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茨城県守谷市

公開日:2023-08-18

災害対策と教育環境の課題を、LPガスによる発電で克服。

防災・危機管理
読了まで:4分
災害対策と教育環境の課題を、LPガスによる発電で克服。

自立発電ができるLPガス災害バルク

夏季の猛暑が続く日本列島。今後も気温上昇は避けられないとする予測がある中、守谷市では学校の子どもたちや災害時の避難者を守るために、LPガスを活用した空調整備に取り組んでいるという。市長の松丸さんにそのねらいを聞いた。

※下記はジチタイワークスVol.27(2023年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]一般社団法人全国LPガス協会、日本LPガス協会

災害時の大規模停電を教訓に、“自立型エネルギー”の導入を進める。

同市では、猛暑対策として学校への空調導入を進めてきた。市長就任前の議員時代から導入の提案を行ってきた松丸さんは、「全校整備は喫緊の課題でした」と振り返る。「児童生徒を守るために空調は不可欠。ただ、教室への設置が優先されるため、体育館は後まわしになっていました」。

しかし近年は暑さ指数が基準値を超え、体育の授業ができなくなることも増えていたという。「同時に、体育館は災害時の避難所でもあるため、その避難環境も整えたかった。当市は比較的災害が少ない地域ですが、近隣自治体で大規模水害が起こった際は、避難者を受け入れるという協定を結んでいます。こうした側面もあり、体育館の空調整備も急務となっていたのです」。

対策を練る中、同市が教訓にしたのは、東日本大震災で市内約7,100世帯が停電となった経験。また、令和元年の台風15号では、近隣自治体で大規模かつ長期間の停電が起きたことも記憶に新しかった。「避難所では既存インフラに頼らない自立型の電源が必須だと考え、解決策を模索しました」。この条件のもと様々な手段を吟味し、同市が出した答えはLPガスによる空調、GHP(ガスヒートポンプエアコン)だった。

平時からフェーズフリーで運用し、いざというときを乗り越える。

GHPは、シリンダーや災害バルクなどに備蓄したLPガスで空調の稼働や発電ができる装置。集団配管でなく個別供給型であるLPガスは災害時に復旧が早く、家庭用などで一般的なEHP(電気式ヒートポンプエアコン)と比較してもランニングコストが低いという。さらに補助金が活用できる点も大きいと松丸さんは話す。「経済産業省の補助金で、設置費用の50%がカバーされます。全体コストを抑える上で非常に有効です」。

令和4年度は夏頃から大野小学校・高野小学校の2校でLPガス仕様GHPの工事に着手し、令和5年2月から運転を開始。まずは卒業式や地域のイベントで暖房として運転し、保護者にも喜ばれたという。「こうして必要に応じて空調を稼動させることが、“災害が発生した場合の備え”になる。いわゆるフェーズフリーでの運用です。

▲LPガス仕様の空調を導入した大野小学校

以前、当市の施設に備えていた非常用発電機が、点検時に作動しなかったことがありました。いざというときに使えなければ、備えも意味をなしません。日常的に使うことで、こうしたトラブルも防ぐことができるでしょう」。夏の冷房では、児童生徒の健康を守りつつ、猛暑時も体育の授業が継続できることを期待しているという。

市民と知恵を出し合って進めるオーダーメイドのまちづくり。

学校の改修工事の進捗に合わせ、体育館空調の導入を順次進めている同市。「市民の防災意識の向上や、避難行動要支援者へのサポートに力を入れつつ、避難所の環境は今後も充実させていきます。特に自立型エネルギーであるLPガスは、レジリエンス、災害時の回復力に優れているので、今後も重要な手段の一つになるでしょう」と評価する。

また、施策を進める上で大切なのは“市民との一体感”だと松丸さんは強調する。「当市は段階的に都市開発を進めてきたため、地域によって、高齢者が多い、子育て世帯が多いなど、個々の特徴があります。各地域のまちづくり協議会と連携し、防災面でもそれぞれにフィットした施策を進める必要がある。こうした細やかな対応をする上で、GHPという選択肢が増えたのは心強いですね」。

限られた予算の中でも、災害対策と教育環境という異なる課題を、レジリエンスとフェーズフリーの考え方で解消していく同市の取り組み。シティプロモーションで掲げる「守谷は、未来におせっかいです。」というメッセージの通り、自分たちの未来にコミットする姿勢のあらわれだといえるだろう。

守谷市 市長
松丸 修久(まつまるのぶひさ)さん

市長の声
当市は世代を問わず“住みやすい”と人気で、人口も順調に増えています。市の施策の中でも特に教育には力を入れており、「わくわく子育て王国もりや」の実現に向けてまちづくりを進めています。

補助事業の詳細を確認

経済産業省では、避難所などを対象に、LPガス災害バルクおよび関連設備の設置を支援している。詳細はエルピーガス振興センターのWEBサイトにて確認を。

補助事業活用実績

● 大阪府泉佐野市
● 広島県東広島市

ジチタイワークスVol.22でも活用事例を詳しく紹介!

 

お問い合わせ

サービス提供元一般社団法人全国LPガス協会

TEL:03-3593-3500
E-mail:hoangyoumu@japanlpg.or.jp
住所:東京都港区新橋1-18-6 共栄火災ビル7F

サービス提供元企業:日本LPガス協会
TEL:03-3503-5741
E-mail:info@j-lpgas.gr.jp
住所:東京都港区虎ノ門1-14-1 郵政福祉琴平ビル4F

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