ジチタイワークス

茨城県龍ケ崎市

LINEで完結する予約システムの導入で、幅広い世代が使いやすい施設に。

操作が簡単でシニア層にも普及しやすいスマホ市役所

DXで忘れてはならないのが、デジタルデバイドへの対応だ。龍ケ崎市では、高齢者の利用も多いコミュニティセンター(以下、コミセン)の予約にデジタルを活用し、幅広い年齢層から高い満足度が得られているという。

※下記はジチタイワークスVol.40(2025年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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龍ケ崎市
左:市民経済部 地域づくり推進課
副主幹 小川 啓裕(おがわ あきひろ)さん
右:総合政策部 デジタル都市推進課
主幹 宮本 翔太(みやもと しょうた)さん

施設予約で朝から行列ができる状況をDX担当職員との連携で解消していく。

市内に13カ所のコミセンをもつ同市。各施設はサークル活動などでにぎわっているが、施設予約には課題を抱えていたと小川さんは語る。「1カ月前から予約が可能ですが、所定の申請用紙に記入して窓口で先着順の受付という運用だったので、開館前から行列ができていました」。住民の利便性向上のため、オンライン予約の導入を考えたが、懸念点があったという。「複数のWEBシステムやアプリを検討しましたが、インストールや会員登録、パスワード管理などが必要です。コミセンは高齢者の利用も多いので、浸透するのか不安でした」。

そんな中、DX担当の宮本さんが提案したのが、LINEを活用した“スマホ市役所”で知られる、「ボットエクスプレス」の「ガブテックエクスプレス」だった。「LINEは高齢者のユーザーも多く、登録にメールアドレスなどが不要。当市の公式LINEには約4万人の友だち登録者がおり、人口の50%以上です。過去に新型コロナワクチンの接種予約で高齢者の利用実績が十分にあったため、コミセン予約にもこのシステムがよいのではと考えました」と宮本さん。すでに取得していたアカウントを利用して、追加費用なしで機能が増やせることも後押しとなり、小川さんは施設予約機能の開発に挑戦。同社のサポートを受けつつ約1カ月で構築し、令和6年7月と10月から、それぞれ1施設を選定してコミセン予約の実証実験を行った。

職員によるサポートを徹底したが、それでも現場の業務負担は軽減した。

この機能では、まず利用者に団体登録をしてもらい、予約の際にコミセン名や団体名、利用希望日時などを一問一答で選択していけば手続きが完了。希望者が多い場合はシステムが抽選を行い、当落通知やキャンセル待ちまで自動対応する。「オンラインと紙が混在すると業務が複雑になるため、オンライン予約の利用率100%を目指し、高齢者も使いやすい画面づくりに努めました」と小川さん。

また、操作に不慣れな人には、コミセン職員が登録や予約を一緒に行うなど、サポートを徹底。丁寧な対応を続けた結果、“早朝に並ばなくてよくなった”“出先でも予約ができる”などの好反応が増えていったという。「コミセンまで出向く手間が省け、開館時間を気にせずに休館日でも予約ができる。その便利さが理解されたのだと思います」。

従来の予約方法も可能にはしているが、地道なサポートの結果、実証実験開始から1年経過時点で、目標の“オンライン予約100%”を達成できているという。「アンケートでは、約91%が“便利になった”との回答でした。コミセン職員からは、受付事務が簡略化されて、時間を有効活用できるようになったと聞いています」と笑顔を浮かべる。

取り組みを通して気づかされた高齢者に対する先入観とは。

実証実験を経て、令和7年4月より本格運用を開始。年度内には全てのコミセンにオンライン予約を導入予定だという。また、副次効果として30~40代のコミセン利用が増加。予約のために朝から並ぶのが難しかった層が、オンライン化により利用しやすくなったようだ。

順調に進んでいる同市の取り組みだが、実証実験の前は不安もあったと明かす。「以前は、“高齢者にデジタルは敬遠される”と考えていました。しかしこれは漠然とした先入観だったと思います。アンケートの回答では、操作が“ 簡単だった”と“普通だった”を合わせて約85%になりました」。この発見も、実証実験の大きな成果だといえるだろう。宮本さんは、「利用者と職員、双方の負担が軽減できたのが何よりの収穫です。スタート時は大変でも、いずれメリットがあるのがDXの醍醐味だと、改めて感じています」と取り組みを振り返る。今後はコミセンだけでなく、消防団員証の電子化や、補助金交付申請のオンライン化なども構想中だという。これまでの取り組みで得た手応えは、DXの加速を力強く後押ししているようだ。

 

スマートロック連携で鍵の受け渡しが不要に

■担当者が解説!
長野県中野市
文化スポーツ振興課
阿藤 貴洋(あとう たかひろ)さん

年間約130万円のコスト削減に
これまでは夜間の予約があると、17時から22時まで管理人が常駐していました。令和7年4月から廃止し、年間約130万円のコスト削減につながっています。利用者からは、“現地へ直接行けるようになり、移動時間の短縮になった”“窓口の営業時間を気にせずに予約やキャンセルができ、すごく利用しやすくなった”との声が届いています。現在、ほかの体育施設にもLINE予約とスマートロックの導入を進めているところです。利便性向上を図り、利用者の増加と満足度向上につなげていきたいですね。

