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【セミナーレポート】介護保険担当に聞いた「業務の悩みあるある」"改善アイデア"事例セミナー【DAY2】

福祉・医療
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【セミナーレポート】介護保険担当に聞いた「業務の悩みあるある」"改善アイデア"事例セミナー【DAY2】

「認定審査会の資料づくりに時間がかかる」「電話やFAX対応が多く、本来業務に集中できない」「多機関連携や調整に追われている」ーー介護保険担当でよくあるこうした悩みに対し、他自治体ではどのような工夫をしているのでしょうか。

本セミナーでは、介護保険担当の日常業務に着目し、"業務の悩みあるある"を起点に、他自治体の取り組みや課題解決のヒントを共有しました。

概要
■テーマ:介護保険担当に聞いた「業務の悩みあるある」"改善アイデア"事例セミナー
■実施日:令和7年11月14日(金)
■参加対象:無料
■申込者数:97人
■プログラム
<Program1>【青梅市】事業者の「人材不足SOS」に保険者が応える!予算ゼロで挑んだ連携とイメージアップ戦略
<Program2>【都城市】伴走支援で広がるケアプランデータ連携の可能性
<Program3>多くの受注実績に学ぶ「ケアプランデータ連携」普及モデル

【青梅市】事業者の「人材不足SOS」に保険者が応える!予算ゼロで挑んだ連携とイメージアップ戦略

第1部に登壇したのは、東京都青梅市介護保険課の溝口雅人氏。「人材不足」という事業者からのSOSに、保険課としてどう向き合ったのか。現場担当が考える運用改善の仕組みや具体的なプロセスについて伺った。

プロフィール画像

【講師】
溝口 雅人 氏
東京都 青梅市 介護保険課

介護現場の魅力を知ってもらうために

青梅市が介護人材対策事業に取り組んだきっかけは、市内の介護事業所から寄せられた「若い人たちの介護・福祉に対するイメージを変えてほしい」という切実な声でした。介護職といえば、「きつい・汚い・危険」のいわゆる3Kのマイナスイメージが若い世代に先行している現状があります。

一方で、産業別の就業者数を見ると、青梅市では医療・福祉分野の就業者が非常に多く、高齢化の進行もあって、地域にとって欠かせない重要な産業になっています。また、介護保険事業所調査のデータを見ると、介護職の年齢構成は40代・50代がボリュームゾーンで、30代未満が非常に少ないという実態も浮かび上がりました。現場の声だけでなく、数値の面からも「若い世代に介護の仕事を知ってもらう必要がある」と確認できた形です。

そこで青梅市では、「まずは介護の仕事の魅力を知ってもらおう」「若い世代へのアプローチを強めよう」という方針のもと、介護人材対策事業として大きく3つの取り組みを行いました。1つ目が「介護の仕事の普及啓発動画の作成」、2つ目が「普及啓発イベントへの出展」、3つ目が「学校訪問(福祉・キャリア教育)」です。

取り組み1:介護の仕事の普及啓発動画の作成

若年層に介護の魅力を伝えるには文字よりも「映像」の方が届きやすいのではないかと考え、動画作成を実行しました。介護の仕事はアパレルや飲食のように日常生活の中で仕事内容を目にしにくく、高校生などにとってイメージしづらい職種です。そこで、現場の様子や職員の表情がそのまま伝わる動画という形を選びました。

募集の段階では、「若い人に向けて発信するなら、出る側も若い人に」と考え、市内の全事業所に案内をした上で、20代の職員に限定して出演を募りました。手を挙げてくださった3事業所・4名の若手職員にインタビューに協力いただき、出勤の様子や利用者さんとの会話、ケアの場面など、1日の流れがわかるように撮影しました。

制作にあたって一番苦労したのは、現場の実態を理解し、どこにやりがいや大変さを感じているのかを把握すること。私自身、介護保険制度には詳しくても、現場での1日の動きは分からない部分も多く、事業所と何度も打ち合わせを重ねながら本音を伺い、それを動画の中でリアルな声として伝えられるよう工夫しました。撮影時間の調整や動線の確認なども含め、事業所の皆さんに密にご協力いただけたことには感謝してもしきれません。

