昔に比べて制度が整い、男性の家事・育児参画も進んできたと言われているものの、その分「育児も家事もキャリアもすべて完璧に」と思い疲弊してしまったり、まだまだ家事・育児負担が女性にばかり重くのしかかったり…。
全国の公務員ママは何に悩み、またそれをどう乗り越えようとしているのか。
そこで本企画では、女性公務員のキャリアを考えるコミュニティ「もやもや公務員女子部」にご協力いただきアンケートを実施。公務員ママが何に悩み、問題意識を持っているのかを詳らかにしながら、乗り越えるためのコツやアイデアを紹介する。また、女性公務員向けの著作もある諫早市の村川美詠さんへのインタビュー記事も掲載、日々奮闘する公務員ママに向けて、ご自身の体験とアドバイスをいただいた。
第2回の今回は、公務員ママが仕事上で何を心がけて、どう工夫しているかを、アンケート結果をもとに紹介していく。
【公務員ママの「生きるヒント」】
(1)「自分の時間がゼロ」「夫婦格差にモヤモヤ」公務員ママのお悩み、大公開!
(2)両立のコツ&アイデア【お仕事編】←今回はココ
(3)両立のコツ&アイデア【プライベート編】
(4)「原動力は『怒りと悔しさ』」村川美詠さんインタビュー前編
(5)「いくらでも挽回するチャンスある」村川美詠さんインタビュー後編
1人で抱え込まない!チーム力を磨く
時間に制約があるからこそ、自分一人で抱え込まないことが大事。いざ自分がいなくなっても大丈夫なよう、積極的に情報を共有し、業務を止めない工夫をしている人が多かった。
・締切間際の仕事や対外的な仕事は、サブ担当と資料や情報を共有するようにしている。外せない外部との約束などはサブ担当、サブサブ担当の日程の空きまで確認してから予定を組み、最悪の状況でも対応できるようにしておく。(30代/子どもは5歳)
・まったくの残業ゼロだと仕事が回らないので、夫とお迎えを分担し、週に2回は残業できる日を作っている。周りにも残業できる日を伝えることで、「今日は早く帰りますが、明日中には仕上げられます」といった働き方ができている。(30代/子どもは2歳)
・私に限らず担当がいなくてもみんなが仕事内容を把握できるように定期的な打ち合わせを行っている。上司にも子供が3~4人いる人が多く、子育てに理解がある職場でとてもありがたい。
私も「後輩への道をつくっている」という気持ちで、積極的に育児休暇や育児部分休業を使っている。後輩の番になったらフォローして、恩送りをしたいと思っている。また、休み明けや都度感謝を伝えるようにしている。(40代/子どもは4歳、7歳)
・デスク周りの整理を常に心がけて、書類の場所をわかりやすくしておき、急に休んだ時でも電話で指示やお願いをしやすいようにしている。
仕事の質も、常に100%を目指さないこと、自分一人でこなそうとしないことを以前より心掛けるようになった。その方がチームとして高い成果が出せると感じている。(30代/子どもは1歳)
・業務の進捗状況や資料作成の注意事項などをメモ帳アプリでデータ化し、共用ファイルサーバーに保存している。(50代/子どもは21歳)
・やるべきことのリストアップを常にするようにした。また、資料は共有フォルダに入れるようにし、何かあっても、他の人がすぐに対応できるようにした。(30代/子どもは6歳、1歳)
仕事は前倒しして、常に余裕を持っておく
子どもの急な発熱など、突発的に休まざるを得ないのが公務員ママ。いざというとき慌てないよう、常に仕事は前倒しして、計画的に進めておくという声も。
・締め切りを3日ほど早めに設定し計画を組んでいる。完了していない仕事は、業務ごとにクリアファイルに入れ、机の定位置に置き、上司がわかるようにしている。(40代/子どもは12歳、6歳)
・いつ休んでもいいように、締め切り前に早めに仕事を進めるようにした。また、仕事の進捗などは、常に上司にこまめに報告。少しでも悩みがあるときは、早めに係に共有していた。(40代/子どもは15歳、18歳)
・早め早めに仕事を進めておく。自分の仕事の状況をタスク管理して、進捗状況を共有化して、急な休みにフォローしてもらうようにした。(40代/子どもは15歳、12歳)
丁寧かつオープンなコミュニケーションで、両立しやすい環境を構築
子どもの発熱などで、急なお休みや早帰りが発生してしまう公務員ママ。「周りへ迷惑をかけてるのでは」と気になるところだけれど、普段から丁寧かつオープンにコミュニケーションを取ることで、理解を得られるよう工夫している声も多い。また、自分に余力があるときは、積極的に仕事を引き受け、イーブンになるようにしているとの声も。
・普段から、誰の業務かわからない浮いた案件を積極的に受けることで、自分が困ったときにお願いしやすい環境をつくっている。どうしても対応が必要なときは、リモートワークが可能なので子どもが寝てから仕事をすることも。
その他、VBAなどを用いて、できるかぎり定型的な作業に時間をかけないようにしている。(30代/子どもは2歳)
・子供の発熱に備え、適宜仕事の資料を整理したり同僚に分かりやすい状況にすることを心がけている。また、周囲に雑談がてら子供の状況を伝えている。(30代/子どもは0歳2ヶ月、2歳)
・以前は残業して達成していた業務も限られた時間でこなさなくてはならない。焦る気持ちも生まれるが、その気持ちはなるべく抑えるようにしている。そして、職場の方や業務で関わる方々と「丁寧な対話」をするよう心がけている。限られた時間しかない、ご迷惑をかけてしまうかもしれない、それでも出来ることはできる限りやりたい。対話のなかで、その気持ちが伝わっていたらいいなと思っている。(30代/子どもは1歳)
・学校行事やPTA活動で朝遅い出勤になるときや休暇を取るとき、予定表で早めに共有し、口頭でも説明している。(年齢非公開/子どもは12歳、7歳)
・日頃から家庭状況を周囲に共有し、無理のないスケジュールを組む様にしている。また出来る時は周囲のサポートをする様に声かけをしている。(30代/子どもは8歳、6歳、0歳)
・普段からできることは積極的に手伝ったり、人間関係を円滑にするように心がけた(40代/子どもは15歳、12歳)
・うまく両立できずに悩んでいた時、「すべてを完璧にやらなくて良いんだよ」という上司の言葉に救われた。同じ職場の人のちょっとした一言が心の支えになる。後輩たちが私と同じような悩みを抱えずに済むよう、サポートしたい。(50代/子どもは21歳)
忙しいからこそ、新しいチャレンジに踏み出す
ピンチはチャンス。時間がないからこそ生産性を上げるチャレンジをしたり、困難な状況だからこそ、やりたいことに気づいたり。チャレンジのための一歩を踏み出す話も紹介。
・マミートラックを脱出するために職員応募制度にチャレンジした。(40代/子どもは15歳、12歳)
・両立に悩むママ向けのキャリアと健康を考える場も作りたいと地域の仲間に相談中。(40代/子どもは15歳、12歳)
・積極的に在宅勤務を取り入れ、将来的には庁内の在宅勤務のハードルを下げられるようになれればと思っている。(30代/子どもは1歳)
頼る力、段取り力、調整能力…限られた時間で成果を出さなくてはいけない公務員ママだからこそ、身についた力も多いはず。次回はプライベートでのコツ&アイデアを紹介。