公開日:
紙券運用から脱却し、住民・職員の負担を減らした“クーポンDX”

物価高騰対策や地域経済支援策として、多くの自治体がプレミアム付き商品券などの事業を実施している。しかしその裏側で、販売対応や換金処理、集計作業など、膨大な事務負担に悩む自治体も少なくないようだ。
長野県宮田村では、従来の紙券運用を見直し、「SBギフト」の「地域活性化クーポン」を導入。紙とデジタルの併用で住民の使いやすさを維持しながら、運用負担を大幅に軽減したという。導入経緯や成果について同村の担当者に聞いた。
※記事の掲載情報は公開日時点のものです。
[PR]SBギフト株式会社

Interviewee
長野県宮田村 産業課 商工観光係
係長 善波 正太郎(ぜんなみ しょうたろう)さん

Interviewee
長野県宮田村 産業課 商工観光係
係長 善波 正太郎(ぜんなみ しょうたろう)さん
休日出勤や時間外勤務……紙券運用で生じていた現場の負担
全国がコロナ禍に覆われた令和2年、宮田村では村内の経済循環活性化を目的に、プレミアム付き商品券の販売を開始した。これにより地域のダメージ回復には一定程度の効果が見られたが、課題も見つかったと善波さんは振り返る。
「当時の運用は、引換券を住民に郵送し、それを販売所に持参いただいて商品券を販売するという手法でした。販売所は土・日曜に11カ所を設営し、職員が販売業務を担うので、ほぼ全職員が携わるようなかたちになっていたのです。休日出勤の負担に加え、現金や個人情報を扱うストレスも重なっていました」。
さらに、指定日に販売所へ行けなかった住民のため、庁内に時間外窓口を設けて平日19時まで販売するといった対応も行っていたという。
また、商品券利用後の事務作業は商工会に委託していたが、回収から集計、確認、精算といった一連の作業が非常に煩雑だという声も上がっていた。「こうした事務負担とコストを抑えられないか、と考えました。また、販売した商品券が地域でどのように使われたのか、といった追跡調査も紙ベースだと非常に困難だったので、その点も改善したいという思いがありました」。
こうした課題感を抱える中、村長からの「DXを推進しよう」という後押しもあり、プレミアム付き商品券のデジタル化について検討を始めたという。
“住民に負担をかけないDX”の実現に向け、紙併用型を選択
商品券のデジタル化において、最も懸念されたのが高齢者への対応だった。支援を確実に届けるためにも、不慣れな機器やアプリの操作を強いるような仕組みは避けたいと考えたという。「ほかの自治体にもリサーチしてみたのですが、紙ベースの運用を続けているところが多く、デジタル化をしている場合も専用の機器やアプリのインストールが必要だという話でした。やはり当村独自の仕組みが必要だという結論になりました」。
そこで複数社のサービスを比較。高齢者も簡単に使え、職員の負担を軽減でき、コスト負担もできるだけ軽くしたい。こうした条件をクリアしたのが、SBギフトが提供する「自治体向け地域活性化クーポン」だったという。

同サービスは、自治体から送られてきたQRコードを利用者が読み込み、表示された画面に店舗コードを入力すると商品券やクーポンなどの特典が受けられるというシンプルな仕組み。アプリのインストールなどは不要で、管理する自治体側も専用機器やシステムを用意する必要がなく、既存の環境で運用できるという強みをもつ。システム上の特別な準備が不要なため、スムーズかつ迅速に導入できるというのも特徴だ。
同村ではこの仕組みのうち、QRコード配布には紙での運用を維持し、利用者が持参したコードを店舗側が読み込むというフローを採用した。「紙を完全になくすのではなく、利用者側にはQRコードが印刷されたカードサイズの券を郵送で配布し、店舗での決済以降をデジタル化したのです。これなら高齢者が戸惑うことなく利用でき、スマートフォンを持たない人が取り残される不安も軽減できます」。
こうした全体の設計を経て、同村で「宮田村くらし応援券(以下、応援券)」の配布が始まったのは令和7年12月。物価高騰対策の一環として進められたもので、決定から2カ月でのスピード導入だった。実施前には、SBギフトの協力も得て加盟店に向けた説明会を実施。デジタル化に対する不安の声もあったため、その一つひとつに丁寧に答え、決済・換金フローが簡略化されるメリットを強調して理解を求めていったという。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