また、編集作業は庁内の広報担当部署が保有している動画編集用のパソコンとソフトを借りて行いました。企画から募集、打ち合わせ、撮影、編集、公開まで、他の業務と並行しながらではありましたが、ほぼ1人で進めています。そのため、新たな予算はかかっていません。

この動画は通常版とショート版を合わせて約4,800回再生され、東京都主催の「東京都の介護って素晴らしいグランプリ2024」動画部門で優秀賞を受賞したほか、各種メディアでも紹介していただきました。

取り組み2:普及啓発イベントへの出展

もともと市内では「健康まつり」や「介護の日(産業まつり内)」「お〜ちゃんフェスタ」といったイベントが行われていましたが、そこに介護事業所と一緒にブースを出し、「介護の仕事に触れてもらう場」として活用しました。

また、資格や給与など介護職の基本情報を展示で紹介し、その前で事業所の方に解説していただきました。ブース内のモニターでは先ほどの動画も流し、視覚的にも介護の仕事をイメージしてもらえるようにしています。こうした企画は、事業所からのアイデアと協力があってこそ実現したものです。

また、256名にアンケートを実施したところ、体験してくださった方は10代から30代までの若年層が約半数を占め、幅広い世代にアプローチできていることが分かりました。「介護の仕事について理解が深まった」と回答した方は81%、「介護の仕事に興味が湧いた」と答えた方は72%で、多くの方にポジティブな変化が生まれています。

取り組み3:学校訪問(福祉・キャリア教育)

高校で実施されていた就職セミナーを「一度見学させてほしい」とお願いしたことがきっかけで、学校訪問も行いました。市内の介護事業所に呼びかけたところ、8事業所・25名の方にご協力いただき、5つのブースに分かれて説明や体験を実施しました。生徒の皆さんには、ただ話を聞くだけでなく、自分の体を動かしながら介護の現場をイメージしてもらえるようブースを設けたのも工夫の1つです。

参加した86名へのアンケートでは、「介護の仕事のイメージが変わった」が65%、「仕事の内容が分かった」が96%、「介護の仕事に興味が湧いた」が69%と、とても高い結果が出ました。事業所の皆さんからも「やってよかった」という声が多く、学校・生徒・事業所の三者にとって意義のある取り組みになったと感じています。

今後も、可能な限りこうした取り組みを継続していきたいと考えていますが、人材対策といっても普及啓発だけで完結するものではありません。ケアプランデータ連携など、他の取り組みとも組み合わせながら、総合的に介護人材の確保・定着につなげていく必要があります。

【Q&A】
Q:動画作成のご経験があるのでしょうか。
A:経験自体はほとんどなく、最初はうまく撮れませんでした。しかし、事業者の皆さんにご協力いただけたおかげで形になったと思っています。また、広報課の方々にも撮影の注意点などをアドバイスしていただきました。

【都城市】伴走支援で広がるケアプランデータ連携の可能性

第2部に登壇したのは、宮崎県都城市の飯盛康則氏と金政明美氏。ケアプランデータ連携推進に向けた取り組みを始め、厚生労働省が進める「介護情報基盤」の先行実証地域としての最新の動きについても話してもらった。

【講師】
飯盛 康則 氏 金政 明美 氏
宮崎県 都城市 健康部 介護保険課

ケアプランデータ連携システム活用までの流れ

都城市は池田宜永市長が自らCDO(最高デジタル責任者)を務め、デジタル化を強力に推進してきた「DX先進都市」として知られています。マイナンバーカードの交付率は、2023年2月に全国の市で初めて90%を超え、同年5月には最速で95%を達成しました。現在もマイナンバーカードを活用した行政手続きのオンライン化や、ふるさと納税のオンライン申請、市民サービスのデジタル化に積極的に取り組んでいます。

ケアプランデータ連携システムに関しては、まず令和5年度に厚生労働省と連携し、一定の要件を満たしてシステムを導入した事業所へ謝礼を行う「データ連携促進モデルキャンペーン」を実施しました。しかし、この段階では導入事業所がなかなか増えず、期待したほど普及が進みませんでした。

