東京都杉並区

公開日:

民間事業者とのパートナーシップでにぎわいのある拠点をつくる。

都市整備・上下水道
読了まで:7
民間事業者とのパートナーシップでにぎわいのある拠点をつくる。

官民連携による公共施設マネジメント

施設の老朽化対策や変化する区民ニーズへの対応を計画的に進めている杉並区。施設更新などの機会を捉えて、民間事業者のノウハウを積極的に取り入れ、区・施設利用者・関係団体が協力しながら、魅力ある運営に取り組んでいる。

※下記はジチタイワークスVol.42(2026年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

[PR]株式会社東急コミュニティー

プロフィール画像

杉並区
区民生活部 地域施設担当課長
近藤 伸吾(こんどう しんご)さん

地域のコミュニティ形成の拠点である地域区民センターを長寿命化。

同区には、区民の趣味や文化活動に幅広く活用できる集会施設がある。中でも大規模な「地域区民センター」は区内に7カ所あり、集会室をはじめとした多様なスペースを備え、地域の幅広い活動を支える拠点となっている。その一角を担う「セシオン杉並」は、社会教育センターや区民事務所との複合施設だ。開設から30年以上が経ち、施設の老朽化や変化するニーズへの対応が課題となっていた。そのため、令和3年4月から約2年半をかけて長寿命化に向けた大規模改修を実施。

改修は、屋上防水や電気・機械設備の更新のほか、内装の全面リニューアルや舞台機構の刷新、防災機能の向上など多岐に及んだ。さらにリニューアルオープンを機に指定管理者制度を導入。民間事業者のノウハウを活かし、より魅力的な施設に生まれ変わったという。「コンサートホールや音楽室、展示室、体育室、料理室など設備が非常に充実しています。指定管理者がこの環境を活かし、区民のニーズを反映した音楽イベントやマルシェ、料理教室などを開催することで、新たなにぎわいが生まれています」と近藤さんは語る。



施設ごとに特色あるイベントで交流とにぎわいを創出する。

一方、地域区民センターに比べ小規模で、より身近な多世代交流拠点として、区内各所で展開しているのが「コミュニティふらっと」だ。その一つとして、旧杉並第八小学校跡地に令和7年4月、「コミュニティふらっと高円寺南」が誕生した。整備にあたっては、廃校決定後、平成26年度から跡地活用について住民との対話を開始。長年にわたり検討を重ね、一歩ずつ計画を具体化させてきた。「学校の跡地ということで、地域の人たちの思い入れは深かったですね。時間はかかりましたが、町会やPTAなどの皆さんと幅広く対話を重ねたことで、親しまれる場ができたと思っています」。

図書館や公園との複合施設であることから、指定管理者制度を導入し、民間事業者の特性を活かした運営を行っている。オープン当初から多くの利用者でにぎわっており、理想的なスタートを切っているそうだ。「開放感のある図書館が好評で、若い世代の利用が多いです。今後は幅広い世代が交流できるイベントを増やして、どの年代にも利用を広げていきたいですね」。

民間事業者の強みを活かして新しいつながりを広げていく。

これらの施設では、指定管理者がそれぞれ3社協力体制で運営をしている。施設管理業務を幅広く手がける「東急コミュニティー」が統括し、清掃・警備・設備などは地元の事業者が担当。この2社に加えて、セシオン杉並ではホール運営を得意とする事業者、コミュニティふらっと高円寺南では図書館の運営に広く携わっている事業者が参画し、それぞれの強みを活かしている。

「民間の力を特に感じるのはスピードです。現場の状況に合わせてすぐに対応してもらえるのが大きなメリットだと思います。また、区では思いつかないようなイベントを企画し、地域住民と連携しながら丁寧に運営している点も心強いです。人との関係を大切にしている姿勢が見えるので、非常に安心できますね。今後は施設間での連携を強め、新しいつながりや活動が区の中で広がっていくことを期待しています」。

パートナーシップを築いて施設を育てる仕組みをつくる。

こうして民間事業者のノウハウを取り入れ、魅力ある施設運営に取り組む同区は、指定管理者制度を活用する際に「杉並区施設運営パートナーズ制度」という愛称を用いている。指定管理者を、区と同じ姿勢で様々な社会課題に取り組む運営パートナーとして位置付け、その姿勢を内外に示すためのものだ。

一般的に、指定管理者制度はコスト削減を重視しがちだが、同区ではサービスの質に加え、働く人の環境や行政としての透明性も同様に重んじている。実際、施設で働くスタッフの適切な賃金水準を確保するためのルール策定や、区に準じた情報公開マニュアルの作成を求めるなど、公共の担い手としての役割を明確化した。「指定管理者に運営を丸投げするのではなく、区と指定管理者が一緒に区民の方を向いて、協力していく意識を大切にしています」。

