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暑さ指数の自動計測により、生徒たちを守る体制を強化。

学校向け熱中症予防対策システム
最高気温の平均値が毎年のように更新されている今、学校現場では熱中症予防のさらなる対策が求められている。横須賀市は地域企業と連携して熱中症予防対策システムを導入し、暑さ指数にもとづいた迅速な判断を支える仕組みを構築した。
※下記はジチタイワークスVol.42(2026年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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横須賀市
教育委員会事務局
学校教育部 保健体育課
係長 中村 洋介(なかむら ようすけ)さん

横須賀市
教育委員会事務局
学校教育部 保健体育課
指導主事 吉田 健人(よしだ たけひと)さん
現状の手動計測では不安があるという学校現場の声から課題が浮き彫りに。
「学校現場では教育効果以上に、子どもたちの健康安全を確保することが重要だと思っています」と語るのは指導主事の吉田さん。同市では、熱中症予防に関する市立学校向けのガイドラインを独自に策定するなど、早くから対策を実施していた。しかし、毎年暑さが厳しさを増し、対策を強化する必要を感じていたという。そうした中で同市は、令和5年1月に地域課題の解決に取り組む企業「ニフコ」と包括連携協定を締結。連携事項に“市内学校等のICT化”が含まれていた。「担当者が学校を訪れ、熱中症予防の対策を含め現場のリアルな悩みをヒアリングしてくれました」と中村さんは振り返る。
文部科学省も推奨している通り、多くの学校では熱中症の危険度を判断する“暑さ指数(WBGT)”を体育などの活動前・活動中に測定し、実施可否や対応を決める運用になっている。「以前は教員がハンディータイプの測定器で指数を測り、記録していました。しかし、これでは計測値を学校内で即時共有できません。また、作業者により計測値に誤差が生じる場合があり、判断が不安という声も。さらに教員の負担が大きく、休日の部活動前に出勤して計測する必要もあり、課題の多い運用でした」。



暑さ指数の自動計測と見える化で熱中症予防対策の精度を上げた。
体育館への空調設置を進めているが屋外には対応できない。安全管理の精度を高めるためにも、対策が必要であると判断したという。こうして、現場の声を起点とした熱中症予防対策システムの開発が進められた。
このシステムでは、グラウンドと体育館に設置したセンサーが暑さ指数を10分ごとに自動で計測し、データをクラウドに送信する。これにより、教員は職員室のモニターやパソコン、スマートフォンなどで数値を確認できるように。同社からの提案でメール通知やデータ記録の機能も備え、従来のフローにあった記録簿への記入も不要になった。
令和6年度に数校でパイロット版による実証実験を行い、仕様や操作性を現場で検証して同社が製品化。翌年度から市立中学校・高校の全24校へと本格展開された。学校向けの運用説明会も同社がサポートしてくれたそう。「導入前は、“全ての学校に必要なのか?”という声もありました。ところがいざ設置してみると、近隣校でも計測値や推移が異なることが分かりました」と中村さんは話す。立地条件など、各学校の環境に即した対策の重要性を再認識したそうだ。
教員や生徒たちの意識が高まり、変化に対して即応できる環境へ。
導入校の多くは、職員室や体育館、昇降口に設置したモニターにシステム画面を常時表示しており、教員も生徒も計測値を確認できる。そのため、全体の意識が高まっているそうだ。「例えば、体育の授業中に暑さ指数が上昇して危険値を超えた場合、指導中の教員がそれに気づけないこともあります。そのようなときでも、職員室などで画面を見た別の教員が状況を伝えて授業を中止する判断ができます」。休日の部活動前には教員が自宅で指数を確認して実施可否を判断できるようになり、工数や心理的な負担も軽減された。さらに可視化された計測値のデータは折れ線グラフでも表示される。その推移から予測して授業や行事の時間を事前に調整するなど、活用の幅が広がっているという。
「生徒たちが自ら暑さ指数を確認する行動も見られるようになり、“健康を管理する力”の育成につながるのではないかと考えています。体の感覚と数値を結び付け、卒業後も危険度や必要な対策を自分で判断できるようになってほしいです」と吉田さんは語る。各学校で迅速かつ適切に判断できるだけでなく、生徒にも好影響を与えている同システム。令和8年度からは市立小学校と特別支援学校への導入も決定し、これにより市内の公立学校全70校への展開となる。





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