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【地方創生ベンチャーサミット2026 #3】都市と地域の“共創エンジン”を起動せよ

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【地方創生ベンチャーサミット2026 #3】都市と地域の“共創エンジン”を起動せよ

地方創生は人口減少への対策といった“守る”フェーズから、自らの強みを活かして“稼ぐ”、そして多様なプレイヤーとともに新しい価値を“共創する”次なるフェーズへと突入している。

都市と地方、あるいは官と民の間に存在する“見えない壁”をいかにして打ち破るのか。テクノロジーやブランド化によって“食と農”をどうやって稼ぐ産業へと転換するのか。そして、地方のポテンシャルを世界へ発信するための“本気のパートナーシップ”はどうすれば生まれるのか。

新しい地方創生のあり方をリードする人々が集まり、地域への熱意と本音が交錯するイベントが行われた。本記事では、セッションの様子を3回に分けてダイジェストでお届けする。

最終回は「共創エンジンを起動せよ。次の10年をつくる官民の新しいパートナーシップ」を取り上げる。

※記事の掲載情報は公開日時点のものです。

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共創エンジンを起動せよ。次の10年をつくる官民の新しいパートナーシップ【セッション7】

地方創生の現場では、共創という言葉が広く使われるようになった。しかし本当に地域を動かすためには、単なる連携にとどまらず地域に入り込み、多様な関係者と信頼を築き、具体的な事業として実装していく力が問われる。

スタートアップが地方へ展開する際には、地域のキーパーソンとの出会い、自治体との継続的な関係づくり、地元企業との協働など、都市部とは異なる難しさもある。一方で、地方には世界に通用する資源や、これからの社会課題解決につながる可能性が眠っている。

このセッションでは、静岡県知事の鈴木 康友さんらが登壇。地域へ飛び込む覚悟、行政と民間の本気のパートナーシップ、そして地方のポテンシャルを世界へ広げる展望について語った

地域に飛び込む“越境”と、仲間を見つける“協働”のリアル

篠永さん:スタートアップが新しいエリア(地方)へ展開していくにはハードルがあると思います。地域のステークホルダーを動かし、共創を生み出すためのコツは何でしょうか。

赤木さん:私たちは「AgeWell(ポジティブに歳を重ねる)」の概念を広めるため、多世代交流のエコシステムを全国展開しています。地方展開のコツは二つあります。一つ目は、自治体の部署や役職に関係なく、本気で話を聞いてくれる“熱量のあるキーパーソン”を見つけて直接相談すること。二つ目は、“地域の次世代を担う若手経営者の方々”と組むことです。彼らは10年後、20年後の街の未来に対して強烈な危機感と熱い思いを持っているので、最高のパートナーになります。

北嶋さん:弊社は全国の地域企業や自治体と新規事業を創出する事業を展開しており、現在18都道府県に拠点を構えています。地域の方々に信用していただくためには、バーチャルオフィスや出張ベースではなく、その地域の“1丁目1番地”にきちんとオフィスを構える覚悟が重要です。そこへ熱量のある拠点長を置き、地元の金融機関やメディアとも連携しながら、地域に根を下ろして事業をつくっています。

鈴木さん:浜松市長時代からスタートアップ支援に注力してきましたが、やはり首長の熱意”が一番大事です。私自身、ベンチャーのイベントにはピッチの審査員から最後の交流会まで必ず参加していました。また、ベンチャーキャピタルが投資した額と同額を市が交付金として出す「ファンドサポート事業」など、スタートアップの資金調達リスクを減らし、社会的信用をつける仕組みづくりを行ってきました。今は静岡県全体でもこの仕組みを展開しています。

地方特有の壁と、“飲み会”から得られる本音

篠永さん:逆に、地方展開していく中で苦労したことや、気をつけていることはありますか?