庁内の負担は大幅に軽減、加盟店への入金もスピーディに
紙とデジタルのハイブリッドでスタートした応援券事業では、従来のような販売業務がなくなったため、職員の休日出勤や時間外窓口での対応は不要となった。職員からも「土・日曜に出なくてよくなったのはありがたい」という声が聞かれたという。
また、商工会での集計・精算業務もシステムによる自動集計で大幅に省力化。支払いも迅速になり、加盟店から「入金がスピーディになった」と喜ばれているそうだ。
善波さんは「体感値ですが、業務全体で労力が5割程度削減されていると感じています。事後の報告書作成の際にも、データ集計を素早く、かつ高い精度で行えるので助かっています」と評価する。
この応援券は、村内のガソリンスタンドやスーパーマーケット、飲食店など日常生活に密着した幅広い店舗で利用され、利用率95.4%を達成。生活支援事業としての役割を果たしている。住民への事後アンケートでは「小さい子どもがいるので販売所に出向く手間が省けて助かった」、「財布に入れて持ち運びやすい」といった好意的な意見が多く、93.5%が「役に立った」と回答している。
また、加盟店側からも「以前は換金で商工会まで行くのが大変だったが、その手間が省けてよかった」、「新規のお客様がきてくれた」などといったコメントが寄せられているという。
「こうした効果に加え、今までの商品券は制度上廃棄できないため段ボールに入れて保管していたのですが、デジタル化によって現物保管が不要になり省スペースも実現できました。事務作業の効率化だけでなく副次的な効果も実感しています」。

他施策への活用も視野に入れ、地域循環型経済を加速させる
このように、様々な効果を創出した応援券事業。地域には順調に浸透しているようだが、善波さんは「もっと満足度を高めたい」と語る。「理想としては全てのプロセスをデジタルで効率化することですが、誰も取り残さないという視点では、紙とデジタルの併用を続けることが現実的です。そうした中で、住民にも事業者にもできるだけ負担をかけない方法を模索し、取り組み自体を進化させていかなければと考えています」。
改善点を明確化するため、利用者や事業者の声を集め、次の実施に向けて利便性を高めていきたいと意気込む。「より便利な応援券になれば、加盟店もさらに増えていくでしょう。そうした点を目標に取り組みを進めていきます」。
また、商品券事業で始まった同サービスを、今後は福祉タクシーなどへの活用も視野に入れ、地域経済の活性化を図りたいのだという。そのためにもデータ活用が重要だと付け加える。
「デジタル導入で、利用状況などがリアルタイムで把握できるようになりました。これらのデータを活用することで、利用者の年齢分布などがわかり、業種やエリア間での偏りも可視化できます。そこから支援のニーズを洗い出し、地域循環型経済の活性化に向けた判断材料として活用できると期待しています。それと同時に、職員の事務負担が軽減できれば、住民サービスの本質的な向上に時間を割くことが可能になるはずです」。
地域の環境は自治体ごとに異なり、それぞれに課題がある。そうした中でも「住民に負担をかけない」という視点を忘れないことが大切だ。中でも、デジタル化を進める際には世代間のギャップに目を配ることが求められる。同村のように、完全にデジタル化するのではなく“紙とデジタルのハイブリッド”を選択するのも一つの答えといえるだろう。
「応援券事業へのデジタル導入は、当村の要望に柔軟に対応できるシステムと出会えたことで進められました。急激な変化は住民や職員にストレスを強いる可能性もありますが、当村では小さな規模から始め、徐々にDXのハードルを下げていこうと考えています」。そう話す善波さんの目は、すでに次のステップを見据えているようだ。
お問い合わせ
サービス提供元SBギフト株式会社
東京都港区新橋5-14-10
新橋スクエアビル2F
TEL:03-5408-6781
E-mail:jichitai@sbg.jp











