ジチタイワークス

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若い世代に向けた自治体広報は、行動理解とマーケティングがカギ!

Interview   有識者インタビュー
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※下記はジチタイワークスVol.19(2022年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]バイトダンス株式会社

Interview 有識者インタビュー

マーケティングの手法を広報に取り入れれば、自治体の情報は若い世代にも届きます!

広報における“若い世代への訴求”は、行政共通の悩みといっていいだろう。自治体はこの課題をどう突破すればいいのか。シティプロモーションの専門家に、若い世代の情報行動やソーシャルメディアの活用方法など、成果を上げる秘訣を聞いた。

東海大学 教授 河井 孝仁(かわい たかよし)さん

元静岡県職員で、現在は東海大学文化社会学部広報メディア学科教授。シティプロモーションを軸に、自治体広報、ソーシャルメディア活用、地域マーケティングなどを研究。各地の自治体でアドバイザーも務める。著書に『「関係人口」創出で地域経済をうるおすシティプロモーション2.0』(第一法規、2020)など。
 

狭く、複層の構造で成り立つ若い世代の情報行動。

--若い世代は、どこでどのように情報収集・発信などの活動をしているのでしょうか。

やはりツールの主役はソーシャルメディアですが、その使い方が、以前とは変容しています。昔は“世界中の人とつながることができる”といった点が魅力でしたが、今の若い世代はそれを求めていません。人とのネットワークがあれば、基本的にそれをプチプチと切って、自分の興味関心を共有できる人に限定していくんです。

もちろん例外もあります。例えば、起業家になって世界を目指したいといった一部の若者たちは、多方面とつながろうとします。しかし一般的には、自分の文脈で語り合える人、趣味・嗜好が一致する相手との関係を大切にする傾向が強い。そしてプライベートで使うアカウントには鍵をかけるのが当然、という感じです。

--非常に小さなネットワークの中だけで、情報活動を行っているのですか。

狭い関係で満足しているのか……と思うかもしれませんが、実はそうではなく、プチプチと切ったネットワークを、何枚も重ねてもっているんです。そして、一つひとつのネットワークを“部屋”だとすると、各部屋を行き来しながら、ある場所ではこの人格として語り、別の場所ではこちらで、と実に器用に使い分けています。しかもその部屋ごとにアカウントを分け、ツイッターやインスタグラムで5つも6つももっている。このように、文脈ごとに部屋が違うので、急に場違いな話を持ち出されると困惑し、場合によってはブロックしてしまいます。

もうお分かりかもしれませんが、こうした部屋をノックして、自治体が情報を伝えるのは難しいんです。アイドルグループの話をしている部屋で、地域振興の話題を持ち出されても響きません。

自治体広報で忘れてはならない“可視化”と“行動変容”の区別。

--そのハードルを乗り越える方法はあるのでしょうか。

自治体広報では、“若者に向けて”といった大ざっぱなくくり方をせずに、そのうちの誰とつながって、何をしてほしいのかと、セグメントして考えた方がいいでしょう。前述の通り、自治体が若い世代にアプローチできる手段は限られています。そこで活用できるのが“推し”や“インフルエンサー”です。

自分の推しが、例えば自治体と連携して何らかの活動をしているというような話であれば、私たちも考えてみよう、といった動きが出てくる可能性があります。インフルエンサーについては、暇つぶしをしたい人が見ているインフルエンサーと、悩みや不安を解決したい人が見ているインフルエンサーは、違う人物です。自治体にとって重要なのは後者なので、何か悩みや課題をもっている若者にアプローチしたいのであれば、そういう人たちが信頼・尊敬しているインフルエンサーは誰なのかをリサーチし、その人を通して語ってもらえば、届く可能性が高いといえるでしょう。

--人を活用しつつ、セグメントされた相手に訴求していくということですね。

それがマーケティング手法の基本です。課題は何か、どんな人の行動を促したいのかという目標を明確にした上でメディアを使わないといけません。しかし、自治体には全ての人に全ての情報を、という責務が課せられています。これは必要なことなのですが、“可視化のための広報”と“行動変容のための広報”との切り分けが重要です。

可視化のための広報では、例えばWEBサイトなどで、誰でも必要な情報を見られるように掲載しておけばOK。そして行動変容のための広報では、ターゲットを絞り込んでいき、そこに限定したアプローチをする。行動変容をさせたい場面で、全ての人に伝えなくてはと考える必要はありません。可視化と行動変容、両者を分けて考えると、取るべき行動が明確になるでしょう。

住民を積極的に起用し、持続可能なまちづくりを!

