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愛媛県西予市

公開日:2021-08-03

せいよ「チャレンジ・スペース」プロジェクト~生涯活躍できるまち~

福祉・医療
読了まで:7分
せいよ「チャレンジ・スペース」プロジェクト~生涯活躍できるまち~

取り組み概要

高齢者や障がい者だけでなく地域住民の経験を活かし、地元の農林水産物の加工、パンの製造及び販売等を行うことができる施設を整備し、誰もがチャレンジでき、活躍できるしごとの創出を行った。施設内での業務を円滑に進めるため、地域住民の協力はもとより、障害のある人の作業の指導や、職場に慣れるためのサポーター役をベテラン高齢者に担ってもらい、人材育成や職場の定着を図るとともに、障がい者の雇用による高齢者の負担軽減を図るなどの仕組みづくりを行っている。

また、施設内にはエアロバイクなどの健康器具やボルダリングを設置するなど、地域住民の健康増進、高齢者等の健康寿命の延伸を目指しており、働く場の創出と地域コミュニティを併せ持つ施設として、誰もが活躍できる場の創出を行った。

取り組み期間

平成31年3月~(継続中)

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

背景・目的

■ 人口減少が著しい本市にあって、活力が維持されるためには、本市の大半の人口を構成する高齢者が、健康な状態を維持し、いつまでも現役で活躍していることが重要だ。このため、元気な高齢者が仕事をしたり、地域づくり団体等で地域の活動を進んで行えたりするといった状態にすることが必要となっている。また、伝統や文化を次世代に引き継ぐためには、世代を超えた交流を盛んに行うことが重要であり、これらの交流によって、高齢者の生きがいを創出することに期待をした。

■ 高齢者が生きがいや目的を持って、いつまでも元気で活躍でき健康寿命を延ばすことで、地域とのつながりや経済的な循環が生まれ、社会保障費の増加を抑制していくことができる。

■ 障がい者への理解は広がりつつあるが、まだまだ理解不足の面もあるため、理解を深め、共に生き、共に支えあう意識を深め、「共生のまち」を実現し、障がい者への理解やノーマライゼーションの考え方の普及により、障がい者が地域と関わる接点を増やし、安心して地域で暮らせる環境の整備を進めた。

 

取り組みの具体的内容

せいよチャレンジ・スペース写真

せいよチャレンジ・スペース平面図

就労、健康づくり及び交流の場を提供することにより、地域コミュニティを活性化させ、利用者の健康増進、社会参加及び自立支援の促進、地域共生社会を実現することを目的として、地方創生拠点整備交付金を活用し施設を整備。その後、オープンに際し、市民に親しまれる施設となるよう愛称募集を行い「西予市地域共生型交流拠点施設なごみかん」に決定した。

また、施設運営に関しては、福祉の推進、また地域貢献の観点も含め民間のノウハウを最大限に活かすため、市内の社会福祉法人を指定管理者として指定し、様々なアイデアを持ち寄りながら、地域共生社会の実現のため、より効果的に運営することとしている。

施設内の用途、目的については下記のとおり。

①作業スペース1・・・パンを製造するオーブン等の機器類を設置し、障がい者就労支援事業所として活用。製造したパンは、施設内で販売するほか、市内の保育所等に配送する予定である。

②作業スペース2・・・作業台等を設置し、多目的な作業が可能なスペースとしている。(障がい者就労支援事業所として活用)

③オープンスペース・・・地域の特産品や焼き立てのパン等の販売を行い、また、テーブル等を設置し市民が気軽に交流できる空間として活用する予定。また、昔ながらの駄菓子販売や漫画本の設置及び小さな子供向けのキッズコーナーを設置し、子どもたちや子育て世代の集まる場所として活用していく予定としている。

④地域交流スペース・・・エアロバイクなどの運動器具を設置し、市民の健康づくりを目的としたスペースを配置。また、ヨガ教室など健康づくりに関する教室、講座などに活用する予定としている。

⑤ボルダリング・・・ボルダリング設備を整備し、子供から高齢者まで気軽に楽しみながら運動できるよう計画している。


各スペースにおいて、障がい者、子どもから高齢者まですべての地域住民が活用でき、仕事や交流、運動など様々な活動をすることができる。また、障がい者就労支援事業で作ったパンの販売を始め、地元特産品の販売を行い、地産地消や経済の活性化を図っている。

 

