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あなたの自治体の広報、住民に届いてますか?メディアや目的をはっきりさせ戦略的なPRを

従来は主に広報紙を使って行われていた自治体の情報発信だが、SNSなどのインターネット媒体の広がりもあり、以前の方法だけでは全ての世代の人々に情報を届けにくくなっている

自治体に広報が必要な理由を改めて考え、広報に力を入れている自治体の例を見ながら、多くの住民や地域外の人たちに情報や地域の魅力を届けるにはどうしたらいいのかを考えてみよう。

【目次】
 • なぜ自治体に広報が必要なのか?広報の目的3つ

 • 届けたいターゲットに合わせた広報ツールを選ぼう
 • 住民が自治体の広報に求めている情報とは?
 • 地域の魅力を様々な方法で発信!自治体広報の事例を紹介
 • 広報に行き詰まりを感じたら試して欲しい3か条
 • マーケティング的な視点でどんな情報にニーズがあるかを考えよう

※掲載情報は公開日時点のものです。

なぜ自治体に広報が必要なのか?広報の目的3つ

自治体に広報が必要な理由は次の3つだ。

【目的その1】地域住民に最新かつ正しい情報を発信する

自治体の広報には、地域住民向けに正しい情報を伝えるという役割がある。具体的には以下のような情報がニーズが高いだろう。

・災害・防災・防犯について
・自治体の取り組みについて
・福祉に関する取り組みや予防接種などの医療情報
・子育て情報
・地域で行われるイベントについて

これらの情報は住民の生活や暮らしやすさに直結するものなので、自治体としては必ず伝えたい情報だ。

【目的その2】地域住民・地元企業・行政をつなげる

地域住民・地元企業・行政をつなげる

広報を効果的に行うことで、地域内の企業や行政が行うイベントに多くの人を集めることができる。住民はイベントに参加することで、地域に参加しているという意識が生まれるだろう。イベントを開催した企業は自社についてアピールできる。そして、広報活動やイベントを通じ、地域住民・企業・行政が連携する機会が生まれ、関係を深めることができる。

【目的その3】移住や企業誘致につながる自治体の魅力発信

地域の活性化のためには、地域内で盛り上がるだけでなく、地域外に地域の魅力をアピールすることも大切だ。地域の魅力を発信し、ほかの地域から移住者、観光客を集め、さらに企業誘致につなげるためにも広報は大きな役割を果たすだろう。

届けたいターゲットに合わせた広報ツールを選ぼう

自治体が広報を行う媒体には次のようなものがある。

・広報紙
・ホームページ
・SNS
・メルマガ
・動画配信

年代や性別によりチェックする媒体やツールが異なるため、目的をはっきりさせ、届けたいターゲットに合ったツールを選ぶことが必要となる。それぞれどのような特徴があるのかを見ていこう。

根強いファンがいる王道!広報紙

根強いファンがいる王道!広報紙

紙に印刷した広報紙を地域内の各戸にポスティング、もしくは新聞折り込みで配布するという長きにわたって続いてきた方法だ。昔ながらの方法で情報を得たいという高齢者や、情報を紙で残しておきたいという人向けの方法といえるだろう。

なお、より多くの人に見てもらうためには、紙面デザインや企画を工夫する必要がある。また、読者からの反響が分かりにくいため、例えば懸賞付きのアンケートを設けることも検討したい。

自治体の内外からアクセス可能!ホームページ

広報紙をホームページ上でPDFにして公開するという方法は、比較的手間がかからず取り組みやすいだろう。平行して情報をジャンルごとに整理して自治体のホームページに掲載するという方法もある。ユーザーはジャンルごとに情報が探しやすく、また、SNSとの連携も容易だ。

若者世代へのアピールなら!SNS

若者世代へのアピールなら!SNS

SNSはホームページと比較すると投稿が簡単で、リアルタイムで情報を発信できるという強みがある。若者世代にアピールでき、双方向コミュニケーションが可能である点も見逃せない。閲覧者からの反応がすぐに確認できるため、改善につなげやすいという利点もある。

写真やビジュアル面に力を入れるならば「Instagram」、文章メインで双方向のコミュニケーションを考えているならば「X(旧Twitter)」、など、SNSの特性に合わせて適切に利用することが重要だ。

最新情報を伝えるのに最適なメルマガ

メールマガジンは、日々のイベントや防災情報などを伝えるのに向いている、いわゆる「プッシュ型」といわれるメディアの1つだ。登録してもらう手間はあるが、情報を得たいと思っている住民に手軽に情報を伝えられるメリットがある。読者からの反応がすぐに確認できないというデメリットもあるため、アンケートフォームの設置などで対処したい。

手軽に見られる!動画配信

イベントの報告や観光情報を魅力的に分かりやすく映像で発信できる。YouTubeなどのプラットフォームを利用することで、動画公開の障壁はほとんどなくなった。また、スマートフォンを傾けなくてもそのまま視聴できる縦型動画は次世代向けといわれ、すでにYouTubeショートやTikTokなどでの動画配信を試みている自治体も多く存在する。

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住民が自治体の広報に求めている情報とは?

住民が自治体の広報に求めている情報とは?

