新潟県見附市

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健康を軸に市民の交流を広げ、まち全体のにぎわいへつなぐ。

住民生活
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健康を軸に市民の交流を広げ、まち全体のにぎわいへつなぐ。

交流拠点を集約して歩くことを促すまちづくり事業

持続可能なまちづくりの柱として“健幸”を掲げた見附市では、かつての商業施設や高齢者向け施設を、市民の交流拠点として改築。徒歩圏内に施設を集約したことで、にぎわいが生まれているそうだ。

※下記はジチタイワークスVol.42(2026年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。


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見附市
総務部 企画調整課 総合政策室
係長 姉﨑 晋悟(あねざき しんご)さん

歩いた先に交流が待っていれば自然とまちを歩くようになる。

かつて繊維産業で栄えたものの、近年は大学進学などを機にまちを離れる若者が多いという同市。高齢化が進み、にぎわいも失われつつあったという。「当市は、いわゆる“平成の大合併”の際、近隣自治体とは合併しないという選択をしました。そのため、社会保障費を抑えて持続可能なまちにするには、高齢者が健康で自立して暮らせる環境づくりが課題だったのです」と姉﨑さんは振り返る。

そこで同市がまちづくりのテーマに選んだのが“健康”だった。市民が“健康”で“幸せ”に暮らせる“健幸”を掲げて平成14年から運動教室を開催したところ、参加者の体力年齢の改善や医療費抑制にもつながったという。ただし当時の参加者の多くは、元々運動に関心のある人たち。誰もが気軽に参加できる内容を模索し、着目したのが“歩くこと”だった。

「運動が苦手な人でも歩くことなら取り組みやすいですよね。歩いた先に楽しい交流の場があれば、モチベーションも保ちやすいので、行けば誰かと交流できる施設をつくろうと考えました。そして近隣に施設を集約することで、無理なく歩ける環境を整え、自然とにぎわいも生まれるまちづくりを目指したのです」。

▲多様な機能を集約した市民交流センター「ネーブルみつけ」。幅広い世代の活動拠点となり、にぎわいを生んでいる。
▲多様な機能を集約した市民交流センター「ネーブルみつけ」。幅広い世代の活動拠点となり、にぎわいを生んでいる。



長年空いたままの既存施設が健康づくりや交流の拠点に。

まず注目したのが、市役所のすぐ近くにあった旧・大型商業施設だ。同市は、この建物を地域資源として活かし、市民交流センター「ネーブルみつけ」へと再生した。「ネーブルとは“へそ”を意味する英語です。当市は新潟県のほぼ中央に位置しており、さらにその中心として、シンボル的な建物になればと考えました」。施設内には運動教室や子育て支援センター、交流スペースなどを設け、幅広い世代の活動拠点となっている。さらに、健康フェスタや物産まつり、フリーマーケットなどの様々なイベントも開催され、にぎわいを生んでいるという。

また、商店街の近くにあったかつての高齢者向け施設を改築し、温浴施設「みつけ健幸の湯ほっとぴあ」へと生まれ変わらせた。若い世代も足を運びやすいように、岩盤浴やフィンランド式サウナのロウリュウを取り入れるなどの工夫もした。「昔から日本には銭湯文化があります。裸の付き合いという言葉があるように、入浴によって自然と交流が生まれるのではと期待しました」。

これらの施設のほか、市民の憩いの場となる「みつけイングリッシュガーデン」なども、中心市街地の約1km圏内に集約。「当市は新潟県内で最も面積が小さいまちで、コンパクトであることが幸いしました。徒歩圏内のエリアに施設が集まっているので、訪れやすいのではないでしょうか」。なお同市では、歩数に応じてたまったポイントを地域商品券と交換できる事業も行っている。歩数計測アプリと連携させることで、若い世代も参加しやすいよう工夫しているそうだ。

かつて高齢者向けだった施設に他市から訪れる大学生の姿も。

令和6年度、ネーブルみつけは年間約41万人が利用。“一緒に運動を頑張る仲間がいるので励みになり、交流の場にもなっている”“運動後、買い物をしたり食事をしたりして帰るのも楽しい”といった声が寄せられているという。ほっとぴあには約20万人が訪れた。「他市の大学生も足を運んでくれていて、若者から高齢者まで幅広い世代が楽しめる施設になりました」と笑顔を見せる。

取り組みを支えたのが、公共交通機関の整備だ。「施設が集約されていても、移動手段がなければ利用できない市民も出てきます。そこで、市の中心部をコミュニティバスが周回し、中心部と郊外をデマンド型の乗り合いタクシーが結ぶようにしました。さらに、市内11の地域には、それぞれワゴン車を1台ずつ貸与しています」。コミュニティバスの乗車賃は100円で、7台体制により20~30分間隔で運行。令和6年度は年間約19万人が利用しており、市民の外出機会の創出につながっている。

同市でよく聞かれるのが“うちの市には何もない”という声なのだそう。一方で、定期的に実施している市民アンケートでは、令和6年度に、91.8%が“住みよい”“どちらかというと住みよい”と答え、過去最高となった。既存の資源を活かすことで日常的な交流が生まれ、結果としてまちへの愛着や満足度の向上につながっているという。「健康という具体的なテーマを定めることで、共通認識によるまちづくりが可能になります。今後は、若い人や市外の人にも当市のよさをもっと知ってもらい、応援してもらえるようなまちを目指したいです」。