公開日:
園や学校の老朽化に施設管理DXで向き合い、子どもたちを守る。

子どもたちを見守り、成長をサポートする教育・保育施設は、住民と行政がつながって地域の未来を育てる大切な場所でもある。その役割は、施設(建物)そのものが健康であってこそ果たせるものだ。
しかし、学校や園などの施設は全国に大量にあるため、適切な管理は容易ではなく、時には重大事故につながりかねない状況も見られるという。こうした現実と向き合い、改善を目指すにはどうすればいいのか。全国の施設管理事業を手がける「エコテック」にアドバイスしてもらった。
※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。
[PR]株式会社エコテック
interviewee

エコテラスグループ
株式会社エコテック
執行役員
寺西 宏晃(てらにし ひろあき) さん
不足するリソース、限られた手段……施設管理の構造課題とは。
文部科学省の令和7年度学校基本統計によると、全国の小・中学校の数は約2万8,400。幼稚園数は約8,200となっている(※)。また、こども家庭庁のデータによると、令和7年時点で全国の保育施設の数は約4万となっている。この数字を見ると、保育施設がいかに多いかが分かる。
いうまでもなく、これらは子どもたちの成長を見守る施設であり、建物の安全性が子どもの健康や命に直結する。しかし、経年劣化などの要因でリスクを抱えているところも多いと寺西さんは指摘する。

「保育施設の増加には大きく2つのタイミングがあり、1つ目は第二次ベビーブームの頃。2つ目は認定こども園が誕生した平成27年以降です。その直後に始まった企業主導型保育事業も園の増加に拍車をかけました。第二次ベビーブームからは50年以上が経過しているので老朽化はいうまでもありませんが、こども園誕生からも10年以上が経過し、経年劣化が表面化し始める時期に差しかかっています。しかし、施設管理という面においてはヒト・モノ・カネの3要素が不足しており、なかなか充実化できないというのが現状なのです」。
※出典:文部科学省「令和7年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値について」
※出典:こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」
こうした園の中でも、とりわけ民営保育施設においては園長や保育者が施設管理まで担うというケースが多く、専門的な知見をもった人材を常時確保することが難しい。一方、公営保育施設でも人手不足や施設の老朽化といった課題は多く、現場の負担は増している。そして、園において共通するのは、施設の状態の判断、および、その説明が個人に委ねられやすいという構造だ。そのため保育施設は、施設管理の課題が最も早く、かつ最も濃くあらわれる現場となっているのだという。「施設管理は重要だと分かっていても、十分に手がまわらない業務になりやすく、その結果、不具合が顕在化してから対応するという“対処的な管理”が常態化しやすいのです。しかし、事故が起きてからでは手遅れになってしまいます」。
さらに、保育施設は年間を通じて休みが少なく、修繕などの工事は日曜祝日などの限られた期間に集中する傾向にある。そのため着工前の十分な検討や、優先順位の設定が難しくなり、突貫的な対応になりやすい。こうした現実も、施設管理をより困難なものにしている。
施設のダメージを見極めるには“データ化と可視化”がカギ。
こうしたソフト面での課題と同時に、ハード面での壁も存在する。その一つが、“施設のダメージが年々大きくなっている”という点だ。「近年頻発している豪雨や豪雪、あるいは猛暑の中でフル稼働する空調機など、施設や機器が受けるストレスが増大しています。耐用年数に満たないエアコンが故障する事例も多く、従来の施設管理における常識も見直さないといけないのが現実です」。
あわせて考えなくてはいけないのが、BCP対策だ。いざという時、園舎の安全を保つことはBCPにおける必須項目となる。ここは園を運営する上での“根幹”だと強調する。「防災グッズや備蓄品の揃えが万全だったとしても、それらを蓄えた部屋が崩れてしまったら意味がありません。大前提として施設がしっかり建っているということがあり、その上で人的・物的リソースを備えつつ、保育事業の継続を考えなくてはならないのです。災害時に保育園が閉鎖されたら、保護者の行動も制限されてしまうことも忘れてはいけないポイントです」。
では、これらの課題を解決へと進めていくためにはどうすればいいのか。寺西さんは「施設管理のDXを早急に進めていく必要がある」と話す。「施設の状態をデータ化し、可視化することが明確な判断を助けます。そうしたデータの蓄積は修繕の優先順位をつけたり、過去の傾向をもとに今後を予測したりする場面でも有用です。収集したデータをうまく活用すれば、対処的な管理から予防的な管理への転換ができると考えています」。

