
課税処理を代行する業務支援サービス
池田市の課税課では、個人住民税の年度当初の課税に向けた業務が集中する時期に、残業や休日出勤が常態化していた。そこで、環境を変えるため外部委託に着手。経験豊富な民間企業の力を借り、質を保ちつつ負担軽減を実現したという。
※下記はジチタイワークスVol.39(2025年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]アデコ株式会社
池田市
総務部 課税課
左:副主幹 西田 善勝(にしだ よしかつ)さん
右:主事 阪上 翔太(さかがみ しょうた)さん
常態化した長時間労働に限界を感じ、実績ある企業に力を借りようと決断。
例年2~4月は、住民税の申告書対応などが集中する税務の繁忙期。同市の課税課では、この時期の職員1人当たりの残業が月100時間を超えていたという。「毎年3月後半から4月にかけての最繁忙期は土日も出勤が続き、1カ月間ほぼ休みなく働いていました」と西田さん。人手不足を補うため臨時職員を採用していたが、募集や教育に職員の手が取られてしまう。税務の知識が必要な業務が多く、任せられる範囲にも限界があった。「臨時職員には助けられていましたが、職員の負担を大きく減らすには至りませんでした」とも振り返る。
職員の健康に悪影響を及ぼしかねない危機感から、専門的なノウハウをもつ民間企業の力を借りようと外部委託を決断。まずは業務の棚卸しを行い、職員しかできないコア業務と委託可能な作業を明確に分けた。最終的に、郵便物の仕分けや課税資料の補記、不備の確認対応などを委託対象業務にしたという。複数の民間企業を比較検討した結果、専門人材を擁し豊富な実績をもつ「adecco(アデコ)」に依頼を決定。全国での税関連業務の受託実績に加え、専門スキルをもつスーパーバイザーが多数在籍している体制は、ほかにはない安心材料となったそうだ。
毎朝の打ち合わせで連携を深め、業務のスピードと質も向上。
当初は、同社との連携について不安を抱いていたという。しかし、準備期間中に担当者が何度も市役所を訪れ、現場の業務やシステムを丁寧に確認。密な打ち合わせを重ね、信頼関係を築くことができたそうだ。
また、市が用意した作業手順書をもとに、同社がマニュアルを整備。「図を使い、誰が見ても分かりやすい、実務に即したマニュアルをつくってくれました」と西田さん。完成したマニュアルは、ほかの職員からの評価も高かったという。阪上さんは「異動してきたばかりの職員でも、知識の習得に役立てるなど十分に活用できる内容です。今回の委託に限らず、この先も使える応用の利くマニュアルを提供してもらえたと感じています」と話す。
業務を開始してからは、毎朝のミーティングが大きな役割を果たした。「進捗や優先順位の確認など、気になる点をその場で共有できたため安心感がありました」。作業量に応じた人員の配置をはじめ、状況に合わせて即座に対応してくれる柔軟性にも驚いたという。また、スタッフ同士によるダブルチェック体制が整えられており、「成果物の品質が高く、ミスなく納品されて助かりました」。
業務の委託により時間が生まれ、対応の質を高める余裕ができた。
委託により、月平均100時間あった残業をこの3カ月間で月平均10時間まで削減。休日出勤もほとんどなくなり、職員は本来担うべき業務に集中できるようになったという。精神的な負荷も減り、より丁寧に市民と向き合えるようになったそうだ。
一方で、委託実現にあたっては予算面の工夫も必要だった。「財源に余裕があるわけではなく、新たな予算を確保するのは難しい状況でした。そこで、これまで時間外手当や臨時職員の人件費に充てていた分を委託費に振り替える形で対応しました」。限られた財源の中でも、工夫次第で可能性が広がることを実感したという。
さらに、“この業務を本当に職員がやるべきか”という視点も生まれたそうだ。「慣例で職員が対応していた業務も、見直してみると外部に任せられる部分が意外と多いと気づきました」と西田さん。一方で、課税業務はミスが許されないため、委託するのが不安な自治体は少なくないだろう。「私たちも以前は同じような不安を抱えていました。だからこそ、専門性や実績のある民間企業の存在を知ることが、一歩を踏み出すきっかけになればと思います」。
委託可能な業務の例
● 税務業務
● 総務事務
● 子ども子育て関連業務
● 申請受付業務
● コールセンター業務
● RPO(職員の採用代行業務)
● BPR(業務改善提案)
● 就労支援
● 各種給付金業務
万全の受託体制
全国にBPOセンターが5カ所あり、業務の安定運用と災害時のBCP(事業継続)にも対応。
大阪 北浜BPOセンター(220席)
本町BPOセンター(90席)
東京 池袋BPOセンター(550席)
木場BPOセンター(550席)
沖縄 浦添BPOセンター(44席)