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上司ならではの職場の雰囲気づくり。【連載第4回】

入庁したての若手職員も、何年かすれば後輩ができ、やがて上司という立場になる日がやってくる。「自分が人の面倒を見ることができるのだろうか……」「先輩・上司という立場が大変そう……」と、戸惑いや不安を感じる人も少なくないだろう。

前回は、部下を育てる「プラスひと言」について紹介したが、今回は、芳賀さんが元気で明るい上司から学んだ仕事術についてお話しいただいた。

※掲載情報は公開日時点のものです  

解説するのはこの方
芳賀 健人(はが けんと)さん
元 島根県総務部財政課課長。福島県出身。平成25年に総務省に入省。長崎県、大臣官房、自治行政局などで勤務後、平成31年4月から令和5年3月まで島根県に出向。

出向中、若手職員向けに仕事の仕方の連載に取り組み、『知っていると仕事がはかどる 若手公務員が失敗から学んだ一工夫』『自分も後輩も一緒に育つ若手公務員がはじめて仕事を教えるときの一工夫』(ぎょうせい)を出版。高等学校教諭一種免許(公民)取得。

ムードメーカーな独り言。

私がその係長とご一緒したとき、その元気さに驚きました。

職場では声をよく出していて、独り言をいいながらパソコンに向き合っています。「やらなきゃ!」「困ったなあ!」「よし、やるぞ!」そんな言葉が職場に響きます。

独り言というとネガティブな印象もあるかもしれません。ただその人は明るいキャラクターで、職場の皆さんも嫌な気持ちは一切していません。

むしろ周囲の方が、「『よし、やるぞ!』というかけ声を聞くと、気持ちが引き締まり、自分も頑張ろうと思えた」と話しており、刺激になっているのだなと思いました。加えて、自然と職場に活気も生まれていました。

係長が「困った!」と言うと、周囲が、「何か手伝いますか?」「コピーしますよ」「その電話、私しますね」と自主的に声をかけ合って動き、そのコミュニケーションでテンポよく仕事が進みます。自分の仕事だけでなく、お互いの仕事に少しずつ関心がもたれるようです。

気づけばその上司以外でも誰かが困ったら皆で助ける、チームワークのいい職場になっていました。

声をかけ合う様子

明るく、前向きな上司を目指して。

そんな係長からは、上司としての心持ちを学びました。

というのも、上司になって改めて思いますが、自分の出す雰囲気はチームに影響を与えます。私としては、部下の皆さんに伸び伸び仕事をしてもらうことが、能力を引き出し、チームのパフォーマンスを高めるのではと考えました。

そこで今はこの上司を見習い、“明るく、前向きに”を心がけています。

まずは「明るく」。例えば、部下が協議に来たら、笑顔で「どうぞ」と迎える。協議中も冗談を言うなど、和やかに仕事ができるようにする。

面倒な案件も、笑いに変えることで乗り切れることがありますし、部下が思い悩んでいても、少しでも明るくしてあげたいと思っています。

次に「前向きに」。どうせ同じ仕事なら、前向きに取り組んだほうが張り合いもでて、楽しいと思います。そのため部下の皆さんには、所々で「今が頑張りどころ。しっかりやろう」「乗り越えたらラクになるはず」などのメッセージを伝えることを心がけています。もちろん、自分に言い聞かせる意味も込めてです。

イメージとしては、過去ではなく未来に目を向ける言葉、そして、チームの士気を高める言葉を選ぶようにしています。

ちなみにその数年後、ある組織の幹部級の方に仕事の心構えを伺った際、「明るく、楽しく、元気よく」とおっしゃっていました。上司2人に通じた考えを見つけることができたことに感銘を受け、私自身改めて、“明るく、前向きに”というフレーズを大切にするようになりました。

今回はここまで。次回は、部下が相談しやすい雰囲気づくりのヒントをご紹介します。
 

上司ならではの職場の雰囲気づくり_第4回

 

次回へ続く

“相談しやすい上司”とは?信頼関係を築くヒント_第5回
【連載第5回】“相談しやすい上司”とは?信頼関係を築くヒント。 Coming Soon

 

- 書籍紹介 -

  『自分も後輩も一緒に育つ 若手公務員がはじめて仕事を教えるときの一工夫』
 
 (ぎょうせい、2,530円 税込)

  本書は、後輩指導が加わった若手職員の悩みを解消するための処方箋。
  まだ自分のことで精一杯なのに、指導なんて……、
  上司や部下とのコミュニケーションがうまくとれない……。
  そんな悩みをもつ職員に向けて、著者の経験にもとづく具体的なアドバイスと、
  多様なエピソードが紹介されている。

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