また、施設管理におけるデータやシステムの活用は、監査の場面でも有効だ。監査の基準は自治体によって異なる上、人が行うため粒度に差が出ることもあるが、そこにDXを取り入れることで、施設を見る基準がより明確化され、施設管理におけるリスクマネジメントにも貢献する。こうした理想的な状況も見据え、同社が開発したのが「園舎の健康診断 園舎診断アプリ」というソリューションだ。
紙ベースではできなかったことを可能にして、保育施設管理のDXへ。

同サービスは、文字通り、園舎の現状を健康診断のようにチェックし、状態を可視化する仕組み。点検結果を写真とともにシステムにアップし、細部の個別評価や総評などをデータ化して共有できる。そのデータをもとに、園の外装、内装、外構を診断した上で5段階評価され、前年との比較や改善の進捗も可視化される。
また、園舎管理だけでなく、修繕計画や防災対策までをシステムでカバーしており、蓄積されたデータから計画づくりをサポート。システムのみを導入して自治体が運用していくこともでき、プロの診断士によるサポートを受けることもできる。
「この仕組みにより、問題が表面化してから対応する“対症療法”ではなく、劣化の兆しを早期に把握し、優先度の高いものから手を打つという“予防療法”的な施設管理への転換を可能にします。さらに、情報の共有や標準化によって、園舎管理の属人化を防ぐことにも貢献するのです」。


様々な機能を内包する同サービスだが、中でも特に喜ばれているのは、可視化された点検結果をもとに修繕などの優先順位をつけられる点なのだという。

「例えば補助金で内装を刷新したとしても、屋上が劣化して雨漏りが発生したら全て無に帰してしまいます。あるいは、壁面のヒビ割れを『まだ小さいから大丈夫』と考えていても、複数のヒビが繋がったら剥落の危険性があります。このような隠れたリスクは、起きてはならない事故や、コストの負担に直結するのです。そうした事態を防ぎ、子どもたちの安全を守るという意味も含めて、対策の優先順位がつけられる機能は重宝されているようです」。
令和7年度時点で、同サービスはすでに約500の民営保育施設で活用されており、その利便性の高さからユーザーが急増中。令和8年度には約1,200施設での活用が見込まれている。このように民間で得たノウハウを自治体にも提供していきたいと語る。
「まずは施設の安心・安全を高めることが目的です。同時に、自治体の負担も軽減し、工事をする事業者への情報共有も迅速になります。システムの機能を活用すれば修繕工事に向けた見立てもでき、自治体は安全の確保に向けて補助金をどう出すかという判断の基準ができるのです。この仕組みは、施設管理の専門職が少なく、現場が多忙だという自治体や教育施設の実情と非常にマッチしていると考えています」。
職員の負担を軽減しつつ、施設の安心・安全を築く。
自治体における施設管理では、修繕・改修の予算要求、議会での答弁、保護者や地域への説明といった場面で、「なぜ今なのか」という根拠が常に求められる。そうした際に客観的なデータがあれば、修繕の必要性と、優先順位の高さを説明しやすくなる。さらに、保育施設での活用は、学校施設など他分野へ展開する際のモデルケースにもなり得るだろう。
「自治体のリソースにも限界がある中、現場の負担を増やさず、施設の状態をより正確かつ迅速に把握できる仕組みの重要性は高まっています。同時に、専門的な知見を必要とする施設管理では、判断の根拠が個人の経験などに依存してしまいがちですが、人材不足や異動といったことを考えると業務の属人化は避けたいところです。これらの課題に対し、園舎の健康診断 園舎診断アプリのようなサービスを活用することで、業務の標準化やデータの可視化、情報共有ができるようになり、自治体、園、地域住民の“三方よし”が形成されます。それが子どもたちを守ることにつながり、地域の未来を育てることになればと期待しています」。
同社のサービスは「園舎」を対象としたものだが、このような課題は保育施設に限ったものではなく、自治体が現在抱えている施設管理の課題と地続きになっているといえる。現場の負担を増やさず、行政が管理する施設の質を底上げする仕組みは、これからの自治体運営においてさらに重要性を増していくことだろう。
お問い合わせ
サービス提供元株式会社エコテック
保育サポート事業
(eep「園児の床 enjoy project」)
〒 222-0033
神奈川県横浜市港北区新横浜2-17-2 フォンターナ新横浜7F
TEL:045-478-6531 (0120-963-093)











