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企業の課題に触れる授業で、主体的に学ぶ力を育てる。

社会課題を題材にした学習コンテンツ
全国学力・学習状況調査によると、小・中学生の学力は高いにもかかわらず、学ぶ意欲や自己肯定感が伸び悩む芦屋市。主体性を育み、社会とつながる学びを実現するために、企業と連携し、新たな学習コンテンツの活用に取り組んでいる。
※下記はジチタイワークスVol.41(2025年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]株式会社ベネッセコーポレーション

芦屋市
教育委員会
教育長 野村 大祐(のむら だいすけ)さん

芦屋市
教育委員会
学校教育室 学校教育課
課長 尾上 昌希(おのうえ まさき)さん

芦屋市
教育委員会
学校教育室 学校教育課
主査 甘利 大紀(あまり ひろのり)さん
芦屋市が目指す教育
「自分と地球の未来を、探究と創造を通じて切り拓く市民」を育むことを教育大綱に掲げる同市。子どもの個性や興味関心を踏まえた最適な学びの環境づくりを目指している。
受け身の学びから、子どもが身を乗り出す“本物の学び”への転換を。
「当市は学力が高い傾向にはあるものの、子どもたちが学ぶ意義を感じられず、自己肯定感も育ちにくい状況に危機感を抱いていました」と野村さん。現状の学校教育ではどうしても、教員が教え、子どもが聞くという受け身の学習になりがちだ。しかし自己肯定感を育むには、子どもが主体的に学んで挑戦し、“できた”と実感する機会が必要だという。
ただ一方で、子どもにいきなり主体性を求めるのは現実的ではないとも話す。同市では、まずは大人が子どもに寄り添い、安心して学べる環境を整えることが出発点になると考えている。子どもが“この場所で、この仲間となら自分らしく学べる”と感じることで、主体的な学びにつながっていくという。「大人の学びと子どもの学びは相似形だと考えています」。同市では、教員が希望して参加できる研究制度があり、子どもの主体性の育成につながる内容であれば、自由に研究や実践を進められる仕組みを整えている。「教員が、子どもに委ねる授業づくりを主体的に行うことで、子どもたちにも自然と“主体性とはどのようなものか”が伝わっていくと考えています」。

前例踏襲の調べ学習から脱却し、企業とともに新たな学びに挑む。
様々な取り組みを進めてきた一方、依然として課題も残る。例えば「総合的な学習の時間」は、問いを立て、自分で考え、体験を通して学ぶ場であるはずが、長年続く中で形骸化の傾向が見られるという。「“こう進めるものだ”という型が出来上がり、前例を踏襲した授業になりがちです。子どもが自ら発見したり、探り当てたりする過程が薄れているように感じていました」。その結果、探究が自分事にならず、表面的な調べ学習にとどまるケースも少なくない。「もっと実際の社会課題を題材にしたり、フィールドワークにつなげたりするような、アクティブな学びが必要ではないかと考えました」。
とはいえ、現場の教員だけで新しい探究の形を生み出し、授業に落とし込むのは容易ではない。たとえ“いい問い”が見つかったとしても、それを授業にまで発展させる時間やノウハウが不足しているのが実情だ。そうした折、「ベネッセコーポレーション」の提案で、「認証コーヒー」の普及に取り組む企業とともに、環境問題について考える教材を開発する機会を得た。提案を受け、「またとないチャンスだと感じました」と尾上さんは振り返る。同市には企業が少ないため、教材を通して企業が抱えるリアルな課題に触れられる点に魅力を感じたという。
探究の難しさや面白さを体験し、社会の一員としての実感を得る。
授業では、環境に配慮した栽培方法や生産者支援など、基準を満たしたコーヒーの広め方について、中学生が調査や提案に取り組む。環境問題という大きなテーマも、コーヒーという身近な題材から考えることで、具体的に理解しやすくなるのだという。
「教材づくりでは“探究サイクルの獲得”“難しさや面白さの発見”“社会の一員という実感”の3点を重視していました」と甘利さん。課題を見つけ、情報を集め、整理・分析し、発表につなげる一連のサイクルを通じて探究の基盤を養う。思うように進まない過程や仲間との協力もまた探究の面白さだ。今回は、提案に対し企業からフィードバックを受ける機会を設定。子どもたちが、“自分の考えが社会に役立っている”と実感でき、自己肯定感の向上にもつながるという。「社会課題をはじめ、簡単に答えが見つからないものは、世の中にたくさんあります。“大人も悩みながら、課題に取り組み、社会で生きている”ということを味わってほしいと思います」。
野村さんは「社会から求められる力を受け身で習得するのではなく、子ども自身が課題に向き合い、主体的に学ぶ力を身に付けてほしい。そうした子どもたちが社会へ羽ばたくことで、教育から社会をつくっていけると信じています」と力を込めた。

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活用方法
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- グループでの協働学習
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