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脱炭素社会に向けたEV導入が車両管理の工数削減にも寄与。

EVの導入から運用まで支援するモビリティサービス
令和4年に「ゼロカーボンシティ宣言」を行った千歳市。公用車のEV導入の検討をきっかけに、車両管理の課題にも着目し、アウトソーシングを実施。長期的な視野が必要な脱炭素化において、成功のカギを教えてくれた。
※下記はジチタイワークスVol.41(2025年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]三菱オートリース株式会社

千歳市
総務部 総務課
課長 黒田 尚樹(くろだ なおき)さん

千歳市
総務部 総務課
主任 中野 仁(なかの ひとし)さん
普及率が高くない地域でのEV導入を自治体だけで検討するのは難しい。
国が掲げるカーボンニュートラルの実現に向けて、各自治体は工夫を重ねている。今や地球温暖化は、看過できない課題といえるだろう。「当市は、20年前と比較して8月の平均気温が6℃も上昇しています。令和4年に支笏湖地区がゼロカーボンパーク(※1)として登録されたこともあり、様々な事業者や関係機関と連携して、温室効果ガスの削減に取り組んできました」と黒田さんは話す。
同市の地球温暖化対策実行計画には、交通手段の脱炭素化が掲げられており、同課でも検討を進めていた。「目標の実現には、ガソリン車の減車もしくは次世代自動車への転換が必要です。しかし、本州に比べてEVが普及しておらず、充電器の設置が少ないのが実状でした」と中野さん。冬場は雪を溶かすためのヒーターで多くの電気を使用することから、走行距離にも不安があったという。
また、車両管理業務の煩雑さにも頭を悩ませていた。97台の公用車に対して、車両管理担当は3人。紙ベースの公用車予約・日報管理や、計画的な車検・タイヤ交換などのメンテナンス業務を、限られた人員で行うには限界があった。脱炭素化のための調査や計画策定も容易ではない。そこで、これらの課題を解決しようと「三菱オートリース」とともにEVのリースに踏み出した。
※1 国立公園のうち、脱炭素化に取り組むエリアを環境省が認定

温室効果ガスの削減量の見える化と工数・人件費の削減が導入の決め手。
同社は、EVの導入から税金の支払い手続き、点検・車検まで、車両管理に関わる一連の業務を担う。「EV導入による温室効果ガスの削減量を、車種ごとに細かくシミュレーションしてくれたことが決め手になりました。加えて、災害時の給電装置を配備するなど、自治体が求める提案も手厚かったです」と黒田さん。
車両管理業務のDXや、アウトソーシングも大きな変化だ。従来、紙で作成・管理されていた日報は、通信型のドライブレコーダーを活用して自動作成されるように。これにより、日報の管理側だけでなく、作成側の負荷軽減も見込める。また、車両のメンテナンスについても同社のサポートを受けることで、車検切れや整備不良などの発生リスクが低減。「EVには充電器が不可欠なため、財政負担への懸念がありました。しかし公用車の使用者と管理者、双方の工数と人件費の削減がかなうことに財政担当も理解を示し、実施に結び付いたのです」。補助金の活用については同社のアドバイスがあったそうだ。
地域に合わせたEVを導入して市民への普及を後押しする。
同社からの提案をもとに、軽自動車はEV、災害対応を想定した車はエンジンで発電もできるPHEVと、利用シーンに合わせて車種を選定。走行距離の懸念は、ガソリンエンジンと電動モーターを搭載するHVの導入で払拭したという。冬場のスタッドレスタイヤへの交換も契約に織り込んだ。設置した充電器からは、実質的に再エネ100%の電気を供給する。「EVのステッカーを貼った公用車で冬の雪道を走り、安全性や利便性をアピールしていきたいです。市民にEVという選択肢を提示して、脱炭素化を進めていきたいと思っています」と中野さんは期待を寄せた。
今回の取り組みが令和7年度からの10年間にわたる長期契約となっているのは、職員の経験値に左右されない車両管理体制の構築を意識したためだ。「環境問題は長期的な視野が必要ですが、定期的な人事異動により難しい部分があります。脱炭素化と車両管理のDXに関するレールを敷けたことで、私も肩の荷が下りました」と黒田さん。公用車の脱炭素化は、具体的な目標設定や長期計画の立案、実行するための体制構築が重要だが、自治体だけで進めることは簡単ではない。民間企業がもつ知識やアイデアを活用することが重要だ。「脱炭素化とまちの発展の両輪が大切です。これからも意識して取り組んでいきたい」と力を込めた。

※2 BPO=Business Process Outsourcing(業務の一部を外部へ委託すること)
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