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岐阜県岐阜市

公開日:2023-10-16

子どもの関係機関が1カ所に集結し支援につながる初動を早める。

住民生活
読了まで:4分
子どもの関係機関が1カ所に集結し支援につながる初動を早める。

多分野の専門的支援が連携したワンストップ型の相談窓口

岐阜市では平成26年度に「子ども・若者総合支援センター」を開設。0~20歳前の子ども・若者とその家族を対象に相談・支援を行っている。相談窓口の一元化を目指した経緯や、その取り組みについて話を聞いた。

※下記はジチタイワークスVol.28(2023年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

教育と福祉の分野を融合した相談支援の総合窓口を設置。

子どもやその家族に関わる問題は多岐にわたり、一面的な支援だけでは根本的解決には至らない。子どもへの支援を充実させるため、ワンストップで相談できる総合的な窓口をつくるべきだという前市長の強い意向により、市中心部に開設された「エールぎふ(岐阜市子ども・若者総合支援センター)」。当時、4課あった教育と福祉の部署が統合され、臨床心理士、社会福祉士、保健師、スクールソーシャルワーカー(教員OB)など約120人の市の職員が勤務するほか、カウンセラー、小児科医・児童精神科医などの専門アドバイザーも配置。乳幼児相談・支援、家庭児童相談、発達支援、教育支援、才能伸長・自立支援という大きく5つの分野に分かれ、子どもの発達段階に応じた支援を継続的に行っている。

「教育も福祉も、これまで続けてきたやり方や強い思いがありました。統合に向けた打ち合わせを重ね、“利用者にとっての最適な支援とは何か”を重視して調整していきました」と原さん。

また、同センターは社会情勢の変化などにより生じてくる新たな課題にも対応していく“進化する組織”でなければならないという。「コロナ禍で、子どもの見守り機会が減少した際には、宅食支援事業を実施したほか、令和4年度からは、ヤングケアラーに向けた支援として、ヤングケアラー・コーディネーターを配置しました。そうして新たに出てきたニーズにも何が必要かを考え、柔軟に対応しています」と若井さんは話す。

児童相談所・県警の同居により児童虐待への取り組みを強化。

窓口への相談件数は年々増加しており、令和3年度以降、年間の相談・対応件数は延べ2万件を超える。中でも多いのが、児童虐待に対応している家庭児童相談係への相談だという。

令和4年度からは、子どもたちを虐待から守るため、施設内に「こどもサポート総合センター」を開設。「市の職員とともに、県の児童相談所(以下、児相)の職員や岐阜県警の少年育成支援官などが同フロアに常駐しており、児童虐待の通告を受けた際には、即座に合同緊急受理会議を行える体制を整えています」。同年に実施された会議の回数は389回。3者が把握している様々な情報をもとに、各機関の視点を入れることで、より適正なリスク判断と、これにもとづく迅速な初期対応ができるようになったそうだ。

「児相や県警と体制を組むまでは、それぞれの機関が連絡を取り合い対応していましたが、会議を重ね、実際に複数機関で対応する中で、市の職員の資質向上にもつながっています」。このように児相だけでなく、県警までもが一緒に業務を行うのは全国初の取り組みなのだとか。通告する側は、窓口が一元化されたことでどこに連絡すべきかという迷いがなくなり、職員も初動の時点から3者がいることで、継続支援の中での見落としがないような仕組みになっている。

子どもだけでなく保護者にも継続した切れ目のない支援を。

総合拠点が設置されたことで、窓口の“たらいまわし”を防ぐことにもつながっている。「今では市民、学校、保育所などの間で、子どものことで何か心配な状況があると、“まずはエールぎふに”という流れができています。今年で開設10年目を迎え、総合的な子ども・保護者の相談窓口であることが広まり、定着してきていると実感しています」。

認知の高まりによる、相談・対応件数の増加は、これまで支援につながっていなかった人が新たに支援対象者となったという点で、大きな成果だといえるだろう。「例えば中学卒業後、子どもの所属する場所が家庭だけになってしまうと、ひきこもりや自殺を図る行動など、様々なリスクに発展する可能性があります。在学中にエールぎふとつながることができれば、就職支援や自立支援など切れ目なく支えていくことができます」。

また、子どもの発達段階に応じた保護者の会も開催。「毎月テーマを変えて、不登校を経験されたお子さんや保護者からのお話、臨床心理士の講話などを行っています。その中でヒントを得ることができたり、話すだけでも気持ちが軽くなったりする方もいるようで、参加者は年々増えています」。

今後も相談・対応件数は増えていくことが予想されるが、課題となるのは専門性と質を保ちつつ、人員を確保すること。また、現在は保健所の管轄となっている母子保健分野についても、来年度には児童福祉分野と融合し、さらなる連携・支援につなげていくと語ってくれた。

岐阜市
子ども未来部 子ども・若者総合支援センター
左:所長
原 浩介(はら こうすけ)さん
右:副所長
若井 俊洋(わかい としひろ)さん

 

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住民窓口
教育学習
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