こうした区の姿勢は、同制度の対象外となる施設運営の事業者選定プロセスにもあらわれている。例えば、コミュニティふらっとでは、金額重視の入札ではなく、事業者の理念や特色を評価するプロポーザル方式を採用。選定された事業者とは、地域コミュニティ形成のための事業実施に関する協定を締結し、併せて窓口業務などを委託している。この仕組みにより、指定管理者制度と同様、事業者の自由な発想による自主的な事業展開を可能にしているそうだ。「地域コミュニティを形成するために、経験やアイデアを活かして様々な事業を実施してほしいという考えが背景にあります。価格競争だけでは評価できない部分があるので、内容を重視して選んでいます」。子ども向けの事業に力を入れている団体、高齢者施設を運営している社会福祉法人など多様な事業者が参画しており、施設ごとに地域のニーズに合った形で運営を行っているそうだ。

施設の老朽化に対応しつつ魅力ある施設づくりを進める。

約600の区立施設を抱える同区では、老朽化に伴う更新プロジェクトが各所で進行中だ。区民への影響が大きい計画では、ワークショップなどを通して検討段階から地域とともに歩むプロセスを重視している。施設の老朽化によるサービス低下を防ぐため、さらに注力が必要だと近藤さんは言う。「地域ごとに様々な課題はありますが、区民の声をしっかりと聴き、必要な空間をともにつくり、運営していくことが何より大切だと思っています。これからも区民と一緒に考え、着実に取り組んでいきたいです」。地域によりよいサービスを提供することを第一に、民間ノウハウと住民連携を両輪として、魅力あふれる施設づくりが今後どのように深化していくのか注目したい。

杉並区が民間事業者と連携して運営する施設の例


プロフィール画像

東急コミュニティー
セシオン杉並 館長
保科 隆之(ほしな たかゆき)さん

人が集まる多彩なイベントを企画

セシオン杉並は、3社共同事業体で指定管理者業務を受託しました。当社が代表企業として総合案内受付を担当し、ホール運営を専門とするグループ企業、清掃・警備・設備を担う地元企業と協力して日々の業務にあたっています。統括管理には、施設全体の広報やイベントなど自主事業の実施も含まれます。区との定例会議では、利用状況、建物に関する修繕や維持管理、利用者からの意見など、多岐にわたって協議を重ね、常に連携しながら動いています。

リニューアルオープンから3年目を迎え、稼働率も来館者数も着実に伸びています。施設の認知度向上につながっているのが、自主事業のイベントです。ホールを使ったコンサートやピアノ試奏会、親子料理教室、工芸ワークショップ、天文講座など、幅広い世代に向けてイベントを開催してきました。高円寺四大祭りと連携したマルシェも定期的に開いています。この地域は祭りや演芸が盛んで、熱心に活動している団体がたくさんあります。中でも、毎年8月に開催される「東京高円寺阿波おどり」は70年近い歴史をもち、高円寺を代表するお祭りです。当施設でも、参加する皆さんが日々練習に励んでいます。

連携でWin-Winの関係を構築する

地域との関係づくりは手探りでしたが、商店会や町会などに参加し、様々な団体を紹介してもらう中で徐々に広がってきました。施設の場所は駅やまちの中心部から離れているため、地域の人たちの力を借りないと集客が難しい環境です。皆さんにとっても、指定管理者と連携することで活動がスムーズにできる面があり、双方にとってメリットのある関係を築いてきました。

自主事業のイベントは、地域での交流を通して生まれたアイデアをもとに、スタッフが主体的に動いて形にしてきました。“ハコ”の利用に限らない柔軟な企画も手がけています。令和7年度は地域のカフェを巡るスタンプラリーや、子育て応援券・長寿応援ポイントを活用した体操教室を実施しました。まち全体を活性化できる拠点になることを目指し、これからも皆さんと力を合わせていきたいです。

全国のPPP※事業を幅広く担う東急コミュニティーの総合力

CHECK!

官民連携のパートナーとして活動

公共施設や大型スポーツ施設などの管理で培った実績とノウハウを活かし、顧客視点に立った運営力を強みに全国で事業を展開している同社。「国土交通省PPPパートナー」として、PPP/PFI※に関するセミナー開催や相談対応なども随時行っている。

※ PPP=Public Private Partnership(公共施設の建設、維持管理、運営などを官民連携で行うこと)
※ PFI=Private Finance Initiative(PPPの中でも、民間の資金、経営・技術的能力を活用して行う手法)

管理実績

PFI事業・・・33件
ビル・その他 指定管理者物件・・・60件
住宅系 指定管理者物件・・・約25万戸
※令和7年4月1日時点(PFI事業は稼働予定・終了事業も含む)同社調べ

お問い合わせ

サービス提供元株式会社東急コミュニティー

営業開発本部 PPP営業部
事業推進チーム

東京都渋谷区道玄坂1-21-1
渋谷ソラスタ6F

TEL:03-5717-1083
Email:kanminrenkei@tokyu-com.co.jp

お問い合わせ・詳細はこちら