--ここまでの話を踏まえ、より有効にソーシャルメディアを活用するにはどうすればいいでしょうか。

若い世代向けの広報で有用なソーシャルメディアの中で、最近注目されているのがショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」の動画表示の仕組みです。

インスタグラムやTikTokを開くと、オススメ動画が表示されます。これは“興味があるはず”と自動的に選ばれたものですが、TikTokでは、“興味から少し外れた動画”も紛れ込んでいるんです。その最初の数秒が面白ければ、ユーザーは見る。そして誰かが見ることによってほかの誰かにも拡散される、という仕組みになっています。この方式であれば、無関心層への訴求にも可能性が見出せるはず。認知獲得においてTikTokの可能性は大きいと感じています。

ただ、自前の広報紙やWEBでなく、外部のソーシャルメディアを利用する場合には、注意すべきことがあります。自治体には“なぜそのメディアを利用するのか”について、説明責任が問われるという点です。「若者に刺さりやすいからです」では弱く、「これを使うことによって、どんな人々の、どのような課題を解決し、それが地域の幸せにつながります」というところまで、説明できるようにすること。外部メディアの利用に際しては、そこを踏まえておきたいですね。

--説明責任、マーケティング、動画制作と、職員の負担は大きいですね。

職員で「動画をつくろう!」と動く前に、地域の学生などにつくってもらうことはできないか、と考えてみるといいと思います。やる気のある若者は、実は地域にたくさんいるはずで、技術が未熟であれば専門家に声を掛けてマッチングしてもいいんです。

自治体が陥りがちなのは、住民を“客”として扱ってしまうこと。そうではなく、住民は“地域の担い手候補”ですよ。だからこそ主役に据えて、役所はマネジメントに徹することが大切。地域の才能をマネジメントし、人と人をつないでいけば、地域への意欲をもつ人、関係人口を増やせるかもしれません。才能や経験が地域の財産になれば、持続可能なまちづくりにも貢献できるはずです。

若い世代にとって、役所はよく分からないところだと思います。しかし、そこから声を掛けられれば、まちに対する愛着が生まれ、自分は地域にとって意味のある存在だと思えるようになる。その彼ら・彼女らがいつかまちを出ていく日が来たとしても、その気持ちや意欲は、ずっと残っていくことでしょう。

課題解決のヒント&アイデア

1.明確なセグメントを行う

若い世代をひとくくりに捉えてしまうと、情報を伝えるのは難しい。行動変容をさせたいのは、どこでどんな悩みを抱える若者なのか。一歩踏み込んでセグメントすると、アプローチの手段が見えてくる。

2.可視化は大前提として行う

セグメントした相手へのアプローチでは、“全ての人に伝える”必要はない。ただし、全ての人が“見ようと思えば見られる”環境は用意しておく。可視化と行動変容は両方果たす、という意識を忘れずに。

3.地域をマネジメントする

少子高齢社会に自治体職員の負荷は増すばかり。異動が多くナレッジを蓄積しにくい側面も。住民を“地域の担い手”と捉えてマネジメントすることで、地域の“ 意欲”を増やし、持続可能なまちづくりを。
 


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短い動画でしっかり届ける!行政で広がるTikTok活用事例。

マーケティングの考え方を活かせば、自治体広報・プロモーションでもリーチ率は格段に伸びる。この発想のもと、省庁や自治体がTi kTokを活用して情報発信し、好結果を得た事例は日々増加中だ。取り組みの一部を紹介する。
 

■ 児童生徒の自殺予防

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文部科学省 令和3年9月10日~
9月の自殺予防週間に実施したプロジェクト「#あなたと生きるを考える~毎日つらいと感じるあなたへ」において、様々な悩みや不安を抱える子どもたちや、そのまわりにいる子どもたちに向けて、相談窓口の情報などを提供。ユーザー同士がコメント欄で励まし合うなどの反響があった。
 

