ジチタイワークス

徳島県美馬市

「徴収業務でスキルアップしたい」プロ雀士公務員・山口 明大さんの仕事観【後編】

「ジチタイワークス無料名刺」をご利用いただいた方の声を聞く新企画の第2回。
今回は、プロ雀士「ルーラー山口」としても活動されている徳島県美馬市の山口 明大(やまぐち あきひろ)さんにインタビューした後編。名刺作成のこだわりポイントや今後の展望について、じっくりお話を伺いました。

▶インタビュー前編はコチラから 「徴収業務は天職です」プロ雀士公務員・山口 明大さんの仕事観【前編】

麻雀と病気の経験が仕事に活きている

ー 山口さんはプロ雀士としても活動されていますが、いつごろから麻雀に関わられているのでしょうか?
山口さん:岡山理科大学に進学した後、大学公認の麻雀サークルを立ち上げ、麻雀に関わるようになりました。実は、初めて名刺をつくったのは大学生のときなんです。
「ニューロン」という麻雀のアマチュア団体があり、西日本代表として麻雀の普及活動や大学麻雀サークルの設立支援に取り組んでいました。そのときに、ニューロン本部に名刺をつくってもらったんです。

▲対局中の様子

ー プロ雀士で公務員というプロフィールに最初は驚きました。
山口さん:一般社団法人日本プロ麻雀協会のプロテストに合格したのは1999年11月、市役所職員になったのは2001年4月なので、プロ雀士が公務員になったんです。今は副業の許可を得て活動しています。
ちなみに、プロ雀士の活動では報酬をもらわないようにしているのですが、手当として報酬をいただく場合は、骨髄バンクの啓発活動費や募金に充てています。また、特定非営利活動法人全国骨髄バンク推進連絡協議会の理事を務めているのですが、2019年に南米のパラグアイで開催されたWBMT(骨髄バンクの世界会議)に出席した際は、世界の方々に英語の名刺で挨拶させていただきました。

▲WBMTで登壇した際の様子

ー プロ雀士としてはどんな活動をされていますか?
山口さん:麻雀業界には、各団体でのリーグ戦やアマチュアも参加可能なトーナメント戦など、様々なタイトル戦があります。私はリーグ戦には参加していませんが、新型コロナウイルス感染症の影響が出るまでは、年に数回大会に出場していました。
また、2006年からは、たくさんの仲間とともに多くの企業の支援を得て、「骨髄バンクチャリティ麻雀大会」を毎年開催し、約700万円の募金が集まりました。実際にドナーになってくれた方もいるので、一定の効果はあったと思います。それが「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2019」の受賞理由の1つだったようです。

▲骨髄バンクチャリティ麻雀大会の様子

ー 山口さんのパーソナリティーと徴収業務がマッチしていると感じましたが、麻雀のテクニックが活きることもあるのでしょうか?
山口さん:間違いなく活きていますね。差し押さえは法律にのっとって実行すればいいのですが、滞納者との折衝や調査のスキルなどは対人能力やコミュニケーション能力が必要です。それは麻雀で培ったものだと私は感じています。

ー 仕事に活きている経験はほかにもありますか?
山口さん:大病を経験したことも仕事に活きています。「税金を払ってください」と伝えると「死ねって言うんですか」と逆ギレする滞納者もいます。簡単に「死ぬ」と言う人には、「闘病している人で生きたくても自分ではどうすることもできない人がいます。私も白血病でそうでした。自分の都合で買った車や住宅のローンを払うために税金は払えないという自分勝手な発言の後、軽々しく『死ぬ』なんて言葉を使うようでは相談に乗れません。」と厳しく言ったこともあります。
元白血病で公務員、さらにプロ雀士という変わった経歴の持ち主ということで、これまでも地元の新聞や雑誌、テレビ、ラジオで何度か取材を受けたことがあります。顔出しで「プロ雀士の美馬市職員・山口さん」と紹介されるんです。徳島新聞の県内普及率は全国トップの約60%なので、滞納者も読んでいます。新聞をきっかけに、反抗的だった滞納者と「苦労したんですね」と話すこともあるので、積極的にプライベートについて話すようにしています。病気になった当時はつらかったので、弱い立場の人の気持ちは自分なりに分かっているつもりです。

場面によって名刺を使い分けている

ー 色々な活動をされる中で、名刺をどう活用されていますか?
山口さん:私はいつも名刺を持ち歩いています。今は、仕事用・プライベート用・「ジチタイワークス無料名刺」さんにつくってもらった名刺の3種類を使い分けています。