そうした中、令和6年度に宮崎県から「ケアプランデータ連携システム活用促進モデル地域づくり事業」の募集がありました。そこで市内事業所に導入意向調査を行ったところ、46事業所から「導入したい」との前向きな回答がありました。この結果を受けて、都城市はモデル市町村に選定され、県と協力して本格的に普及促進に取り組むことになったのです。事業の内容としては、県が委託する業者による伴走支援、研修会の開催、ライセンス料の補助など、多岐にわたる支援を受けています。

まず私たちが取り組んだのは、「システムそのものを知ってもらうこと」でした。県担当者と、県委託業者であるNPO法人タダカヨの次田様と共同で説明会を開催し、ケアプランデータ連携システムの概要やメリットをお伝えしましたが、当初は参加事業所が少なく、導入申し込みにもなかなかつながりませんでした。

そこで、説明会に来られなくても概要がわかるよう、NPO法人タダカヨ様に「5分で見られる利用方法の説明動画」を作成していただき、メールで全事業所に配信。短時間でポイントをつかめる動画にしたことで、システムへの心理的ハードルを少し下げられたのではないかと感じています。

あわせて、「集団指導」の場を活用しました。都城市では年4回程度、介護保険事業所向けの集団指導を実施しており、多くの事業所が参加する場として定着しています。この場を生かし、「ICT生産性向上セミナー」と題してケアプランデータ連携システムの説明を組み込みました。こうした工夫もあり、3回の説明会を経て、導入申し込みをした事業所は100事業所を超えるまでに増えました。その後は、参加申し込みのあった事業所に対し、県の委託業者が個別に導入サポートを行っています。

説明会と並行し、個別の働きかけも行いました。市内で多くの事業所を運営している大規模法人には直接電話で連絡を取り、導入の検討をお願いしました。また、市内7カ所の地域包括支援センターにも協力を依頼し、全てのセンターでシステムを導入していただきました。大規模法人や地域包括が導入することで、「うちも導入してみよう」と考える事業所が増えたと感じています。

一方で、説明会に参加した事業所からは、「現場としては導入したいが、法人本部まで情報が届かず決裁に時間がかかる」という声もありました。そこで、法人の上層部に対しても電話やメールで直接説明し、市全体の導入状況や国・県からの情報をこまめに発信することで、理解を得やすい環境づくりに努めました。

県委託業者であるNPO法人タダカヨ様による伴走支援も大きな力になりました。導入希望事業所にはまず電話で訪問日の調整を行い、端末環境や電子請求用IDなどを確認した上で、システム導入に必要な準備を丁寧に説明していただきました。その後、実際に事業所を訪問し、インストール作業のサポートや操作方法のレクチャーも実施していただいています。

このように、形式的な案内にとどまらず、デジタルツールに不慣れな事業所には操作支援を手厚く行うなど、「顔の見える伴走支援」を行っていただいた結果、導入した事業所が未導入の事業所に声をかけるという好循環も生まれました。システム導入に不安を抱えていた事業所にとって、こうした支援は非常に有効だったと感じています。

取り組みの結果とこれから

その結果、宮崎県の事業に参加する前は8事業所にとどまっていた導入事業所数が、140事業所まで増加し、導入率は38.5%となりました。特に地域包括支援センターでは導入率100%を達成し、居宅介護支援事業所や福祉用具貸与事業所でも6割前後が導入するなど、一定の成果が得られています。

一方で、導入が進んだことを受けて、今年8月に実施したアンケートでは新たな課題も見えてきました。190事業所から回答をいただいた結果、システムを「すでに導入している」と回答したのは49%、「導入したい」は18%、「導入する予定はない」は33%でした。

サービス種別で見ると、居宅介護支援や地域包括支援センター、福祉用具貸与では導入率が高い一方、通所・訪問系サービスでは導入率が低く、地域全体で見ると「導入はしたが、連携先が少なくて十分に活用できない」という状況も生じています。つまり、導入率は大きく伸びたものの、実際のデータ連携が十分に進んでいるとはまだ言えないのが現状なのです。

こうした結果を踏まえ、今後は「導入してもらう」だけでなく、「実際に使ってもらう」ことを重視していきます。当市は本年度も宮崎県の事業に申し込みましたので、引き続きモデル市町村として、県委託業者と連携しながら導入支援を継続します。