■ 防災アラート

気象庁 令和3年12月21日~
TikTokでは気象庁の協力のもと、大雨の予測時や地震・噴火などの発生時に、同庁の緊急記者会見をライブ配信。台風の接近・上陸が予想されるときには、該当エリアのユーザーに気象庁サイトへのアクセスを促す「台風アラート動画」を届けるなど、正確な気象・防災情報への誘導を行う。
 

■ 18歳成人に向けて

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兵庫県 令和4年1月5日~
令和4年4月の成年年齢引下げを踏まえ、若者が遭いやすい消費者トラブルについての啓発動画を公開。「ネット通販」「マルチ商法」「エステ無料体験」などの具体的な事例と対策について、現役教師ながらラッパーとして活躍中の「あきらめん」氏がラップで軽快に伝える!
 

■ 牛乳の消費拡大

北海道 令和2年5月25日~
緊急事態宣言の影響で、牛乳・乳製品の消費が減少!生乳を捨てなければならない事態を避けるため、動画で消費を呼び掛けた。知事の出演も話題を呼び、賛同した一般ユーザーからハッシュタグ「#牛乳チャレンジ」をつけた動画が約5,000本投稿されるなど、消費拡大の一助となった。※期間限定キャンペーンのため、現在はアカウント停止中
 

■ 労働問題の啓発・支援

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大阪府豊中市(とよなかし) 令和4年1月5日~
労働トラブルを抱える若者を救うべく、ハラスメントや不当な待遇などの具体的事例を紹介し、豊中市労働問題担当キャラクター「豊中ブラック」が解決策を届ける!これまでの広報手段では相談につながりにくかった若い世代に対し、労働問題の未然防止や早期解決を図る。
 

■ 地域イベントとの連動

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徳島県 令和4年3月6日~
地方創生イベント「#徳島ニューノーマル映画祭2022」において、地元クリエイターによる新作縦型短編映画などの上映イベント「TikTokナイト」をライブ配信。「見入ってしまう」「徳島行きたい」などのコメントでにぎわい、総視聴数は1万8,000回以上と、同県の魅力を若い世代に広く発信した。
 

■ 新型コロナ感染対策

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広島県 令和2年4月28日~
知事からのメッセージや、ワクチン接種の啓発動画などをタイムリーに配信。また、クリエイターとタッグを組み、外出の削減やテイクアウトの利用促進など、生活の中で実践できる対策をユーモラスに呼び掛けた動画も人気を集めた。
 

■ コロナ禍の若者支援

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法務省・文部科学省・厚生労働省 令和3年8月19日~
コロナ禍で学業継続が困難になった生徒・学生や、学校・家庭・職場で悩みを抱える人に向け、行政サービスや奨学金、相談窓口などの情報を発信。専門家や各省庁の担当者が出演し、多様な支援サービスの存在を知らせる。
 

■ 震災復興と魅力発信

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福島県浪江町(なみえまち) 令和3年3月6日~
東日本大震災の被災地である浪江町。でも、それだけじゃない!今の浪江を知らない人たちへ、そして故郷を離れた人たちへ届けるために、復興の様子や新しい取り組み、地域のにぎやかな様子を短尺動画・ライブ配信で伝える。
 

■ 若年層の悩み相談

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NPO法人ピルコン 令和3年7月12日~
NPOとTikTokが連携した悩み相談企画。第1弾では「性の悩み」「不登校」「親との関係」をテーマに据え、若者から寄せられた投稿に専門家が動画で回答。11動画で約47万回再生されるなど、多くの関心を集めた。
 

■ 選挙・投票の啓発

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選挙ドットコム 令和3年10月19日~
伸び悩む若年層の投票率。選挙や投票の重要性を理解してもらうため、若者に人気のクリエイターと「選挙ドットコム」が連携。選挙にまつわる豆知識や、選挙に関する意外な数字を題材にした10本の動画を届け、教育啓発活動を行った。
 

短尺動画に情報を凝縮し、無関心層にリーチする。

比較的新しい動画共有プラットフォームであるTikTok。文化・教育や、法律・税務、防災など、コンテンツが多様化しつつあり、ユーザーは若い世代を中心に、30代以降にも広がっているという。

TikTokの強み

1.ユーザー数が世界で拡大中

令和3年は世界のアプリダウンロード数ランキングで1位となり、総ダウンロード数は30億を超えた。日本のユーザー数は約1,700万人。※App Annie社およびSensor Tower社調べ

