
ATMを活用した口座不要の現金受け取りサービス
給付金事務の効率化を図るため、明石市では銀行口座を使わない送金方法を導入。LINE申請との組み合わせにより、最短4日で現金を給付できる仕組みが整ったという。スムーズな運用につながった経緯を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.38(2025年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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左:こども局 子育て支援室
こども政策課
係長 島田 創和(しまだ そうわ)さん
右:総務局 総務管理室
デジタル推進課
係長 佐伯 竜也(さえき たつや)さん
口座振込は確認や処理の手間が多く、給付までに約1カ月かかっていた。
手厚い子育て政策で知られる同市。出生数が増え、事務の効率化が急務だったという。「特に、令和5年1月に始まった出産・子育て応援給付金事業では、年間約5,400件の手続きが発生します。申請~給付に約1カ月かかっており、迅速化も課題でした」と、こども政策課の島田さんは振り返る。
従来の申請方法はWEBと紙の2種類。給付方法は口座振込のみで、口座情報が確認できる画像やコピーを受け取り、2人体制で記載内容と読み合わせる作業が必要なのだという。しかも、そのうち約5%には不備や不明点があり、電話をしてもつながらず、対応が遅れることも多かったそうだ。
「結婚直後で口座の名字を変更していない人がいたり、添付画像では支店名や口座番号が確認できなかったりして、再提出を依頼するケースが少なくありません。外国人の方だと住民票と口座のカタカナ表記が異なることがあり、振り込みできずに戻ってくるケースも発生していました」。
そこで同市は、より簡単な給付方法を模索。クーポンなども検討する中で注目したのが「ATM受取」だった。同サービスは、セブン銀行ATMに番号を入力するだけで現金を受け取れる仕組み。自治体・住民ともに同行の口座開設は不要で、原則として24時間365日受け取りができるという。
ATMを活用した給付方法を採用し、市公式LINEからの申請も可能に。
時を同じくして、デジタル推進課では市公式LINEの開設準備が進んでいた。「LINEと子育て世代は相性がいいと考え、LINE申請とATM受取を一緒に導入することにしました」と、デジタル推進課の佐伯さん。準備にあたっては、同課がシステムやセキュリティ面の調整を支援したという。島田さんは、「セキュリティの技術的な課題など、私たちの専門分野ではないところでやや苦労していたのです。デジタル推進課などの情報部門が関わってくれたことで、スムーズに進められて助かりました」と話す。利用者の負担を減らすため、申請時の入力項目を最小限に絞る工夫も施した。住所などの入力を不要とし、最低限の入力項目のみで申請が完了する仕様にしたという。
なお、申請書に同封した案内資料には、“本人名義の口座をお持ちでない方やお急ぎの方は、ATM受取をご利用ください”といった内容を記載。「あれこれ書きすぎると分かりにくくなるため、ポイントを絞りつつ、操作画面の画像を多めにして、イメージしやすいように工夫しました」。妊産婦との面談を行う母子保健部門にも仕組みを伝え、スムーズに案内できるよう準備を整えたという。
99.9%がオンライン申請になり4人に1人がATMで受け取り。
令和6年10月から、LINE申請とATM受取が始まった。すると、申請の99.9%がLINEやWEB経由となり、紙申請は0.1%まで激減。「従来は、口座がない人は紙申請しかできず、委任状の提出も必要でした。ATM受取なら口座不要なので、LINE申請が増えたのだと思います」。不備の連絡もLINEで行えるため、当日中に返答があることも多く、対応がスムーズになったという。
ATM受取の利用者は開始から4カ月で24.3%に達し、事務の効率化や給付の迅速化につながっている。「口座情報の確認が要らないのでラクになりました。会計処理の時間も不要なので、今では最短4日で給付できています」。
佐伯さんは「実は始まるまでは、色々と問題が出るのではと思っていました」と打ち明ける。ところが、ほぼ問い合わせはなく、LINEの友だち登録も増えていることから、手応えを感じているそうだ。「新しい取り組みはリスクが気になると思いますが、若い世代向けなど、対象を絞って挑戦してみるといいのではないでしょうか」。島田さんも「効率化だけでなく、住民の選択肢が増え、利便性を向上できました。今後も前例にとらわれず、新しいことを取り入れていきたいです」と展望を語ってくれた。
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