令和6年度介護DX(被保険者証関係)の先行実施事業について

最後に、介護DXの一環として取り組んでいる「被保険者証関係の先行実施事業」についてご紹介します。国では、介護保険におけるペーパーレス化を進めるためマイナンバーカードを介護保険証として活用し、被保険者資格等をオンラインで確認できる仕組みの検討が進められています。令和6年度には、全国展開に向けた課題を明らかにすることを目的に、先行実施自治体の募集が行われ、当市も応募・採択されました。

実証内容としては、事業所において被保険者本人がマイナンバーカードで介護保険資格確認等のウェブサービスにログインし、デジタル庁のシステムから事業所の端末へ資格情報・被保険者情報・負担割合情報・負担限度額確認証情報を送信する、という流れを検証するものです。

当市がこの事業に応募した理由は、もともとデジタル化推進に積極的に取り組んでおり、介護保険課としても介護認定審査会のペーパーレス化やオンライン会議の導入などを進めていること、そして介護保険証とマイナンバーカードの一体化に伴う課題を、できるだけ早い段階で事業所と一緒に整理しておきたいと考えたことにあります。大規模法人や地域包括支援センターにも協力を依頼し、参加可能との回答をいただいた上で、実証をスタートさせました。

介護WEBサービスを実際に利用した事業所からは、「介護保険情報を簡単に確認できる」「負担限度額認定証の交付時期をウェブ上で確認でき、確認作業が短縮された」「保険者情報が一覧表示されるため見やすい」「保険証を紛失していても再交付の手間が省ける」といった、業務改善につながるポジティブな意見をいただいています。一方で、「初期パスワードの入力が大変」「初期設定が分かりにくい」といった課題も挙がっており、今後の改善ポイントとして受け止めています。

今後は、介護保険事務システムの標準化対応を進めつつ、準備が整い次第、介護情報基盤へのデータ送信を開始し、介護情報基盤経由での情報共有を図っていく予定です。これにより、これまで紙や電話で行っていた確認作業の負担軽減や、要介護認定に必要な情報を事業所やケアマネジャーがタイムリーに把握できる環境の整備を目指します。併せて、事業所や医療機関に向けて、介護情報基盤ポータルサイトや活用できる助成金の案内も行いながら、質の高い効率的な介護サービスの実現につなげていきたいと考えています。

多くの受注実績に学ぶ「ケアプランデータ連携」普及モデル

第3部に登壇したのは、ケアプランデータ連携システムの普及モデル構築と伴走支援を全国で展開するNPO法人タダカヨの次田芳尚氏。なぜ今、生産性向上とDXが必要なのかを、経営者と現場職員それぞれの視点から伝えてもらった。

プロフィール画像

【講師】
次田 芳尚 氏
NPO法人タダカヨ
ケアプランデータ連携システム普及推進室長
株式会社279代表取締役(完全テレワーク型居宅介護支援事業所)
合同会社かいご支援サービス代表

なぜ正しいはずのシステムが普及しないのか

私はNPO法人タダカヨで、理事としてケアプランデータ連携の普及支援を行っています。タダカヨは名前のとおり、お金をかけずにICTを活用できるよう、介護事業所向けの無料・定額セミナーや出張講座などを各地で実施している団体です。私たちの試算では、全国の介護事業所に“お金のかからないIT”が行き渡れば、年間1,260億円規模の社会保障費の財源創出につながると考えており、その実現を目指して活動しています。

私自身も現役のケアマネジャーですので、今日は現場にいるケアマネとしての実感も交えながら、ケアプランデータ連携の「伴走支援モデル」についてお話しします。

まず、なぜ「正しいはず」のシステムがなかなか普及しないのか、というところから考えてみましょう。ケアプランデータ連携は、使えば業務効率化やミス削減につながることは、多くの方が頭では理解されています。それでも現場からは「また新しいことですか」「忙しくてとても手がまわらない」といった声がよく聞かれます。慢性的な人手不足の中、利用者対応だけで手一杯で、新しい仕組みに取り組む心の余裕がない。さらに、「入れてもまた仕事が増えるのではないか」という不信感も強くあるのでしょう。包括支援センターへの報告、自社ソフトへの入力など、日常的に二度手間が発生しているため、「新しいシステムも結局負担になるのでは」と疑われてしまうのです。