2.短尺・縦型の動画に特化

スマホやタブレットに特化し、動画は180秒まで投稿可能。短い動画だからスキマ時間を利用して視聴しやすく、ユーザーの視聴時間は1日平均67分間。

3.無関心層へ拡散しやすい仕組み

従来の一般的なソーシャルメディアと違い、フォロワーがゼロでも一定数のユーザー画面に必ず表示される仕組み。無関心層への訴求が期待できる。

4.効果的な編集が簡単にできる

写真に音楽や効果をつける、動画内の音声から自動で字幕をつけるなど、様々な編集機能が用意されているので、初心者でも手軽に動画を制作できる。

 

情報セキュリティ体制

運営会社とデータの保管場所

Ti kTokの運営会社は日本法人の「Byt eDance(バイトダンス)株式会社」、ならびにシンガポール法人の「Ti kTok Pt e. Lt d. 」。日本国内のユーザーデータはシンガポールおよびアメリカで保管されている。提供元について心配する声もあるが、150の国・地域で展開されるTi kTokと、中国国内のアプリDouyi n(ドウイン)とは別々の運営体制となっている。

個人情報保護体制

日本およびシンガポールの個人情報保護法等の関連法令にもとづき、ユーザーの情報を管理。また、情報セキュリティマネジメントシステムISO/IEC 27001:2013※を取得し、四半期ごとの透明化レポートを開示している。※組織に情報資産を安全に確保・管理する枠組みが構築されていることを認証する国際規格
 


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導入自治体の職員に聞く!TikTok導入・運用のポイント。

昨年末に行われたTikTok活用セミナーでは、全国の職員から多くの質問が寄せられた。その中でも目立ったものをピックアップし、TikTokを活用中の3自治体の職員に答えてもらった。

広島県 アカウント開設令和2年4月
コロナ対策として、感染対策やワクチン接種の勧奨、知事のメッセージなどを配信。クリエイターとのコラボも。総務局 ブランド・コミュニケーション
戦略チーム グループリーダー
石田 雅之(いしだ まさゆき)さん

福島県浪江町 アカウント開設令和3年3月
被災地というネガティブなイメージからの脱却を目指し、地域のトピックやイベント、住民の元気な様子を配信。企画財政課
主事
及川 里美(おいかわ さとみ)さん

大阪府豊中市 アカウント開設令和4年1月
職場での悩みを抱える若者に、具体的事例を交えて労働問題を紹介。あわせて市役所相談窓口の周知も図る。市民協働部 くらし支援課
係長
村井 正太(むらい しょうた)さん
 

■ 導入について

Q.TikTokを使い始めた目的は何ですか?

石田:新型コロナウイルスの感染拡大防止です。県民に感染対策を呼び掛けようとTikTokを活用しました。

及川:浪江町の目的は2つ。震災後、全国に避難した町民に、復興の様子やまちの情報を伝えることと、「浪江町=被災地」というイメージを払拭することです。

村井:豊中市では、労働に関して問題を抱えている人を、より早い段階で支援に結びつけることを目的としています。

Q.数あるSNSの中で、なぜTikTokを選んだのですか?

石田:若い世代へもっと訴求するために必要だと考えました。また、動画は訴求力が強いので、“読む”から“見る”広報に変える取り組みに挑戦したい、というねらいもありました。

及川:同様です。当町で運用していたSNSを分析した際に、10~20代への情報発信が弱いことが分かりました。この世代は震災の記憶が薄いと思われますが、今後の日本を担っていく層です。もっと震災のことや復興の様子を伝えていく必要があると考えました。

村井:当市の場合は、協働している企業からの提案がきっかけです。労働に関する知識は身につける機会が少なく、特に若い世代は、職場のルールが全てだと思い込んでしまいがちで、相談につながりにくかったのです。そこで、若い世代に事例や相談先情報を届けるためのツールとして、活用することにしました。

Q.庁内での合意形成のためどんな説明をしましたか?

及川:最初は「TikTokって何?」と言われましたが、アプリのダウンロード数推移や、利用者世代、省庁や自治体での活用事例などを挙げて説明しました。

村井:今回の取り組みは実証実験なので、市としてアカウントをもつのではなく、くらし支援課だけでスタートするということで、庁内の合意を得ました。

Q.KPIは設定していますか?