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

■ 施設を整備する地域のパン製造業者が廃業し、パンの需要が見込めたため、障がい者の就労支援事業として、パン工房を整備し、より集客が見込め、さらに安定した収入が見込めるよう進めている。

■ 近年関心の高いボルダリングウォ―ルを設置し、地域住民の注目を集めるとともに、子どもから高齢者まで気軽に訪れることができる施設となるよう検討を進めた。

■ 子どもや子育て世代の寄り場として、昔ながらの駄菓子の販売や漫画本の設置、キッズコーナーを設け地域に親しまれる施設となるよう運営している。

■ 子ども・若者・高齢者・障がい者などすべての人々が集まり、働き、遊び、学び、体験できるような施設となるよう各スペースの整備について工夫し、地域共生の拠点となるよう検討した。

■ 海岸部の施設であり、津波浸水想定が50cmとなっているため、高基礎の設計とし災害時の拠点となるよう整備した。

 

取り組みの効果・費用

・障がい者・高齢者がいきいきと働ける場所の創出
障がい者の就労支援事業における障がい者及び館内スタッフとして高齢者等の働く場所となっており、いきがいをもちながら生活することができる。

・高齢者を含む市民の健康増進・介護予防
エアロバイク等の健康器具を設置し、高齢者等が積極的に活用することで健康維持・増進を図っていくことができ、介護予防にもつなげることができる。

・地元産品、加工品の販売による地域経済の活性化
地元農家等に出品を募集し、地元産品を販売することにより地産地消につながり、地域経済の活性化にもつながる。

・地域住民の交流の促進
施設の各スペースには、子どもから高齢者まで幅広い住民が集まり、様々な交流を促進することができ、希薄化している地域コミュニティを活性化することができる。

・福祉教育の推進
設置しているパン工房はガラス張りとなっており、障がい者がいきいきと働く姿を見ることができ、地域住民の障がい者への理解が深まり、福祉教育の推進にもつながる。

・取り組みにかかった費用
設計監理委託料:10,450千円 
解体工事費:7,967千円
建築工事:179,363千円 
健康器具等備品:7,088千円
パン製造備品:8,470千円
合計:213,338千円

 

取り組みを進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

・専門的な知識不足
地域からの要望のあったパン工房の設置に関し、専門的な知識がなく、間取りや機器選定に苦慮した。また、指定管理者においてもパン製造に係る知識は持ち合わせておらず、パンの製造に関しかなりの労力を要した。

・指定管理者との連携
施設運営の趣旨や、事業の展開など行政側の目的を充分に理解していただくため、何度も協議を重ねた。また、施設に対する様々な要望もあり、予算の確保やその他の対応に苦慮した。

・新型コロナウィルス感染拡大による影響
新型コロナウィルス感染拡大対策を講じながら、現状にあった運営方法について検討していく必要がある。

 

今後の予定・構想

新型コロナウィルス感染拡大により、一部実施できなかった下記の取り組みについて推進し、施設の目的である地域共生社会の実現を目指していく。

■ 就労支援事業所で作ったパンを、地域の保育園、認定こども園へ納入し、地元パン製造業者の廃業により休止していたパン給食を再開する。
■ 専門の講師によるボルダリング体験教室を開催する。
■ 高齢者を対象として、地元フィットネスクラブによる介護予防教室の開催する。

なごみかんでの事業展開をモデルとし、今後、市内全域へ地域住民一人一人が活躍し、誰もが生きがいをもってくらせるまちづくりを展開していく。

 

他団体へのアドバイス

障がい者の働く場所の創出という目的が根幹にあり、そこから地域の住民すべてが交流できる拠点づくりへと発展し、今回の施設整備につながった。施設の運営が本格的になるまで、しばらく時間はかかるが、地域住民の思いを反映した施設づくりができたと自負している。多くの自治体では、少子高齢化が進み、人口減少という歯止めの利かない課題を抱えていると思うが、この時代にあった、誰もが活躍でき、交流できるような複合的な事業展開が必要となってくる。地域の特性を生かしながら、チャレンジしていくことが、今の行政に求められている。

 

取り組みについて記載したホームページ

西予市ホームページ
https://www.city.seiyo.ehime.jp/kakuka/fukushi_jimusho/fukushi/7771.html

 

問い合わせ先

愛媛県 西予市 福祉事務所福祉課
電話番号 0894-62-6428

カテゴリ

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