関係、モチベーションに関するものはもちろん、今は、公務員による具体的な業務の解説本もたくさん出ているので、課題解決のための本は見つけやすいと思います。

まずは異動した時、すぐに役立つ本、例えば、自治体の仕事シリーズ(『福祉課のシゴト』『会計課のシゴト』『財政課のシゴト』(ぎょうせい))や、昇任した時に心を落ち着けるために読む本『my公務員BOOK 「係長」』(林誠・著、ぎょうせい)、部下の指導に参考になる本『教える自分もグンと伸びる!公務員の新人・若手育成の心得』(堤直規・著、公職研)など、仕事に効く本を読むことから始めてみましょう。

本を読み始めたのは自信がなかったから

私が本をたくさん読むようになったのは40歳くらいからです。それまでは仕事や子育てで余裕がなかったし、あまり必要も感じていませんでした。しかし、職員課で研修を担当することになり、他自治体の担当者や講師と話をする中で、あまりにも自分がモノを知らないことに気づいたのです。恥ずかしい思いをし、焦り、自分に自信が持てなくなってしまいました。「何か勉強しないとまずい」と感じた私は、まず人材育成関係の本から読み始めました。すると研修の企画にも役立つし、講師にも具体的な提案や相談ができるようになりました。

その後、異動して男女共同参画の仕事をし始めたら、講座やイベントの企画に必要な社会学、人権、子育て、女性活躍等に関する本を読みました。それにより興味関心がグッと広がり、少しずつ自信がもてるようになりました。福祉関係に異動したら、福祉に関する本、教育委員会に異動すれば社会教育や学校教育に関する本、というように、まずは仕事に関係する本から始め、読書を重ねていくと、自然と自分が読みたい本、必要な本がわかるようになってきます。

私は、本を読む時、気になった箇所やグッとくる部分には付箋紙を貼っています。時々、付箋紙部分を読み返してみると、自分が普段使っている言葉やフレーズが見つかり、「そうか!ここが効いたんだな」と気づかされることがあります。また、あらためて読んでみると別の個所が気になったりして、環境や心境の変化を感じることもあります。人に勧める時も、付箋紙部分をたどることで簡単に紹介することができます。

書く力をつけるために読む

本を読む時間がない、本に使うお金がない、そもそも本が嫌い…本を読まない理由はいろいろあると思いますが、役所の仕事に「文章を書く」ことは欠かせません。書く力をつけるためにも日頃から良い文章に目を慣らしておくことは訓練になります。

本は、書かれたものが読者の頭に入りやすいように、文章表現や表示が工夫され、わかりやすく編集されています。実際に自分が本を書いてみると、編集者から「この表現は読んだ人が誤解するのでは」「ストーリーはこう展開した方が読者に届きやすいのでは」などのアドバイスがあり、何度も書き直しをします。なるほど、本はこうやって丁寧に作られているのだということがわかり、ますます本が好きになりました。

時間の許す限り本を読む

本は、多様な人がそれぞれに時間をかけて経験した中から得たものを短時間で、しかも安価に学ぶことができるツールです。1日10分~30分の読書でも、それを積み重ねている人とそうでない人には、数年で大きな差ができてしまいます。

私は、普段からバックの中に読みかけの本を入れて置き、少しでも待ち時間や移動時間があれば本を手に取ります。待ち合わせの場所を書店にするのもいい手だと思います。携帯の中に電子書籍を入れておくのもいいですよね。私は、お風呂で読むのも好きです。

まずは携帯電話を触っている時間を少し本に触れる時間に変えることから始めでみる。意外とすき間時間ってあるものです。

人が一生のうちに経験できることは限られています。自分の経験や考え方だけに凝り固まっていたら、多様化する社会では生きづらくなってしまいます。他者が苦労して学び得たものから何かを吸収し、常に自分をアップデートしておく意識が未来の自分を助けてくれます。
 


村川 美詠(むらかわ・みえ)

諫早市健康保険部長。1986年諫早市役所に新卒で入庁。
選挙管理委員会事務局、障害福祉室、職員課、男女共同参画課課長補佐、教育総務課課長補佐、職員課課長補佐、生涯学習課長、障害福祉課長、健康福祉部次長を経て現職。著書に、「自分もまわりもうまくいく!公務員女子のおしごと帳」「すべての働きづらさをふきとばす!公務員女子のおしごと相談室」(学陽書房)


■合わせて読みたい

【相談室】公務員はなぜ約3年で異動しなくてはならないの?

【相談室】自治体職員と議会との関わり方はどうあるべきだと思いますか?

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