公益社団法人日本広報協会の調査によると、住民が望む自治体の情報として次のようなものがある(※1)。

1.健康・福祉・医療介護
2.防犯・防災
3.子育て・教育・生涯学習

※1出典 公益社団法人日本広報協会「自治体の広報活動調査からみた自治体広報紙の必要性」

具体的にどのような情報が求められているか、そして自治体として発信したいことを確認してみよう。

1.健康・医療・福祉のジャンル

各種健康診断、休日診療を行う医療機関について、国内や地域内で流行する疾病についてなどの情報が求められている。

2.防犯・防災のジャンル

防犯・防災のジャンル

電話による詐欺についての注意や自転車盗難の防止方法などの情報提供と併せて、「反射バンド」など簡単に使える防犯グッズの配布を行うことも検討したい。

3.子育て・教育・生涯学習のジャンル

ひとり親向けの就労相談、子育てにまつわる情報、物づくりや自然観察などの児童生徒向け教室の情報、高齢者向け生涯学習の情報が求められている。

そのほか、ゴミやリサイクルに関する情報、地域で行われるイベント情報、講座についての情報もニーズがある。

地域の魅力を様々な方法で発信!自治体広報の事例を紹介

住民や地域外の人に注目される広報の方法について悩んでいる自治体は多いだろう。そこで、広報に力を入れている自治体の例を4つ紹介する。

【埼玉県三芳町】内閣総理大臣賞を受賞!親しみやすさにこだわった広報紙

埼玉県三芳町の『広報みよし』は、地方自治体の広報作品のコンクール「全国広報コンクール」で2015年に内閣総理大臣賞を受賞した広報紙だ。

タイトルをローマ字表記にして若者にも親しみやすくし、表紙写真には住民を採用することにこだわった。写真を大きく見せるレイアウトにしたことも、若い人たちが広報紙を手に取るようになったひとつのきっかけだという。

地域内の情報だけでなく、1つのテーマについて深堀りした特集記事もあり、読み応えのある内容になっている。

【神奈川県葉山町】Instagramのフォロワー約3.8万人

【神奈川県葉山町】Instagramのフォロワー約3.8万人

神奈川県葉山町は2024年現在、Instagramのフォロワー数が3.8万人もいる自治体である。この数字は全国の自治体の中でも非常に多い。

葉山町ではこれまでも広報紙を利用しまちの情報を伝えてきたが、若い人にもまちの魅力を伝えたいと、若い世代が多く集まるInstagramでの発信に力を入れるようになった。

なお、Instagramの発信で葉山町が重視するのは「移住促進」だ。進学や就職で地元を離れた元住民、そして、それ以外の人にも魅力が伝わるよう、写真を多用しマリンスポーツや自然についての情報発信を行っている。その結果、2015年度に人口の社会増減はプラスに転じている。

【沖縄県渡名喜島】Facebookのフォロワー数が人口比全国第1位!

沖縄県渡名喜島は人口450人程度の小さな自治体だが、Facebookフォロワー数が約9,800人おり、人口比ではフォロワー数全国1位の自治体である。

渡名喜島のFacebookでは、地域おこし協力隊のメンバーが集めてきた、自然や特産品、行事などの情報がほぼ毎日投稿されている。また、投稿に付いたコメントへの返信など、きめ細やかなコミュニケーションで島外からの人気が非常に高い。

【茨城県】YouTubeチャンネル登録者数17.4万人!茨城県×VTuber「茨ひより」

【茨城県】YouTubeチャンネル登録者数17.4万人!茨城県×VTuber「茨ひより」

茨 ひより(茨城県公認Vtuber)

茨城県ではVTuber「茨ひより」によるプロモーションで注目を集めている。X(旧Twitter)を使った県の魅力発信、YouTube「いばキラTV」でのゲーム実況や「歌ってみた」など、親しみやすいコンテンツで幅広い活動を行っている。

これらの活動の結果、2019年3月には日本の自治体の公式YouTubeチャンネルで初めて登録者数10万人を突破した(※3)。

※3出典 茨城県公認Vtuber・茨ひよりYouTube

広報に行き詰まりを感じたら試して欲しい3か条

広報の重要性を分かっていても、これまで以上に多くの層にアピールする方法が分からないと悩む自治体も多いだろう。広報の仕方に行き詰まりを感じたときに検討してほしい打開策を3つ紹介する。

新たな手段を試してみよう

現在の広報のツールが広報紙だけという場合は、自治体サイト内で広報紙のPDFを閲覧できるようにするなど、すぐにでもできることから検討してみてはいかがだろうか。また、メールマガジンやLINEのように個別ユーザーに配信する「プッシュ型メディア」にチャレンジしてみる、無料で始められるSNSをスタートしてみるという方法もある。

住民の声を聞いてみよう

アンケートやモニター制度を活用し、住民の声を聞くのも効果的だ。より多くの人から意見を聞きたいのであれば、SNSのように双方向でコミュニケーションが取れるツールを使い、どのような情報が求められるのか探ることもオススメしたい。

地域外の声を聞いてみよう

地域の魅力は、その中にいると分からない場合も多い。地域外の人に、地域の魅力についての意見を募集してみるといいだろう。地域の住民が当たり前と感じている習慣や食べ物、風景などが、地域の外から見ると魅力的ということも多いのだ。その魅力のもとを取材して、ホームページやSNS、動画などで地域の内外にアピールしてみよう。

マーケティング的な視点でどんな情報にニーズがあるかを考えよう

地域の情報を正確に伝えることはもちろん、その魅力を地域の内外に発信することも自治体の広報の仕事だ。より多くの人に地域をアピールするためにも、マーケティング的な視点を持ち、従来の方法だけではなく、SNSや動画の活用なども積極的に検討してみよう。

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