ー 山口さんにとって名刺のメリットは何ですか?
山口さん:知ってもらうことですね。1回会って名前を聞いただけで相手のことを覚えられる人はなかなかいません。私は名刺をもらったら、会った場所を書くようにしていますし、最近では携帯のアプリで読み込んだりもしていますね。役所の窓口に行って名乗らない職員は、それだけで信用がないんですよね。自分の言ったことに責任を持つためにも名刺を渡して次につなげる。そうすると「あのときはお世話になりました」とコンタクトを取りやすくなります。機械ではなく人と仕事をしているので、名前を覚えたり覚えてもらったりする上で、名刺は非常に便利なんです。

ー 名刺を作成する上でこだわっている点はありますか?
山口さん:特にプライベート用の名刺は紙質にこだわっています。紙質やデザインがある程度しっかりしている名刺であれば、その人に対する信用度が上がるからです。すてきな名刺をもらうと、名刺だけでなくその人に対してもすてきだなと思います。
その一方、私たちは公務員なので、あまりにも高価な名刺を出してしまうと「税金を無駄遣いしている」と勘違いされてしまいます。そこで、滞納者の勤務先に給与の差し押さえに行く場合など、あえてシンプルな名刺を持っていくこともあります。相手は名刺でこちらを判断するので、名刺は使い分けていますね。

徴収業務で公務員としてスキルアップしたい

ー 今後の山口さんの展望を教えてください。
山口さん:徴収業務を通じて公務員としてスキルアップを実現したいと思っています。そのためにも、美馬市役所内だけではなく、色々な自治体の人とつながって良いところを吸収したいですね。そして、美馬市のために、自分がこれまでインプットしてきたものを、後輩たちにアウトプットしていきたいです。周りの自治体にも波及していき、きちんと税金を納めてくれている人が損をしない社会にしたいですね。

ー きちんと税金を払っている人が損をしない社会をつくる上で、徴収は本当に重要なお仕事なんですね。
山口さん:役所の中の仕事は大切な仕事ばかりですが、徴収は特に重要な仕事だと思います。やらなければ、市の収入がその分減るからです。また、本当に困っている人の声を聞き逃すことになります。
私はファイナンシャルプランナーの資格を持っています。例えば、住宅ローンはギリギリ払えるけれど固定資産税を払えない人がいた場合、収入や支出の情報をもとに適切なライフプランの提案をしたり、多重債務者には法テラスなど専門家の紹介をしたりすることで、生活再建の支援もしています。徴収業務は、税金を取るだけでなく、困っている人の悩みを聞き、生活スタイルを見直すお手伝いもできます。私たちにしかできないことなので、これもやりがいの1つです。

ー 最後に、全国の自治体職員へのメッセージをお願いします。
山口さん:公務員の中には、業務が多忙でメンタルダウンしている人もいます。でも、仕事で身体を壊したり、命を落としたりすることがあってはなりません。私もたまたま受けた検査で白血病が分かりました。具合が悪くなったり、調子がおかしいときは病院に行ったり、仲間に相談したりしてください。何をするにも健康第一です

おわりに

今回は、徳島県美馬市の山口明大さんにお話を伺った後編をお届けしました。
「名刺は信用度を上げるツール」という考え方や、「徴収業務を通じて公務員としてスキルアップを実現したい」という想いが印象的でした!
「ジチタイワークス無料名刺」をご利用いただいた方の声を聞く企画、今後も随時更新していきますので、ぜひお楽しみに!

プロフィール
徳島県美馬市
美馬市 債権収納対策推進プロジェクトチーム
保険福祉部 福祉事務所 生活福祉課
山口 明大(やまぐち あきひろ)さん

2001年、当時の徳島県脇町、現在の美馬市に入庁。同年、慢性骨髄性白血病を発症。2002年5月、骨髄バンクを通してドナーから骨髄の提供を受けて職場復帰を果たす。介護保険課、税務課、保険健康課、にぎわい交流課などを経て、現在は生活福祉課でケースワーカー業務を担当。2007年、出向先の徳島滞納整理機構の職員として総務省自治税務局長特別表彰を受賞。2019年7月、認定特定非営利活動法人全国骨髄バンク推進連絡協議会理事に就任。2019年11月、「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2019」を受賞。また、1999年よりプロ雀士として活動している。

 

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