赤木さん:正直にお話しすると、地域によっては役割分担に対する考え方に違いを感じる場面もあります。状況を見極めつつ、必要に応じて関わり方や進め方を柔軟に調整することも大切だと思います。

鈴木さん:行政と組む際のリスクは“担当者や首長が変わると、一気に方針が変わる可能性がある”という行政の継続性の問題です。だからこそ、赤木さんが言うように、行政以外のキーパーソン(地域の若手後継者など)をしっかり見つけておくことが重要になります。飲み会などの非公式の場で率直な意見を聞けることもありますが、日常の対話や丁寧な関係づくりで、情報共有が進むよう工夫することも大切です。

北嶋さん:私たちの場合は、拠点を立ち上げる“人(リーダー)”の採用に苦労するエリアとそうでないエリアがはっきり分かれる点です。また、地域内には「みんなが面で盛り上げよう」という空気がある地域と、そうでない地域があります。後者の場合はムーブメントを起こすのが難しいですね。

次の10年、地方のポテンシャルを世界へ

篠永さん:各地でモデルができてきた中で、次の10年、社会実装や海外展開を含めたビジョンをお聞かせください。

北嶋さん:これからの10年は外貨を稼ぐことが重要になります。実は、グローバルで稼げる事業のネタは地方にこそ眠っています。弊社は最近、栃木県で後継者不足により閉業予定だった創業136年のそば屋を事業承継しました。ただ、そばを売るだけでなく、インバウンド向けに「136年の歴史とグルテンフリーのそば打ち体験」として提供すれば、付加価値の伝え方次第でより高い価格帯でも選ばれる可能性があります。国内では、地域資源の価値が十分に伝わりきっていない場面もあると感じます。地方の魅力を正しく価値化し、世界へ高く売っていくことに挑戦したいです。

赤木さん:日本は高齢化率が世界的に見ても高い水準にあります。私たちが秋田県などの高齢化先進県で「少子高齢化の課題を解決するモデル」をつくることができれば、それはそのまま世界へ輸出可能になります。地方の新聞社や薬局など、シニアとのタッチポイントを持つ地元企業としっかり連携し、日本のブランド価値を上げていきたいです。

鈴木さん:静岡県には富士山などの素晴らしい資源があります。例えば、今は定期便が少ない静岡空港を「世界有数のプライベートジェットの基地」にし、下田の港を「スーパーヨットの基地」にする。これらがそろえば、静岡は世界の富裕層の窓口になります。そういった、これまでの行政にはなかったような夢のある道筋を、私の時代に示しておきたいですね。

篠永さん:最後に一言ずつメッセージをお願いします。

赤木さん:地方で出会う熱い方々と、10年後、20年後の未来を語り合い、そのために一歩を踏み出す仕事は本当に夢があって楽しいです。これからも地方から社会を変えていきます。

北嶋さん:「一人でできることなら、一人でやればいい」共創が必要なのは、一人では描けない大きな構想があるからです。日本の魅力は地方にあります。47都道府県すべてに展開し、地域から世界で勝てる事業をつくっていきましょう。

鈴木さん:首長が方針を明確に示し、連携に前向きな自治体とは取り組みが進めやすいと思います。今は二拠点居住も当たり前の時代。まずは構えずに、静岡など地方に拠点を持ち、多様な“共創でビジネスチャンスを広げていってください

一般社団法⼈ 熱意ある地⽅創⽣ベンチャー連合とは

一般社団法人 熱意ある地方創生ベンチャー連合は、ベンチャー企業やスタートアップがもつイノベーティブなサービスや知見を活かし、地域課題の解決や地域事業の生産性向上、持続的な地域経済の発展に貢献することを目的とした官民連携コミュニティです。平成27年の活動開始以来、勉強会や本サミットなどを通じて、自治体・民間事業者・会員企業などの交流と情報発信を推進。これまで培ってきた官民連携のネットワークを基盤に、多様な主体の共創を促し、ベンチャー企業の挑戦を地域の力へとつなげながら、地方創生の新たな実践の場づくりに取り組んでいます。