 

住民に喜ばれるLINE手続きを全国の職員が開発中

行政特化型で、自治体業務にマッチした機能が数多くある同サービス。職員自身がノーコードで開発でき、自由にパーツを組み合わせて業務に即した機能をつくることができる。


 

ジチタイワークスVol.31で総社市を取材した記事は▶こちら

ジチタイワークスVol.39で岩手県を取材した記事は▶こちら

職員同士の支え合いやAIのサポートで機能開発がスムーズにできる仕組み

手軽なノーコードツールだが、さらに開発のハードルを下げるために様々な仕組みを用意。追加料金なしで全てのサポートが受けられる。

 

導入自治体の担当者に聞く! ガブテックエクスプレスを選んだ理由と運用法

京都府長岡京市 デジタル戦略課
井手 竜太(いで りゅうた)さん
●導入時期:令和3年3月
●友だち数:約105,200人


北海道函館市 地域デジタル課
松林 静輝(まつばやし よしき)さん
●導入時期:令和6年1月
●友だち数:約40,500人

※友だち数はいずれも令和7年8月時点
 

―ガブテックエクスプレス(以下、GE)導入のきっかけは?

井手:令和2年3月、コロナ禍での広報をスピーディに行おうと、公式LINEを開設しました。その後、ワクチン接種予約の仕組みを検討した結果、令和¥3年¥3月にGEを導入しています。

松林:当市では令和4年9月に広報ツールとしてLINEを導入。しかし市民アンケートでは“オンライン申請がしたい”という要望が多かったのです。別のLINE拡張ツールを利用していましたが、令和55年度にプロポーザルを行い、GEに切り替えました。

―選定時の決め手は?

井手:申請が一問一答形式で分かりやすく、予約前日の通知や、双方向のやりとりも可能。決め手は色々ありますが、“市民にとって最も使いやすいサービスは何か”を重視した結果です。

松林:機能の数に制限がなかったこと、他自治体が開発した機能をコピーできる点などを評価しました。

―セキュリティ面に不安はありませんでしたか。

井手:データの保存先がLINEのサーバーではなく、ISMAP※1に登録済みのデータセンターなのが、安心材料になりました。
※1 ISMAP=Information system Security Management and Assessment Program(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)

松林:同じくです。

―機能を開発する際の難易度はいかがですか。

松林:切り替えと同時にマイナンバーカード認証機能とキャッシュレス決済を導入しましたが、開発は思ったより難しくなかったんです。あれ?なんだかできちゃった、という感じでした。

井手:当市では管理上、主に私が開発をしていましたが、最近はExcelでも機能開発できるので(左ページ参照)、今はほかの職員も含めて、組織として取り組んでいます。開発しやすい環境を同社が整えてくれるので、ありがたいですね。

―長岡京市は人口約8万人ですが、友だち数はそれ以上ですね。

井手:導入後2年で友だち数が約8万人になりました。ワクチン接種予約やプレミアム付き商品券事業をLINEで行ったことが主な要因ですが、その後も毎年、約1万人ずつ増えています。施設予約機能を市外の人も利用していることや、高齢者向けスマホ教室でLINE申請の方法を伝えていること、子育て世代が利用する各種申請の利便性が高いことが、大きく寄与しています。

―函館市は、公式LINEの取り組みが評価され、日本DX大賞2025で受賞※2したそうですね。

松林:受賞したのは、当課と母子保健課が連携して、妊娠期から就学前までの行政手続きをデジタル化した取り組みです。市民の声をもとに、使いやすさやデザインにこだわった点、職員自らがスピーディに開発・改善を重ねた点が評価されました。
※2 日本DX大賞2025「 地域DX部門 優秀賞」、同日開催の第3回日本ノーコード大賞「 自治体部門 大賞」をダブル受賞

―今後の展望と、全国の職員にメッセージを。

井手:職員の頑張り次第で、市民の反応が目に見えて変わることが最大の醍醐味です。現在はLINE上で100以上の手続きが可能ですが、入力項目を減らすなど、さらに使いやすく改善予定。市民の不便を当たり前にせず、より便利な仕組みに変えていきたいですね。来年度に向け、AI機能の活用も視野に入れています。

松林:自分自身がつくった機能が、市民の生活に直結する。やりがいは大きいです。開発は簡単なので、まずはテスト版を作成して、原課に実物を見せて意見をもらいながらブラッシュアップしていくと、効率がいいですよ。現在は友だち数の増加が目標。やさしい行政サービスを、ともにつくっていきましょう。

 


▲二次元コードは画像をクリックorタップでも開くことができます。

 


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