こうした状況を踏まえると、現場に必要なのは「メリットの説明」ではなく、「今の痛みへの共感」だと私たちは考えています。

そこで私たちは、従来のような上から教える「指導」ではなく、横に並んで走る「伴走支援」を重要視しています。ITベンダーが来て一方的にレクチャーすると、「いい話だけど、やらされている」という感覚が残ります。しかし、私たちは現場出身の仲間として「分かるよ、その大変さ」とまず共感し、そのうえで「だからこそ、このデータ連携を使うとここが楽になりますよ」と、自分たちの体験を交えて伝えるようにしているのです。

安心感・信頼感・傾聴力をもたらす伴走支援

最強の伴走支援者は、ITの専門家ではなく介護現場の経験者。実際、「私もケアマネです」と名乗るだけで、相手の表情がふっと緩むことがあります。同じ言葉が通じること、「上から」ではなく「仲間として来てくれた」ということで信頼感が生まれ、本音の困り事を話してもらえるようになるのです。普段から利用者や家族の話を聞いているケアマネとしての傾聴力も、支援の現場で大きな武器になります。

ただし、経営層と現場では見ている景色が違います。そのため、説明会は対象別に分けています。経営者の方には、導入コストと将来の削減効果を数字で示します。残業時間の削減、印刷・郵送費の削減、請求ミスの減少などをコストシミュレーターで具体的に可視化し、「人が辞めない職場づくり」にどうつながるかをお伝えする流れです。

そして、現場の職員には、お金よりも「時間」と「手間」がどれだけ減るかを重視して説明します。

また、業務そのものを見直すために、ビジネスプロセスマネジメント(業務フローの可視化)の手法も使っています。現在の業務の流れを書き出し、どこで二度手間が発生しているのかを一緒に確認したうえで、「ここをケアプランデータ連携に置き換えると、担当者はこう変わり、作業時間はこれだけ減ります」と、示していくのです。居宅介護支援事業所であれば、事務員をバックオフィスとして配置し、データ連携システムと組み合わせることで生産性を高める、といった具体的な業務転換案もお示ししています。

また、「自分の事業所で使っている介護ソフトで本当に動くのか」といった不安の解消にも寄り添います。例えば、ソフトベンダーごとの操作方法をまとめた説明会や「虎の巻」動画を用意し、「うちのソフトだとこうやればいい」というところまで丁寧にお伝えしています。

導入期の最大の壁は、DX電子証明書の取得・設定などの手続きです。ここは「一番面倒でつまずきやすい」ポイントなので、申請書類の準備から申請手続き、システムへの設定まで、横につきっきりでサポートします。進捗状況は行政にもこまめに報告し、定期的なレポートで伴走支援の状況を共有しています。

もちろん、導入が終わったあとも「はい終わり」にはしません。行政との協議のうえで情報をまとめたポータルサイトとサポートデスクを継続的に運営し、更新後も問い合わせに対応できる体制をNPOの非営利事業として維持しています。

現場の仲間を助けるために

普及の観点で見ると、イノベーター理論で言われるように、導入率が16%前後の「キャズム(深い溝)」をどう越えるかが大きな課題です。都城市さんと一緒に取り組んだ事例では、伴走支援を徹底した結果、導入事業所数が約130件まで伸び、この壁を越えることができました。導入率が20〜25%を超えると、「あの法人も入れているなら、うちもやろう」という“自然増”のフェーズに入ります。実際、都城市ではその後半年で約20事業所が行政の働きかけなしに増えているのです。

私たちが目指しているのは、「システムを配る」ことではなく、「現場の仲間を助ける」ことです。説明から共感へ、ツールではなく仲間を届ける伴走支援を通じて、ケアプランデータ連携をきっかけに、地域全体のICT活用・DXにつながる勉強会も広げています。

最近では、AIを使って録音からケア記録を自動作成するようなツールも紹介しながら、現場の生産性向上に役立ててもらっています。こうした伴走支援の輪を広げ、日本中でケアプランデータ連携が当たり前に使われる環境づくりに、これからも取り組んでいきたいと考えています。