愛媛県東温市

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まちへの経済効果の裏付けに物流トラックの動きを追う。

都市整備・上下水道
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まちへの経済効果の裏付けに物流トラックの動きを追う。

トラックのプローブデータ活用サービス

交通施策の効果検証には客観的データが不可欠だが、交通の実態を示す車両の発着地や経路の把握は難しい。東温市では、スマートインターチェンジの開通効果を検証するため、自動車の走行情報である“プローブデータ”を活用したという。

※下記はジチタイワークスINFO.(2026年3月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

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東温市
産業建設部 建設課
課長補佐
加藤 和教(かとう かずのり)さん

スマートIC開通後の経済効果を貨物車の流動分析で可視化する。

松山市のベッドタウンとして発展してきた同市だが、近年は人口減少が課題となっている。そこで災害の少なさと交通利便性を強みに、“人と仕事”を呼び込むまちづくりを進めてきた。その中核を担うプロジェクトの一つが、「東温スマートIC」の整備事業だ。「本事業の目的は大きく4つあります。まず、市内にある工業団地へのアクセスを向上させ、地域経済の活性化と企業誘致を促進すること。次に大学病院などへの搬送時間を短縮する救急医療体制の強化。さらに、自衛隊や警察機動隊の移動を円滑にする救援活動支援。加えて、観光アクセスの向上も重要な柱です」と加藤さんは語る。

同ICは地区協議会で約6年かけてあり方を協議し、令和6年3月に開通。その1年後に効果検証を委託した建設コンサルタントから、ICを利用する車両の動きを分析できる「日野コネクティッドデータサービス」の提案があった。これは、日野自動車製のトラックやバスなどのプローブデータを提供する「日野コンピューターシステム」によるサービスだ。「自動車メーカー直結のプローブデータの存在を初めて知りました。商用車の中でもトラックなど貨物車のプローブデータなら物流分析に有効だと感じ、採用を決めました」。

知見を備えた伴走支援によって分析の精度がさらに向上した。

同サービスの強みは、全国25万台以上の商用車から得られるデータ量と、車種を大型・中型・小型まで特定できる粒度の細かさにある。そのため、一般的な車両データでは把握しにくい物流・産業分野の動向を、より正確に捉えることが可能だ。

導入時の仕様調整は、建設コンサルタントと同社の間で円滑に進んだという。同社からはデータ提供だけでなく、分析しやすい形式への加工や分析方法のアドバイスなど、手厚いサポートがあった。例えば発着地分析では、当初エンジンのON・OFFで“1回走行完了”と判定していた。しかし、荷役作業中にエンジンを切らない車両もあるため、正確な到着地点の特定が難しいという課題が発生。そこで同社から“同一地点で30分以上停止した場合を到着とみなす”という分析ロジックが提案された。「自社データに精通した同社の伴走支援により、分析の精度が上がったと聞いています。この分析によって、同ICを利用する貨物車は各工業団地や事業所集積エリアを発着地としていることが分かり、市外への移動経路も明確になりました」。

検証で得られたエビデンスを継続的なまちづくりに活かす。

貨物車の発着地や移動経路が可視化されたエビデンスは、今後の企業誘致や交通施策の広域計画においても材料になると加藤さんは語る。「この分析手法は地区協議会からも高く評価され、“松山ICや川内ICを含む広域比較も見てみたい”といった声が挙がっています。国や県レベルの事業評価にもつながる可能性を感じました」。また、同社のデータは燃料消費量の変化も算出できる。「昨今の課題である脱炭素化に向けたケーススタディにもなり得ると考えています」。

同IC開通後、利便性の向上により、地元企業から走行距離の短縮や燃料費削減の効果を実感する声が寄せられているという。これにより、物流効率化による企業活動の後押しという当初のねらいが裏付けられた。同IC沿いに企業の進出が見られるなど、産業面への波及効果もあらわれはじめている。救急搬送時間や、自衛隊・警察機動隊の派遣時間短縮、観光地へのアクセス向上など、当初の目的も成果として確認できた。その後も、同ICの効果最大化に向け、国道や公的施設へつながる4つの道路の整備を進め、渋滞緩和と利便性向上を図っている。「継続的なまちづくりにおいて、トラックのプローブデータは強力な武器になると感じています」と加藤さんは期待を寄せる。



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