ローコードの業務アプリ開発ツール
専門知識がなくてもアプリを開発できるツールの需要は高まっている。つくば市では約20年前から開発ツールを導入し、業務効率化を推進中だ。現在は11部署で30種類以上のアプリを活用しているという。
※下記はジチタイワークスVol.35(2024年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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つくば市
政策イノベーション部 情報政策課
中央:課長補佐
三輪 修平(みわ しゅうへい)さん
左:業務改善推進係 主任
加藤 遼一(かとう りょういち)さん
右:係長
杉田 和也(すぎた かずや)さん
10~15時間ほどの締め作業が内製のアプリでゼロになった。
業務のデジタル化に積極的な同市では、アプリ開発ツール「Claris FileMaker(クラリス ファイルメーカー)」を平成16年頃から活用している。同ツールはテンプレートなどを活用し、少ない負担でコーディングや機能実装ができるローコード開発が基本。オンプレミス・クラウドの両環境に適応し、庁外からも使用可能。自治体の幅広い業務に適しているという。
現在は情報政策課の課長補佐で、各課にツールの活用を促している三輪さんが、その存在を知ったのは市民税課に配属された平成25年。ツールを使っていない法人市民税を担当していたが、別の税の担当者に教わって使いはじめたそうだ。「便利なツールなのですぐに取り入れたいと思い、予算化してもらいました。ゼロベースではなく、既存のアプリを調整することから始めたので、特に困りませんでしたね。特別な知識や技術がなくても、分からないことはインターネットで調べる程度で大丈夫でした」。それまでは法人市民税を県に報告するために複雑な計算シートを使っており、作業の制限も多かったという。毎月の締め作業には3日ほどかかり、計10~15時間の残業が発生していたが、アプリに移行したことでボタン一つの処理に。残業時間もゼロになったそうだ。
知識や経験の有無にかかわらず短期間でシステム構築も可能。
令和6年9月時点で、福祉や教育など計11部署が30種類以上のアプリを開発・活用しているという。
幅広い業務で使われている中でも、開発経験の浅い職員がアプリをつくった例がある。新型コロナの感染者数が多かった頃、PCR検査の管理システムが早急に必要となり、既存の予約サイトにアプリを連携して構築。開発できなければExcelで管理することになっていたため、大幅に効率化できたという。「この開発を担当したのは、入庁1年目の職員です。システムと呼べる規模のものをつくるのは初めてでしたが、たった1日で大枠は完成しました。テストなどを含めても数日でリリースできています」と杉田さん。
全てのアプリを必ずしも内製するわけではない。同市では令和6年度から、遠方に通学する市内在住の高校生に対して支援金を出すことになった。これを管理するためのシステムは、開発から運用後のメンテナンスまでをベンダーに委託。「この事業の担当グループは3人しか職員がいません。今後も続く予定の施策なので、人事異動によって扱えなくなることを防ぐため、ベンダーに任せました」。担当部署の人員やスキル、管理状況に応じて柔軟な開発・運用ができるのも、同ツールの強みだろう。
業務の標準化が進む今こそ高いカスタマイズ性が役立つ。
「当課はツールの“営業担当”として、各課に活用を促しています。ただ、大事なのは自分事として捉えてくれるかどうか。無理やり勧めることはしていません」と三輪さん。そうはいっても、利用するのが一部の職員だけでは、庁内全体の業務効率化は進まない。「興味を引くことは意識しています。面倒だった作業が一瞬で完了したとき、わざと周囲の職員に聞こえるよう大げさに感動することもありますね」と加藤さん。ツールを提供する「Claris(クラリス)」が実施した庁内のセミナーには、全体の約3割に当たる32部署から参加があった。2回の予定だったが、希望者が定員を上まわり追加開催するほど、関心をもつ職員が増えているようだ。
今後はガバメントクラウドへの移行で基幹業務システムが標準化されていく。だからこそ、このツールの利便性が発揮されると3人は強調する。「標準化から漏れてしまう、各自治体ならではの事情に即した業務はどこにもあるはず。例えば帳票の管理など、一つひとつは小規模でも効率化を左右するので、それらの業務を拾う“サブシステム”として重宝されるでしょう。手軽さと便利さを備えたちょうどいいツールだと考えています」。
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