まず、職員たちは市民が滞納を繰り返す背景に目を向けた。そこには「親の介護」や「子どもの引きこもり」など、さまざまな社会問題があった。これまでもこういった相談を聞いてはいたが、体制が整っていなかったため、解決の糸口を見つけることができずにいたのだ。この状況を目の当たりにした職員らは、納税が困難なほど経済的に困窮している滞納者の生活に関する悩みとしっかり向き合おうと決意。「多機関型地域包括支援センター」や「生活支援相談センター」といった相談機関と連携し、滞納者一人ひとりが抱えている問題と向き合い解決することで滞納者が納税者になるための体制を構築した。
プロジェクトの要となるのはA4判で作られた1枚の「困りごと相談連絡票」。滞納者には、ここに書かれた「借金の返済」「家族(引きこもり・暴力)」「病気(入通院)」「障害(本人・家族)」「仕事・就職・社会参加」「介護」「子育て」「ひとり親」の中から相談したい内容にチェックを入れてもらう。そして、その内容を本人同意のもとで関係機関につなぎ、滞納者はそこで解決策や支援を模索するのだ。現在までに12件の案件を必要な機関につないでいるという。「今後も取り組みを続けて根本的な滞納原因の解決を目指したい」と、担当者は話す。
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連絡票は個人情報取扱事務届を出している