石田:フォロワー数をKPI として設定し、3年で5万人を目指しています。

及川:1年目はトライアルで、まずはやってみることを優先したので設定していません。2年目以降のKPIは検討中です。

村井:この実証実験中に投稿する動画全体で、1万回再生を目標にしています。初の試みなので、KPIも手探りです。

Q.セキュリティ面の心配や住民からの批判は?

石田:動画投稿にあたって個人情報は扱いませんし、アプリの利用を推奨する内容ではないので、問題ないと判断しました。

及川:同様です。批判は現状ありません。

村井:当市も同様です。なお、「動画を見られない人はどうするのか」という意見を想定して、台本をテキスト化し、市のホームページで公開しています。

■ 運用について

Q.動画制作にはどのような機材を使っていますか?

石田:公用のスマホが1台あり、撮影・編集・投稿までこの端末で行っています。

及川:撮影には町の一眼レフやハンディカムなどを使いますが、個人のスマホを使うこともあります。簡単な内容の場合は、無料の編集アプリを使ってスマホやタブレットで編集しています。

村井:当市の場合、現在は外注制作です。

Q.何人で運用していますか?

石田:主に若手職員3人です。もちろん、TikTok専属ではありません。

及川:私1人です。早ければ10分で編集し、投稿できるので、負担は少ないですね。YouTubeは時間がかかるので、2~3人でまわしています。

Q.業務時間中に企画・撮影・編集を行っていますか?

石田及川村井業務時間中です。それに対する批判は、今のところありません。

Q.自治体からの発信として注意していることは?

村井:今回の取り組みは労働問題というメッセージ性の強い内容なので、人権的な視点は特に注意しています。例えば「ブラック」という言葉の使い方など、人権政策課に相談しながら、台本をつくっています。

Q.動画公開前の上長への確認工程は?

石田:基本的には私と担当者の2人でネガティブチェックを行い、アップしています。ただし、リスクマネジメントの観点で判断が難しい場合は、上長に相談します。

及川:都度起案はしていません。始めたばかりの頃は上長の確認を受けていましたが、特に問題なしと判断されてからは、動画制作メンバーだけでチェックしています。

村井:同じく都度起案はしていませんが、最初に実証実験の目的や動画の構成・内容を、しっかり説明しました。

Q.他部署とはどのように連携していますか?

石田:私たち広報部門から各課に発信内容を提案しています。特にコロナ関連の情報発信はスピードが求められることから、積極的に担当部署へ話を持ち掛けています。

及川:当町でも、「その情報をSNSにあげて周知しませんか?」と各課に提案して、連携しています。何度か繰り返していると、他部署から相談が来るようになりました。

■ 今後の展望について

Q.TikTokを使ってみての所感や、今後の展望について教えてください。

石田:感染対策の啓発から始めましたが、「いいね」の数やコメントなど多くの反響があり、短尺動画の力を実感しています。コロナ関連以外でも様々な発信を始めており、令和3年の平和祈念式典では、ハッシュタグキャンペーンとライブ配信を行いました。関連動画の総再生数は約860万回で、国内外から広く声が集まり、良い取り組みになったと感じています。今後も感染対策だけでなく、フォロワーの共感を意識したコンテンツにも力を入れていく予定です。

及川:TikTok主催の企画「3.11#あれから10年」でライブ配信をした際、約12万の視聴数があり、その90%以上が25歳以下というデータが出ました。コメント数も6, 775件と、今も震災への意識が高いこと、被災地を応援する若い方がたくさんいるということが分かりました。震災後、不本意なかたちで有名になってしまった当町ですが、ワクワクやチャレンジがいっぱいの楽し
いまちだと感じてもらえるよう、今後もTikTokやSNSを活用した情報発信に挑戦していきます。

村井:我々は取り組みを始めてまだ間がないのですが、Ti kTokは“問題意識を喚起する力”を秘めていると思います。支援が必要な状況なのに、それを問題と捉えていない人は多い。そうした社会的弱者に対する支援・福祉制度で、特に力を発揮するのではないでしょうか。魅力発信やにぎわい創出とは違う、セーフティネットという行政ならではの分野でも、新たな周知啓発方法が導入され、多くの苦しい立場にある人が支援制度につながることを期待しています。

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