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京都府

公開日:2023-06-20

要配慮者にも優しい避難所を設置・運営できる人材を育てる。

防災・危機管理
読了まで:4分
要配慮者にも優しい避難所を設置・運営できる人材を育てる。

京都府では「平時から要配慮者に優しい地域は、災害時にも優しい地域」をテーマに掲げ、要配慮者支援の担い手を育てる活動を行っている。その人材育成のあり方や、地域における活動について話を聞いた。

※下記はジチタイワークスVol.26(2023年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

避難所の環境や体制を見直し要配慮者への支援を進める。

平成23年の東日本大震災では、要配慮者も一般避難所で長期の生活を強いられた。そのため、体調不良や災害関連死につながるケースが増えたとされている。また、福祉専門職※1の人材不足という別課題も浮上したそうだ。震災以降、同府は原子力災害も視野に入れ、医療・福祉・行政による「京都府災害時要配慮者避難支援センター」を設置。大規模・広域災害時における要配慮者の避難・受け入れ調整、応援体制の構築を目指し、要配慮者の避難支援と、避難所での二次被害防止にあたってきた。

災害時に避難所となる体育館などは、要配慮者が長期の避難生活を送るには不向きだ。また、各市町村で整備が進んでいる福祉避難所も、一般住民が押し寄せ十分に機能しない可能性もある。「こうした状況を防ぐために、一般避難所をユニバーサルデザイン化することで、要配慮者を含めた様々な人が安心して過ごせる避難所になるのではないかと考えました」と石川さん。

そこで同府では、個別避難計画の作成を通じて、要配慮者とのリレーション構築を府内の市町村に求めてきた。同時に、避難所内の区画割りや段ボールベッド導入といったハード面だけでなく、ソフト面の対策として、福祉目線をもって避難所を運営していける人材育成にも力を入れてきたという。

※1 介護職員など、日常生活に寄り添った支援を行う専門の人材

要配慮者を福祉的な目線で支援できる人材育成に注力する。

避難所のユニバーサルデザイン化にあたっては、京都府建築士会、京都府社会福祉協議会、京都デザイン協会などの有識者が集う委員会により、全国の事例などを参考に検討を重ねたという。そして、平成25年に「福祉避難コーナー設置ガイドライン」を作成。平成28年に発生した熊本地震からの学びを受けて、平成31年にアップデート※2された。

長谷川さんは「避難所の運営を福祉的な目線で補助するとともに、要配慮者と支援者・行政とのつなぎ役になる人材を育成することが重要課題に位置付けられました。福祉避難サポートリーダーの養成は、ガイドライン作成の頃から実施してきました」と説明する。対象者は、行政や福祉施設、社会福祉協議会、学校など公的機関の職員。研修は同府の介護・地域福祉課(当時)で実施してきたが、地域に根付いた人材育成を目指すため、平成29年度からは府の保健所主体で実施。講師には、介護職員など福祉専門職で構成する災害派遣福祉チーム(以下、京都DWAT※3)を起用している。「府内にある約2,000カ所の避難所に対応できる人数を目指し、現在までに1,864人の福祉避難サポートリーダーを養成しています」と渡邊さん。

そのほかにも京都DWATは、上図のように各市町村とも連携し、避難所の設置・運営などを支援。府と市町村で重層的に支援できる体制を整えている。

※2 「避難所のユニバーサルデザインに向けた取組ガイドライン」に改称
※3 DWAT=Disaster Welfare Assistance Team

平時からつながりをもつことは地域づくりにもつながる。

渡邊さんは「幸いにも当府では近年大きな災害がなく、京都DWATの活動としては、熊本地震や西日本豪雨の際に現地へ赴き、福祉支援を行ってきました」と振り返る。当時、このような災害派遣福祉チームは全国でも少ない状況だったという。「チーム員が講演会などで災害時の経験を話す機会も多く、地域の防災力や防災意識が高まったという声が届いています。遠方でも依頼があれば、研修講師やファシリテーターとしての支援も積極的に行っており、当府エリアだけでなく広範囲にわたって防災に貢献できていると感じます」と長谷川さん。

今後の課題は、コロナ禍でストップしていた共同訓練を再開すること。「京都DWATと福祉避難サポートリーダーとの、日頃からの関係性が大切です。関係性が構築されていれば災害時に協力してもらいやすく、スムーズに支援が行えます」と石川さん。今後は福祉分野だけでなく、医療、リハビリの専門職など、様々な分野との連携も強化していくつもりだという。続けて渡邊さんは「平時からのつながりが、災害時に生きてくることは間違いありません。最近はそうしたつながりが、都会だけでなく地方でも薄れてきたことに危機感を覚えます。地域住民の高齢化という、避けて通れない壁も存在します。だからこそ、被災したときにどうなるか、何をしたらいいかを考えるきっかけとして、この事業は大きな役割があると思っています」と話す。

福祉避難サポートリーダーの存在は、要配慮者の支援だけにとどまらず、希薄化した地域コミュニティの再構築にも役立つのかもしれない。

京都府 健康福祉部 地域福祉推進課
地域福祉・福祉のまち推進係
中央:主事 石川 郁(いしかわ かおる)さん
社会福祉法人 京都府社会福祉協議会
総務部 福祉経営推進課
左:主事 長谷川 流星(はせがわ りゅうせい)さん
右:課長 渡邊 一真(わたなべ かずまさ)さん

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